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打倒!広辞苑

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ルビ機能が開始されたので再投稿してみました。 広辞苑からマイナーな単語を拾い、毎回その単語を絡めた文章を構築する企画。 筆力の向上を図る大喜利のようなものです。 全て一話完結の短…
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記事一覧

お題:にのほ【丹の穂】 赤い色の目立つこと。赤くおもてにあらわれること。

■あらすじ あらゆるものを盗む怪盗・丹ノ穂。しかしその仕事は正義のため。日本の首相をも誘…

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お題:ざんてん【慙靦】 恥じて顔を赤らめること。

 慙靦する動物は人間だけである。  恋をした時、失敗した時、怒った時、人前に立った時、泣…

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お題:うめこんじょう【梅根性】 執拗でいったん思い込んだら変えがたい性質。

 仁丹という、今だとフリスクに似た錠剤型の菓子が復活している。  タバコの後などに口に含…

お題:つみさる【罪避る】 弁解や謝罪をして、罪をのがれる。

 京子と大志は付き会い始めてから2回目のドライブでこころもち田舎の山まで行こうと計画した…

お題:いんじょく【印褥】 印をおす時、紙の下に敷く台で、板を紙でおおい、上を布で…

 今も夏休みは、電車を乗り継いで各駅のキャラクターのハンコを押して集めるスタンプラリーが…

お題:いさらみず【細小水・水潦・潦水】 少しあふれこぼれ出る水。

 咲子はもう目が見えない。  兄のヘッドマウントディスプレイをこっそり借りて見た映像が原…

お題:うらもり【裏漏り】 急須・やかんなどから湯水を注ぐとき、注ぎ口の下をつたって湯水がこぼれ落ちること。

 白かったはずのテーブルクロスは、わら半紙みたいにくすんだ色になり茶色いシミだらけ。毎年実家に帰省するたびに堪らなくふさいだ気分になるのはあの色のせい。  10歳下の弟は食べるのが下手でずいぶん遅い。小学校高学年になるまで自転車も補助輪付きでないと乗れない。箸もうまく持てずにスプーンばかり使っていてお皿からこぼしながら食べていた。そんな不器用な弟も都心の大学へ入学し、今やこの家は年老いた父母が2人だけ。  私が帰ってきても、切れかけた蛍光灯と同じようにこのダイニングが明るくな

お題:かんせい【甘井】 うまい水の出る井戸。

 とある地方に甘井という、うまい水が出る井戸があるといいます。うまいだけでなく甘いのです…

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お題:ひきまかなう【彎ふ】 = 弓をひいて射放そうと待ち構える。

@mitsuyoshi_ohshima - 3分前 『ひきまかなう!』 「オヤジ、またツイッターでつぶやいてるよ…

お題:からすうら【烏占】 烏の鳴き声によって吉凶を占うこと。

 夜中にカラスがガァと鳴いた。  都会では珍しくないが、これだけ寒い今年の冬の、しかも真…

お題:れきれき【轣轣】 石ころの道を車の走り響く音。

 タイのバンコクはアジア旅行の起点である。なかでもカオサン通りの一角は格安の宿と情報と流…

お題:こんにゃくもんどう【蒟蒻問答】 話のかみ合わない会話。とんちんかんな問答。

 ある商社の最終面接に残った三人の就活生。そこで面接官が語り始める。 「これは一人一人に…

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お題:そぞろがみ【漫ろ神】 何となく人の心を誘惑する神。

 人間はどうやって自分のやりたいことを決めて行動するのか。そのプロセスは単純ではない。 …

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お題:らんかん【闌干】 ①てすり ②星または月が輝いて、きらきらするさま。 ③涙がとめどもなく流れるさま。

 私は涙の研究をしている。人体生理工学という、一応化学の一分野であるのだが知名度は致命的に低い。  専攻してくる学生は他のゼミの抽選に外れたというやる気のない者ばかり。とりあえず卒論が通り卒業できればよいという考えなのだろう。就職のコネもないし将来的に注目される可能性も少なく現実生活に役立たない研究室では、予算が出て存続できているだけで奇跡である。  涙の発生メカニズムにはまだ謎が多い。  現代人はコンタクトレンズをはめる人の数が急激に増加しているので、涙の量をいかに少なく