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アフターコロナに格安航空券でロンドンに行ってみた 13日目 広州ー羽田CZ358便

今朝は早めに空港に行って、出発ロビーにある美味しいjardin de jade翡翠園レストランでゆっくり食事をすることにします。ここは空港内なのにとてもスローフード的なお店なので、注文から出てくるまでに30分以上かかることも普通です。時間に余裕のある時しか楽しめないかもしれません。あと空港なので割高です。

中国はまだアプリでコロナ関係の検疫の申告が必要なのでこれが面倒です。特に中国に入国すると滞在地の省、市、地区まで細かく入力させられるので、地名の英語の記憶が曖昧だとプルタブで設定するのに苦労します。

アプリの画面

例えば広州で空港周辺に滞在する場合、膨大な中国各地の地名リストの中からguangdong guangzhou baiyunと細かい滞在地を選んで申告する必要があります。たった一晩、中国に入っただけでも前14日間全ての滞在地の記録を提出する必要があり、これが面倒です。

でも提出しない版として事前に提出できる段階までアプリで作成しておくと、次回からその履歴を使って作成できるので助かります。アフターコロナ直後の今の時期に中国に入国される方は自宅で仮の版を作成しておかれることをおすすめします。

空港でこちらの烏龍茶飲料でも試してみようとペットボトルを買ってみました。サントリーの烏龍茶のようなのを期待していたのに甘くてびっくり。こちらでは烏龍茶って紅茶のように砂糖を入れて飲むのも普通ってことなんですね。

ちなみに中国南方航空でサービスされるホットコーヒーは最初からかなり甘くされたミルク入りです。ドリンクサービスの紅茶は無糖なので、なんでコーヒーだけこんなに甘いのか謎です。ロンドンー広州便では激甘のチョコムースが出たので苦いコーヒーが欲しくなったのですが、うっかり甘いことを忘れてコーヒーを頼み失敗しました。

甘い烏龍茶についてどう思うか中国の友達に聞いてみたところ、家で自分で作る時は砂糖を入れないけど、外でペットボトルで買う時はジュースなんだし、いいんじゃない、ということでした。午後の紅茶みたいな感じでしょうか。でも日本人はサントリーの烏龍茶に慣れているので、日本では甘い烏龍茶は売れないと思います。

あとユーロ、ポンド高でヨーロッパでクッキー等のバラマキ系のお土産を買うのは割高です。中国乗り継ぎだと中国の空港でお土産を調達できるのも魅力的です。例えば八箱入りの下記写真のクッキー詰め合わせでも1000円、一箱あたり125円で見栄えのする小箱入りのお土産が入手できました。量が必要な場合はいかがでしょうか。


さて予約したA321NXの72Hシート、予約手数料が無料でしたが、意外といいシートでした。足の先が前のシートの下に入らないのですが、手を前にいっぱいに伸ばしたり足を組めるくらい目の前が広い席でした。前の席がCAさんの垂直シートで、ここはチャイルドシート設置用の特別なシートのようです。シートベルトもチャイルドシートを設置できる特別丈夫なものになっていました。


八角の効いたチキンライス。珍しく生バナナが。



今回の旅行を通じて感じた1番の謎について最後に。

大英博物館はスーロンさんが集めた71000点以上のコレクションが発祥とのことです。毎日1つ集めても195年かかるので集める時に数十個以上をまとめてかき集めた感じでしょうか?

今は少なくとも個人のコレクションの寄贈などが重なったことで800万点以上のコレクションがあるとのことです。こちらは毎日100個陳列しても220年はかかる膨大な数です。

大英博物館やルーブル美術館のコレクションの内容、数、ヴェルサイユ宮殿の内装やお庭の豪華さ等、限界を極めようとするのが人間の本質かと感じました。でも何の為?ただの果てしない欲望?日本との違いは?

この豪華さは何なのか、それが旅の中での1番の疑問になりました。はっきり言って全てがやりすぎに感じる数、装飾の細かさ等だったからです。

現代社会では最初に予算枠を決めてコレクション、建築、装飾等をします。一方、庶民がパンも食べられないほどまで他人の全財産を、そして自国より遅れている他国の全財産を自由に奪える状況なら予算に限度がなかったと、予算上は理解できます。でもそれは予算的な話でモチベーションとはまた別です。

他国に自国や自領の力を見せつけたいという愛国心、競争心、あるいは牽制力。負けず嫌い、自尊心、褒められたいという心からの投資だったのかもしれません。

そして、集め始めたら、豪華にしはじめたら、それをやめると退屈しそうで耐えられず、加速し止まらなくなった気持ちもあるのかと思われます。

その一方、これはイタリアの教会の内装と同じで、宗教的な思いとお金の注ぎ込み方かも、とも感じました。宗教というのは団体の心を1つにするものです。ある1箇所に宝物を集めれば集めるほど、価値を高めれば高めるほど、そこを守りたいという、愛国心のような心を共有させる効果が期待されていたのかもしれないと感じました。

それを感じた理由の一つは、大英博物館はスーロンさんが展示を始めた最初から入場無料であり、国民の共有物のようなコレクションの扱いだったこと。そういえば映画でインディジョーンズ博士も貴重な遺物は博物館で共有すべき、という正義を語って個人的に死蔵したり悪用しようとした敵と戦ってましたっけ。

