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乃木坂スター誕生!カンケさんの言葉


カンケさんの言葉

たぶんこれからライブでもね、イヤモニと言って、耳に着けてダイレクトに音がはいってくるモニターを通して歌うことが乃木坂では多くなってくるはずなんですよ。
でもここでは、空気を通してこのスピーカーで聴く、ということを毎回やります。これが意外に大切でね、ちゃんと自分の声が聴こえるようになったり、伴奏をもうちょっと上げたほうが上手く歌えるとか、こういうことが自分の中でわかってくると、どんどん歌がよくなってくるから。
そこを意識して。最初のうちはとくに気を付けて。

新・乃木坂スター誕生!5期生の挑戦#2

乃木坂スター誕生!って、いってみれば懐かしい歌をアイドルが歌う番組、カラオケを楽しむ番組であったはずなんだけど、ここまで永く放送が続いてきたのは、単に乃木坂に人気があるから、乃木坂を見たい人が多いから、だけが理由ではないと思う。そこで演奏される楽曲に対する支持、共感がなければ毎年ライブが開催されるような、ここまで大きな展開にはならなかったろう。

毎回放送後のX(旧ツイッター)の反応を見ていたけれど、感想として多いのは、誰々歌がうまくなったね、とか、誰々どんどん歌が上達しているね、といったメンバーの変化について触れている内容。歌の上手い下手について云々言えるような見識は自分は有してないのだけれど、おそらく各々のメンバーは日々のレッスンを通して技術等を上達させているのかなと思いつつも、ただ、カンケさんの言葉にあらわれている音楽に対する姿勢、出発点がこの番組の音楽性を貫いているのだと、確信をしている。

(あなたたちのほうから音について)
リクエストを出してくるのは全然迷惑じゃないから!
むしろ言ってもらったほうがいいから!
それを身に着けて

同 5期生の挑戦#2

自分の浅い経験からすると、若手の演者が音響サイドにリクエストなんてしようもんなら怒鳴られてキレられるか、それか演奏中にわざと意地悪されて(事故を装って)シールドか照明どちらかをブチ抜かれる(笑)。欲しい音を欲しいと言うのは案外難しい(笑)。でもこういう環境が、5期生に最初から存在していたということが実はいろんなところに響いているのかな、と思ったりもする。

一ノ瀬がゆずの曲を演奏するときにタンバリンを使うのだけれど、テレビ番組としてはきっとあのタンバリンなんてお飾りにすぎない。映像に少し花を添えられればそれでじゅうぶんなはずなんだけど、こちらのスタッフさんはちゃんとマイクを立てて音を拾う。ありそうで実はなかなか無い。あるとき奥田のギターにボリューペダルがセットされたのはボリュームをあげるためではなくておそらくサウンドホールの残響を消して歌のためのサイレントを作るため。同じく。

ちなみに、引用したカンケさんの言葉は3人のメンバー、小川、菅原、冨里に対してのアドバイス。このなかで冨里奈央ちゃん、カンケさんの言ってることにいちおう返事はしているものの、どうも表情が怪しい(たぶん理解できてない)。でもそれがかわいいので視聴可能は人はまた見直してほしい。いまもういちど見ると、新参者ライブで圧倒的なパフォーマンスを見せた人たちと同一人物とは思えない、素人同然の彼女らがそこにいる。

(First Loveのリハーサルを終えた中西アルノに対して)
後半スタミナがきれていく感じがするね
安定さが無くなっていくでしょ
感情が溢れて(気持ちを)いれていくのは全然いいんだけどブレスの場所を本番やる前にもういっかい整理しとこ

同 5期生の挑戦#6

この回が番組初登場だった中西アルノに対して、やはり歌える人に対してはその人のレベルに応じたアドバイスがはいる。わりと厳しめ、

(Blue Velvetのリハーサルを終えた井上和に対して)
この曲ってときどき長い音があるじゃん
そのときに見せ場がでてくるのね
そこに”うねり”を入れてみるとかしたらもっと良くなるんじゃないかな
これからは、伸ばした音をどんなふうに処理するか、そういうことを考えてもいいレベルにきてるからね

同 5期生の挑戦#9

この放送ののち、実際に井上和の歌のなかでわざと一瞬ピッチを低く歌っているように感じた部分があり、自分の歌の武器にしていた。

(ありがとうのリハーサルを終えた冨里奈央に対して)
(映像を見るかぎり、歌はとっ散らかって音程もかなりあれな状況だが、)

