D&D2024年版 設定用語集(Lore Glossary)
こちらは、10月16日に配信された「Lore Glossary | 2024 Dungeon Master's Guide | D&D」の内容を日本語でまとめたものです。必要な解説も中に交えて説明するので、初心者も読みやすいです。
用語集の必要性
D&Dは50年もの歴史を持っていて、過去に出てきた設定は過去の本を購入するか、Wikiや動画を探さないと行けない状態です。実際に筆者も日頃からD&Dを遊ぶ上で突然歴史のなっが~~~い設定が出てきて、それらを追いかけるのに必死です。
2024年の用語集はいまD&Dを初めた人でも必要な知識を引き出せるようにダンジョン・マスターズ・ガイドにまとまっています。デザイナーさんも言ってますがあくまでもこれは基本的な事項を説明するものであって、必要に応じて改変したり再解釈して良いものです。
「ルールではなく設定」なので、想像力を掻き立てるために使ってください!
以下本文です。
用語集
さて、今回は用語集、特に「世界観や設定の用語集(Lore Glossary)」について話そう。驚くかもしれないけど、D&Dの50年の歴史の中で膨大なロア(世界観や設定)が作られてきた。
この設定には、アイコニックなキャラクターや場所、物体が含まれている。
たとえば、「デモゴルゴンって誰?」「ロルスって誰?」「ミスラル・ホールの仲間たちって何?」「モドロン大行進とは?」といったものだ。
これらがD&Dの冒険に出てくることはよくあるけど、詳しい説明がされないことが多い。ファンの間では知識が共有されているだろうと考えたり、インターネットで調べることを想定しているからだ。しかし、特に設定にあまり詳しくないダンジョン・マスター(DM)にとっては、これらの情報がまとまっている場所があると非常に助かる。
すごく経験豊富なDMで、全部知っているつもりでも、重要なキャラクターやヴィラン(悪役)を忘れてしまうこともある。そういうときに、用語集を使って、再びその要素を自分の物語に取り入れることができる。「ああ、レイヴンクイーンなんて何年も考えたことなかったけど、この解説を見たら次のキャンペーンに登場させたくなった」みたいに。
初心者向けにも役立つ
初めてD&Dを学びたい人にも、この用語集を読むことで、D&Dの世界がどう動いているかを感じ取ることができる。
キャラクターやクリーチャーに関する説明も含まれているので、たとえば「古き邪悪って何?」という疑問にも答えてくれる。ただし、この質問に対する明確な答えはなく、広義のカテゴリとして使われている。
アサーラック
アサーラックは非常に強力なウィザードだったが、自らの意思で死を迎え、リッチ(アンデッドの魔法使い)になった。
その後、リッチの体が崩壊してデミリッチ(体が崩れ、頭蓋骨だけが残ったリッチ)になり、邪悪な力がその頭蓋骨に宿っている。
彼は冒険者をトラップで殺し、その魂を吸収して自らを維持していた。
アサーラックは最初にTomb of Horrors(恐怖の墓所)というアドベンチャーで登場し、Tomb of Annihilation(魂を食らう墓)にも再登場している。
*トーナメントプレイとは、D&Dのシナリオを決まった時間でプレイし、達成した出来事で得点を競う遊び方です。
アダマンティン
アダマンティンはD&Dで非常に有名な物質だ。
プレイヤーズハンドブックやダンジョンマスターズガイドに軽く触れられているが、具体的な説明はされていなかった。
アダマンティンは最も硬い物質の一つで、隕石や珍しい鉱脈から発見される暗い色の金属だ。
アダマンティン製の鎧や武器の詳細については、第7章を参照しよう。
アルストリエル・シルヴァーハンドとは誰か?
彼女はフォーゴトン・レルムの世界出身で、非常に強力な冒険者である「七姉妹」の一員。
魔法の神「ミストラ」に選ばれた者で、膨大な魔力を持つ魔法使い。
親しい友人には、シャドウデイルのエルミンスターがいる。(バルダーズ・ゲート3に出てくるゲイルの知り合い)
ハーパーズと協力して活動しており、ドリッズトなどの冒険者を導いてきた。(ハーパーズとは善を成すために行動している秘密結社)
プレイヤーズ・ハンドブックには、彼女がドリッズトや白いドラゴンと共に描かれているアートがある。(ドリッズトは悪として有名なダーク・エルフの中で、善行を働く人気のキャラクター)
この用語集の目的は、プレイヤーズ・ハンドブックやダンジョンマスターズガイドに登場するキャラクターの名前や姿が誰なのか調べられるようにすることだ。
アシャーダロンとは?
アシャーダロンはD&D第3版の時代に有名になった赤いドラゴン。
第3版のアドベンチャーパスの最終ボスであり、冒険の序盤「Sunless Citadel(地底の城塞)」で示唆される。
正の次元界に住み、未だ肉体を持たない魂を食べる存在。
心臓にはバロールというデーモンが宿っている特別なドラゴン。
*アドベンチャーパスは連続したアドベンチャーを組み合わせた「長期シナリオ」です。
バーバ・ヤーガとは?
D&Dのバーバ・ヤーガは「魔女の母」として知られる強力なアーチフェイ。
有名な特徴として「鶏足付きの家」があり、次元界を自由に移動する。
ターシャの母親としても知られている。
*ジョン・ウィックのバーバ・ヤーガとは異なり、映画では「鬼」や「おばけ」の文脈で使われている。
バハムートとは?
金属竜の父で、ティアマトと共に「初めの世界」を作った原初のドラゴン。
ドラゴンや人間に神として崇拝され、「パラダイン」という別名を持つ。
しばしば人間の姿を取り、7匹の金色のカナリア(実はゴールドドラゴンの変装)を連れて歩くことがある。
初めの世界とは?
