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BROOM 2020

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#コロナ

ドゥームズデイ・ディドリーム

                             葉桜照月 はじめに  この作品はフィクションであり、実在の人物・地名・団体とは一切関係ありません。また、実在の人物・地名・団体を想起させるような表現や、あるいは誹謗・中傷するような表現を使ってもいません。もし想起した場合は称号「コロネ疲れ」を獲得してください。 世界は元に戻らない。  まず最初にしなければいけなかったのは、閉ざされたドアを開けるために鍵を探す事だった。わたしはついさっき、そこのソファーの上で目覚

うっけつだいありー その二

 唸る空調の音でロビーは満たされています。外気の寒さを駆逐しようと躍起なのでしょう。とはいえ春の足音が近づくのは事実ですので、外の気温は10℃手前と言ったところでしょうか。東京では寒い日になるのでしょうが、ここでは、そうでもない日になるでしょうね。  空気が淀むように感じたので、私は他の部員に荷物番を任せて席を立ちました。立ち上がった私にビバレッジコーナーの店員さんが軽く会釈してきます。まるで「お疲れ様」と言ってくださっているようでしたので、私は開いていたテクストを閉じ、シャ

月と塔

                             直視日光  「うう……」  うめき声を あげながら起き上がった。床に倒れこんでいた体を起こす。ひどくだるい。外から光が差しこんでいた。壁にかけられた時計は十二時を指している。もう昼か。昨日つかれて途中で一杯ひっかけたところまでは覚えているが、そのあとの記憶がない。そのまま布団にも入らずに寝てしまっていたらしい。どうにも頭が痛い、二日酔いするほど飲んだ覚えはないのだが。額に触るとかなりの熱を感じた。水を一杯飲んだが収ま