緊張というところが邪魔をしているだけだから
曲が自分に合っていると思って
この曲が自分の味方になってくれると思ってごらん
いつもより声がでてるよ
声のマイクの通りが全然違うもん

同 5期生の挑戦#10

曲が自分の味方になってくれると思ってごらん、という言葉がほんとに素敵で大好き。おそらく冨里ななにか厳しい指導を受けるのではと思っていたところに逆に褒められる言葉を受けて、それまでこわばっていた顏が一転、あの笑顔になる。ここからもういちど本番の歌唱映像を見直したのだけど、きれいに曲が整っている。音楽が産まれる瞬間を見ているようで、乃木坂スター誕生!のなかでも大好きな場面。

(配信後半、視聴者からの質問コーナで)
「楽器演奏や作曲に挑むメンバーにどんなアドバイスをしていますか?」
楽しくないと思ってほしくないので、あまり無理なことはさせたくないね
歌の伴奏に固執してほしくない
伴奏は歌のバック、そこに固執してほしくはないものの自分で伴奏をつけて歌う楽しさもある。その最低ラインを楽器でできればいいねというスタンスで臨んでいる
あれもこれもほんとはやりたい、でもスケジュールの中で時間との勝負なんです生楽器とか
それが負担につながって潰れてしまうようなことまではしたくない。そりゃ彼女たちは仕事だからやってきますけど、そのあたりの塩梅はマネージャーと相談しながら決めてます

2022年10月26日SHOWROOM『豪の部屋』

この言葉と直接関係は無いのだけど、#15の5期生の挑戦で奥田いろはがマーモニクスを弾いてる場面がある。その後の青いベンチでのギター演奏を見ていたから、この時点でまだハーモニクスもミュートも習得してなかったのかと逆に驚き。ハーモニクスでチューニングしてたような時代を生きていたから余計に。でも、いままで自分の「好き」を軸に体験的に独学的に楽器を愉しんでいた人たちがこんどは体系的にそれを学ぼうとしている。こうやって乃木坂の音楽が強くなっていく。

いっぱい失敗しなさいって言ってる
いっぱい失敗をしてほしい、そして大丈夫だよと言ってあげたい

大丈夫だよ!

音楽を嫌いになって卒業してほしくない
彼女たちの卒業後には女優であったり、いろんなキャリアが待っている
でもせっかく音楽番組をやったのだから音楽を好きになって卒業していってほしい

新・乃木坂スター誕生の最終回で一ノ瀬美空が、「歌うことが嫌いだった」「このスタジオに来るのが怖かった」と述べている場面がある。最初の頃の放送見ても、たぶん歌が苦手だったんだろうなと思う。ところが、プラネタリウムを歌ったあたりからぐっ、と印象が変わってきて、中西保志の最後の雨、徳永英明レイニーブルー、このへんになるともうこの人にしか残し得ないような魅力がある。

音楽はどこかユーモアがあって
人の日々の生活のよろこびになるようなものが
僕は音楽であると捉えてるんですね

クリエイティブラボOfficial Channel THE CREATERS#1配信より

奥田いろはの「恋々」MVを見た。不意に(真面目に)ロバート秋山の歌う「願い」という曲のことを想う。もちろん「恋々」にパロディーやユーモアの線は無いのだけれど、カンケさんから生みだされる音楽にいつもニヤッとしてしまうのは何故だろう。そこには面白い!可笑しい!だけではなくておおっ!という感嘆も含まれている。(両曲の作曲者ではありませんが)
アイドルが歌う恋愛の歌とお笑い芸人さんのコメディーソングの両者に存在する共通点とは何か?なんにもないようにも思うんだけど(笑)、このカンケさんの一言を聞いた時に、あ、同じだ、と思った瞬間があった。


これまで、”清楚で美しい”ことが乃木坂46の魅力とされてきたことに異論がある人はそう多くないと思う。自分もそう思うし、そこに間違いはないと思う。付け加えるとすれば、メンバー相互の関係性とか。
ただ、新体制となった乃木坂46がいま、これまでになかったような新しい魅力を備え始めているのではないか?と思うことがある。2月のバースデーライブ、真夏の全国ツアー、アンダーライブ、先日の新参者ライブを見て。

それが何なのか、まだ言葉でどう表せばいいのかわからない。清楚で美しい、なんていう紋切型の言葉ではない何かが動き始めているような気がしているのだけど、その正体が自分でもわからずにモヤモヤとしている。

その答えを見つけに、僕は明日、代々木に旅立つ。


【訂正】
×マーモニクス→ハーモニクス
×THE CREATERS→THE CREATORS

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