マガジンのカバー画像

BROOM 2020

51
運営しているクリエイター

#生活

今気づいた。

                             +5㎏ 「これをこうして…」 「よっし!」  画面に「レポートを提出しました」と文字が映し出される。仁菜は「やった。ついに終わったんだ。」という達成感に満ち溢れていた。このご時世、大学生はレポートを書き終えるのも大変である。特に外で課題を行ってきた彼女にとって、家で課題に取り組むのは苦行でしかない。部屋には大好きなアイドルのポスターが一面に張られている。こんな状況に置かれ、課題なんかに集中できるはずもない。その中で課

ワンルーム・ラプソディ

                            秋谷 つばさ  どこからか、歌が聞こえる。自粛期間というのは本当に暇なもので、大学からの課題もほとんどなく、毎日食っちゃ寝の怠惰な生活を送っている。趣味を探すというのは難しくて、欲しい服も買いに行けないし、遊びに行ったらネットで叩かれそうだから、一日中動画を見たり、インスタやtwitterをずっとスクロールさせたりしていた。一人暮らしだから、誰にも縛られることのない悠々自適な毎日なのはよいのだが、今回ばかりは外食もでき

月と塔

                             直視日光  「うう……」  うめき声を あげながら起き上がった。床に倒れこんでいた体を起こす。ひどくだるい。外から光が差しこんでいた。壁にかけられた時計は十二時を指している。もう昼か。昨日つかれて途中で一杯ひっかけたところまでは覚えているが、そのあとの記憶がない。そのまま布団にも入らずに寝てしまっていたらしい。どうにも頭が痛い、二日酔いするほど飲んだ覚えはないのだが。額に触るとかなりの熱を感じた。水を一杯飲んだが収ま

20200709

                               尾白浜  いつものように高校をさぼって公園に向かう。今日は寝すぎたのでもうお昼時になっていた。俺はコンビニに寄って、少し迷ってからいくらと梅とおかかとツナのおにぎりと500mlのお茶をレジに持って行った。やけに愛想のいい店員だったのでお釣りをもらうときに自然と「どうも」という言葉が出た。今日は晴れていた。  公園に着くとムーさんは既に来ていて、俺を待っていた様子だった。そわそわした様子でベンチに座っていたが、俺の

Living

                              小田部歌  テーマが「今」ということで、現在では、コロナウイルスが猛威を振るっていますが、そういったマクロな視点は置いといて、今回はもっとミクロな視点で書かせていただきました。様々な人(と言っても友人がほとんどですが)にインタビューをさせていただき、「今」に繋がる過去の出来事や、「今」の延長線である未来の自分に対して考えていることまとめさせていただきそれらを基に書きました。ですので物語というよりはエッセイというもの

赤いゼラニウムが語る今

                              島式 凪   「前世って信じる? 」 「・・・・・・は? 」  マイが変な事を言うから、リビングの時間が止まってしまった。ぴったり2秒。止まっていたのは僕だったか。とにかく、あまりにも唐突なその質問は僕には全く理解が出来なかった。 「だーかーらっ! 前世! 」 「いや、え、何で? 何で突然? 」  突然。そうだ、本当に突然聞かれたんだ。因みに、その前は課題の話をしていた。数学の課題は難しくて、式の中に唐突に

ご挨拶

 初めまして。明治学院大学文芸部主将の遊鶴と申します。  始めに、当ページをご覧いただきありがとうございます。当ページは2020年度のBROOMについての説明を含めたご挨拶の場となります。  2020年は、人類史上類を見ないウィルス禍とともに幕を開けました。外出を慎み、人と距離を置き、先の見えない日々に恐怖してきました。なにより、生命や生活を失った方がいます。今もなお多くの方々が苦しみ、戦い、耐え忍んでいます。そのような方々に比べれば至極些細であることは重々承知しております