神話的な存在で、物質界が無限の世界で構成されている理由を説明するためのもの。
バハムートとティアマトが最初に一つの世界を作り、他の神々もそれを見て「我々の民を住まわせよう」と言い始めた。
争いによって世界は砕け、無数の世界が誕生したと言われている。
この用語集では、キャラクターの別名も紹介されており、フィズバンがパラダインであることや、バハムートの別名が分かるようになっている。
古き邪悪とは?
「古き邪悪」は、D&Dにおける「未知なる古の邪悪な存在」を総称する用語。
デーモンやデヴィルのような特定のカテゴリーには属さず、非常に強力で未知の存在を指す。
神々すら恐れる存在であり、その存在は神秘に包まれていて、場合には物理的に巨大な者たちでもある。そのため、クトゥルフ神話に似た恐ろしさを秘めている。
例として、以下の邪神がある。
カイウス(歩く蠕虫・The Worm that Walks)
巨大なウジ虫の山が知性を持ち、巨大なマントをまとっているクトゥルフ的な存在。現実離れした不気味さが特徴。タリズダン(鎖に縛られた者・The Chained One)
神ともされるが、その本質は不明。こうした存在が、古き邪悪の「未知の恐怖」として恐れられる。
邪神ハダル
死にかけている星が知性を持ち、邪悪になった存在。グレート・オールド・ワンのウォーロックが、このような古き邪悪から魔力を得ていることもある。
その他の古き邪悪
イチャク=オーシール(エルフを喰らう者・The Elf Eater)
フォーゴトン・レルムの伝承に登場する恐ろしい存在。デンダー(夜の蛇・The Night Serpent)、ケゼフ(混沌なる猟犬・Chaos Hound)
イチャクとともに、フォーゴトン・レルムにおける主要な古き邪悪の三大存在である。
ミスラルについて
D&Dでは、ミスラルは非常に軽く柔軟な金属として知られる。
エルヴン・チェインやミスラルの鎧など、この素材で作られた魔法のアイテムも多い。
アダマンティンと同様に、ミスラルはポートクラス(門扉)にも使用されることがある。
*D&Dにおける「ミスリル」は厳密には「ミスラル」発音です。これは一説では指輪物語の著作物を避けるためだと思われています。
レイヴン・クイーンとは誰か?
レイヴン・クイーンは、D&D第四版で初登場した「死の女神」。
彼女の名前は秘密であり、ヴェクナ(秘密の神)がその名前を知りたがっている。
神話的な存在で、他の多くの第四版の要素が忘れられた後も、彼女の伝承は生き続けている。
現在、シャドウフェルのシャダーカイと結びついており、その正体が神、フェイ、影の存在のどれなのかは謎のまま。
*シャドウフェルは物質界と同じ形をした「こだま」のような世界で、闇の世界と呼ばれています。そこに住まうエルフたちが「シャダーカイ」です。
レイヴン・クイーンの謎は、DMが自由に解釈できる要素を残しており、物語を広げるきっかけになる。
霜の大公(Prince of Frost)
霜の大公は、夏の女王の息子だが、自分の領域を築こうとしたわがままな存在。(この二人はフェイ・妖精種)
彼の理想は、永遠に冬が続く冷たく氷のような世界を作り上げること。
このキャラクターは、第四版の時代に登場した。
レルムの英雄たち
レルムの英雄たちは、1980年代に地球からD&Dのマルチバースに飛ばされた若い冒険者たち。
ボビー、ダイアナ、エリック、ハンク、プレスト、シーラの6人が、強力な魔法アイテムを使って、ヴェンジャーやティアマトの陰謀を阻止しながら家に帰る方法を探していた。
冒険を通じて異世界を旅する方法を見つけたが、まだ家に帰る手段は見つかっていない。
*D&Dの最初で唯一のカートゥーンアニメで、いわゆる異世界転移ものです。
彼らは唯一の地球から来た子供たちではなく、他にもニコのような冒険者がD&Dのマルチバースを探索している。
ニコはスターターセット「竜たちの島ストームレック」のアートで紹介されているキャラクター。
ヴラーキスの影響
ヴラーキス(Vlaakith)は最近、特にゲーム『バルダーズ・ゲート3』の影響で知られるようになっている。
用語集は、D&Dのマルチバースがどれほど広大で多様なものであるかを示してくれる。
D&Dの多様性と柔軟性
D&Dの世界は極端に多様であり、モドロン、ギスヤンキ、ギスゼライなど、さまざまな「ぶっとんだ要素」が含まれている。
すべての要素が、単なる一般的なものではなく、しっかりとした個性を持っている。
各要素がどのように対立しているのか、どこに根付いているのかが明確で、他のゲーム要素との関連性が理解しやすい。
ヴラーキスと関連する伝承
ギスヤンキの不死の女王ヴラーキスについての記述を読むと、その情報からギスヤンキ、ギスゼライ、マインドフレイヤーに関する知識が広がる。
これが「特異点」のように作用し、さらにノーチロイド船やワイルドスペース、アストラル界の話題へとつながっていく。
物語の潜在力を解き放つ
D&Dの世界観は、各要素が他の要素を引き寄せるように設計されており、DMはそれを活用して物語の潜在力を解き放つことができる。
モドロンの謎
モドロンは、無害そうな見た目にもかかわらず、D&Dユニバースにとって最大の脅威かもしれない。
彼らは289年ごとに外部の次元界を行進するが、その目的は謎に包まれている。
17の外方次元界(アウトランズを含む)があり、17×17=289という数字が何かを示唆しているが、それが何を意味するのかは不明。