ヴェルサイユ宮殿も、だれでも訪れ、少なくとも王女と1番外れの部屋でなら謁見をお願いできたみたいで、公的位置付けの場所だったようです。後に美術館となっても豪華な内装は一般庶民への教育目的という内容だったようです。これら博物館も宮殿も宝物の入れ物であり、国民みんなの宝物が入っているから国民みんなで大事に崇め奉りましょう、ということになっていて、そこに教会と神像と信徒みたいな関係性を感じたからです。

歴史的にも英国教会、カソリック、プロテスタント、多民族等の対立があった中、美しいものを集めたり作ったりし、あるいは古い街並みを保ち続け、これらを国民全員で大事にしましょう、という枠組みが国の団結力を高めるのに必要な手段となってきたのではなかろうか、と感じました。

一方、日本には巨大博物館や宮殿が無いのはなぜでしょうか?そして日本はこれらに対抗できる観光資源を持てるのでしょうか?

大地震や大火災、大空襲で立派なものを集めたり作ったりしても失われやすかったというのは一因かと思います。また、愛国心を高めようとする動き自体、戦後教育で禁忌に近い扱いを受けてきたことも一因と思われます。

日本では本当に神聖なものは母なる自然という考え方が根強いことも要因かと感じます。台風や自然災害の多い日本では、劣化しやすく崩れやすいレンガや石積の人為的な巨大建造物より、より自然に適応しやすい小さな庵、建替えしやすい簡素な木の建築物が大切にされてきたのだと思われます。ひたすら暖炉で石炭を焚いてコレクションや内装を愛でて冬を越すことに主眼をおくのではなく、屋外に目を向け四季の花鳥風月を愛でながら自然と共に生きようとしてきた方向性でしょうか。

日本では国立の博物館や美術館に続々と個人の非常に高価な宝物が寄贈され入館者数、旅行者数が増えていく、という話はあまり聞きません。予算削減で運営危機という話の方が聞くような気がします。郷土博物館の様な小さな施設以外では入館無料というのも聞きません。

日本では個人や団体所蔵の宝物は主に換金制の高い動産か宗教施設の本尊や私立美術館の目玉のような位置付けであり、これを日本の学術や公的教育、観光産業の活性化のために寄贈したいという国益を優先する意識は少ない気がします。そもそも収集物を受け入れて入館無料にもできるくらいの大きな施設と人員、国家財政面の受け皿が無いのもその意識が高まらない一因かと思われます。

あと、地球全体の自然、歴史、文化の全てを知りたい、そして他の人に知らせたい、という思いの強さにヨーロッパと日本では大きな違いがあるのだと思います。その違いの理由は何でしょうか?

日本は日本のことだけでいいや、という感覚が強い気がします。何も他の全ての国のことまで手を出さなくていいんじゃない、という感じです。同じ島国でも日本とイギリスではかなり意識が違います。

イギリスは国内で金がほとんど取れず、南アフリカで大量の金を採掘しました。日本が鎖国していた時代、地球の果ての国がイギリスの経済の屋台骨だったということです。また、自国の蒸気機関が世界の枠組みを変えていきました。イギリスの自国の歴史の勉強といえば世界史に近いものになります。

一方、日本は教育でむしろ海外に目を向けない様に地元や、地域貢献に目を向けるように仕向けてきた気がします。高校の一部の生徒以外は世界史を学べません。地域史や日本の中のことだけで思考を停止させるように仕向けられているような気がして、これが日本というテーマパークの中で楽しく甘く、気ままにやっている日本人の姿なのかな、と感じます。

この教育方針はある意味、日本人を子供っぽく見せているのかもしれません。例えば、日本のドラマやアニメは甘すぎる内容で子供っぽすぎる、と外国の人に言われることがあります。

おそらく日本の主人公の多くが、視野も行動範囲も限定的で、家族や友人など、個人主義や感情、浅い考えで行動してるように見えるからかな、と思います。大人なら、もっと国や世界、文化、科学への貢献、信条等、より深く広く複雑な考えで行動すべきと捉えられているのかもしれません。極端に言えば007みたいな、国や世界の為の行動という方がカッコいいということでしょうか。

日本ももう少し国や世界に貢献する方に方向を向けるのもいいのかも、と今回の旅で感じました。そのうち死蔵されている個人コレクションが集められるようになり、観光立国化も進むかも、と妄想しているところです。

なお、日本は金ピカの装飾は成り上がりっぽくて嫌われがちですが、外国人受けするのは金ピカです。観光地としての豪華さやスケールだけなら完全にヨーロッパが上です。

でも日本の侘び寂びの渋さ、不完全の美、自然美は簡単には伝わらないけど魅力は十分です。特に自然と一体となった大きめの寺社仏閣、城や古い街並みは魅力的です。ハード、ソフト両面、例えば神社やお寺での宗教行事体験、門前町や城下町の町屋での着物体験や茶道体験等、バーチャル動画展示も含めて充実させ感じてもらえたらよりいいのかな、と感じました。

西洋はただ飾るだけで美しい物の文化、日本は用の美を尊ぶ文化なので、手間とお金はかかっても、日本は博物館として集め、飾ることだけではなく、もっと四季の自然の中で使い方こそを見せていかなくては魅力が伝わらないかも、とも思いました。

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