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ブロンプトンで吹雪の八甲田山

ブロンプトンで雪道を走ろうシリーズ。

八甲田山へマイナス10度以下でのブロンプトンの走行性能を試しに行ってきた。

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八甲田山の標高900メートル地点に酸ヶ湯温泉という有名な湯治場があるのだが、その酸ヶ湯は冬になると一日の降雪量が平気で2メートルとか3メートルを記録してニュースとなり、日本全国の度肝を抜くことはご存じと思う。2013年2月26日には一日で566cmも積もったそうだ。八甲田山は雪の量がハンパないのだ。おまけに寒いし、吹雪くと全く手が付けられない。過去には旧・日本陸軍が雪中行軍の訓練中に遭難したことで、冬の八甲田の恐ろしさはよく知られている。

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さて、ブロンプトンの雪道走行に必須となるのはシュワルベウインター(サイズ:30-349)である。深いトレッドパターンの16インチ・スパイクタイヤです。スパイクの先端部はタングステンカーバイドでベースはスチール。ガチガチの凍結路や圧雪路では路面をしっかり捉えて呉れます。しかし八甲田のような雪深い山奥の過酷な条件下ではどんなもんだろうか。

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酸ヶ湯(すかゆ)をスタートする。

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気温はマイナス10度。旧帝国陸軍でさえ遭難して一個中隊がほぼ全滅した冬の八甲田としては暖かいぐらいだ。

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酸ヶ湯から八甲田ホテルまでの走行動画です。

シュワルベ・ウインターは期待通り、安定した走行を可能としてくれている。

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もちろん、人間の方の冬装備も大事だ。私自身はヒートテックを二枚重ねの上にカシミア混紡のポロシャツ、ユニクロの薄手カシミアセーター、そして分厚いジャンバーコートを着込んでいる。冬物ズボンの下にはヒートテックエクストラヒート、ズボンの上には防寒用オーバーパンツ、裾には登山用スパッツ(雪の侵入を防ぐ)、分厚い靴下には更にシールスキンズの防水ソックスを重ねている。完璧な冬装備と思われたが・・・。

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八甲田を甘く見てはいけない。シールスキンズの防寒防水透湿の高機能グローブに薄手だが保温力のあるインナーグローブを二枚重ねして大丈夫と思われた手が全くいけなかった。風速10メートルぐらいなので体感温度が極めて低く、ボディーがいくら大丈夫でも、最も手薄な手指が凍傷になりそうである。あまりに寒いと「痛い」と感じること、今回学習いたしました。

地獄沼のあたりで風雪が勢いを増してきた。せっかく除雪された道路の表面に新雪が急速に積もり始めた。上り坂で後輪が空転し易くなり、また、下りでコントロールが効きにくくなってきた。

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これ以上吹雪がひどくなると遭難しかねない。

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目的地の八甲田ホテルまでわずか数百メートルと思われる。しかし、路面の雪が深くなり、とうとう自転車で走行できなくなった。押して進むが、手が凍えるし、靴がすべる。秘湯とメシにありつく前に、ここで力尽きてしまうのか・・・。

秘密兵器を使うことにした。アイゼンを装着だ(いろいろ持ってきているのである)。

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刃先が雪に1センチほど食い込んでくれるので、これを付ければ雪道で滑ってすっころぶことはあり得ない。また、土踏まずの箇所に付く軽アイゼンなので、着用したままでもペダルをこぐことに問題はない。

ようやく、みちのくの名門リゾートホテル『八甲田ホテル』が雪の中に姿を現した。

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八甲田ホテルは日本最大級といわれるログハウス建築のリゾートホテルである。木造建築の大家である早川正夫の設計だ。まずは、予約しておいたメインダイニング「メドウ」でフレンチを頂き、八甲田の雪と風で冷え切った身体を温めることにしよう。

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