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【カースドバリバリドライヘッド】

 砂埃が吹き抜けるバスターミナル広場の、土産屋の軒先で、私は空港行きバスを待ちながら買物を迷っていた。
 飾ってあるのは、頭蓋骨から頭部の肉を丁寧に外し、薬草を詰めてよく乾燥させた、芋じみた塊。干し首だ。
 かわいい飾りで土産用を装っているが、これは戦士の首。本来市中に出回らない、儀式用の首である。 
 店先で表の首が欲しいと伝えると、それは店主の愛想笑いと共にやってきた。
 値段は土産物の相場相当、現金払い。
「じゃ、これで……」
「おっと、店主。それは倍額出す。他にもあるならあるだけ売って。売り買いで済んでるうちに大人しく出した方がお互い様よ」
 なけなしの札を引っ張り出した私の横合いから、店主との間を遮り、男性の手が挙げられた。
 手の主は、そのサイズと不釣り合いな、背の低い細身の女性だった。
 警察のジャケットを着た女性は、店主の罵声を皆まで聞かず大声で遮った。
「戦士の首を! 安く売ってどうしようッて言うんだい! 倍で嫌なら今すぐ全てを吹っ飛ばすよ! 呪われよ!」
 横から出てきて、あるだけ全てを買い取り、鳥籠のような容器に気の毒な位首を詰め込んだ警官は足早に店を出、サイドカーの側車にそれを放り込んだ。
 店主が店の奥に向かって誰かと話している。私は誰からも構われないのを良いことに、そっと店を出て外を伺った。
 店の裏手で、装甲馬賊を載せる電装装甲馬が三体起動しいななく。警官はというと、キーが引っかかって回らず狼狽えている。
 私は、首の載っていた金属小テーブルを、左の義腕のなけなしの出力でぶん投げた。
 裏から現れた最初の馬賊に直撃する。
 その足でサイドカーに駆け寄り取り付いてキーを回し、狼狽える女性を側車に追い払い、運転を奪った。
 首はもう先に送った資料で十分だ。
 街に入れば警察のテリトリー、装甲馬賊も速度規制には勝てない。
 風に負けじと怒鳴りあい、我々は空港目指して逃げ出した。
 
【続く】

(軽い気持ちで投げ銭をお勧めします。おいしいコーヒーをありがとう)