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秘湯のススメ

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とっておきの秘湯をご紹介。
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2020年5月の記事一覧

ふなりっと奥奥温泉

式根島の秘湯巡りをしてきた。 ふなりっと奥奥温泉とは、式根島にある年に数回の大潮の干潮時にしか現れない幻の島秘湯である。幸運に恵まれなければ出会うことはかなり難しい。 朝8時、さるびあ丸で式根島に着いた。港から最初に目指す秘湯は『地鉈温泉』だ。 [走行データ] 距離 10.55 km 最大標高差 103 m 平均斜度 全体-0.2% 上り3.8% 下り4.8% 獲得標高 上り177 m 下り194 m 最初に訪れた地鉈温泉(じなたおんせん) は、想像を越えたダイナミッ

湯ノ花温泉 天神の湯

ブロンプトンで秘湯へ行こう。2015年2月の晴れた日、雪道を制するための新兵器「ブロンプトン用スパイクタイヤ 」を引っ提げて、南会津・湯ノ花温泉 『天神の湯』へ日帰りで行ってきた。 南会津地方は昨晩遅くまで雪が降っていたようだ。本日の天気予報は雪のち曇り。気温は午前中は氷点下の予想だ。路面は積雪が残り、一部凍っていることであろう。ブロンプトンにとって最悪のコンディションであるが、新兵器のトライアルには丁度良いだろうと考えた。早朝の東武電車(野岩鉄道直通の会津田島行き)で会津

鹿沢温泉紅葉館

鹿沢温泉紅葉館は温泉通に人気の秘湯の宿である。 但し、群馬県の最奥といってよい辺鄙なところにある。辺鄙なところにあるから秘湯なのだが、ブロンプトンで行く場合、JR吾妻線の万座鹿沢口駅から急坂を17キロいく必要があり、それ故、東京からは始発でいったとしても到着が11時半頃になってしまうことが問題であった。日帰り湯で何とか朝いちばんで入りたい。 そこで、思いついたのが長野県からのアプローチだ。群馬県の最奥にある鹿沢温泉はあと3キロ山道を行けば県境を越える(長野県東御市)。そこ

ブロンプトンで行く秘湯ベスト20 番外編 ≪再訪したいとっておき秘湯セレクション≫

というわけで、ブロンプトン秘湯ベスト20 を発表したのだが、素晴らしい秘湯が多すぎて「何ゆえ、あの名湯が入っていないのだ」と自問するありさまだ。20では足りない。 ハイレベルでワンダフルでレアなとっておき温泉であるにもかかわらず、「アクセス道が立派」「秘境なのだが登山鉄道の駅から意外に近い」「気にならない程度だが加水されている」「登山客が多すぎで雰囲気が」等等、どうでもよいことで、道・湯・秘湯度の合計点が10点未満となってしまった実力秘湯たちを番外編『どうしてもはずせない秘

ブロンプトンで行く秘湯ベスト20その2 ≪再訪したいとっておき秘湯セレクション≫

ブロンプトンで訪れた秘湯の中から、湯の素晴らしさとアクセスの困難さと秘湯度を評価基準に選び抜いた『ブロンプトンで行く秘湯ベスト20』の続きです。 本日は第十一位から第二十位の発表です。全ての温泉のレベルがあまりにも高すぎて選ぶのに困っております。 第十一位 本沢温泉「雲上の湯」 (長野県南佐久郡南牧村海尻) 【道】☆☆☆☆☆ 標高2,150 mの本沢温泉雲上の湯へは小海駅・或いは松原湖駅から標高1,600 mの本沢温泉口までタクってしまおう。本沢温泉口からはガチな山サイ

ブロンプトンで行く秘湯ベスト20 ≪再訪したいとっておき秘湯セレクション≫

ブロンプトンでこれまで訪ねた珠玉の秘湯温泉の中から、湯の素晴らしさとアクセスの困難さと秘湯度の三要素を重視して選び抜いた『ブロンプトンで行く秘湯ベスト20』をお届けします。 究極の秘湯が居並ぶ中、見事第一位となったのは東北の山奥で出会った湯治場の真打ち「元湯夏油」、第二位は山岳秘湯の雄「鑓温泉」、第三位は自分で川原に掘るマイ秘湯 湯俣温泉です。究極の鄙び系のあの秘湯もトップ10入りです。 まずは一位から十位までご紹介します。 第一位 元湯夏油温泉大湯 (岩手県北上市)

北温泉 その2

(北温泉の続き) もうすぐ北温泉だ。 猛吹雪の中、カップルさんが徒歩で行く。こんな日にバス停から1キロ歩いてあの秘湯を目指すなんて、とても素敵な二人だ。 最後の細い坂道を下る。北温泉に何度か来たことがある方でも、この風景はなかなか見たことがないのではないだろうか。この坂が凍結すると大変なことになりそうですが。 着いた。 雪の北湯は本来の秘境の宿の佇まいを取り戻していた。四駆でもためらうようなこの吹雪の中、午前中から立ち寄り湯に来るモノ好きはそうそう居ないだろう。私に

北温泉

5年前の正月三が日最終日、吹雪の北温泉へ行ってきた。映画テルマエロマエのロケ地としても使われて堂々メジャー入りを果たした奥那須の秘湯「北温泉」である。二度目の訪問である。 テルマエロマエ(第一作)に、上戸彩演じるヒロイン・真実が猛吹雪の中をスーツケースを引きずりながら雪の急坂を下って実家の温泉宿に漸くたどりつくという非常に印象的なシーンがあった。秘湯への入り初めに「上戸彩が実家に帰った時の如き、厳冬の北温泉で雪見風呂」に行きたいと考えた。勿論、目当てはあの魅力的な『天狗の湯

木賊温泉 岩風呂

2014年春、雪解けを待って、秘湯中の秘湯、奥会津の木賊温泉(とくさおんせん)『岩風呂』へ日帰りで行ってきた。 木賊温泉の岩風呂は、いまどきの温泉ファンなら泣いて喜ぶ足元湧出の秘湯だ。巨大な岩の割れ目から自然に湧きだす湯を、その岩を穿つことで湯船にしたものである。いつ造られたか判らないほどはるか昔からある岩風呂は木賊(とくさ)集落の人々に大切に維持されてきた。 早朝、浅草駅から東武線快速に乗り、途中、野岩鉄道に乗り換えて会津高原駅に9時半頃着いた。バスが減便されているこの

切明温泉 雄川閣

或る年の春、秋山郷・切明温泉へ行ってきた。 秋山郷とは信濃川の支流である中津川上流に位置する越後の八集落及び信州の五集落の総称だ。東を苗場山、西を鳥甲山に挟まれた深い谷に所在し、外部との往来が不便で、冬は完全に雪に閉ざされる豪雪地でもあったことから、独特の生活習慣が長い間残されてきた真の秘境である。平家の落人伝説でも有名だ。文治年間(1185~89)に、平勝秀が源頼朝に敗れ、その一族が草津より逃れて、屋敷村(信州側集落の一つ)に住みついたと伝えられている。切明温泉はそんな秋

大深温泉

噂の秘湯『大深温泉』(おおぶかおんせん)をご存じですか。数年前、乳頭温泉の鶴の湯で出会ったお年寄りに教えてもらって、それからずっと行きたいと思っていた。 大深温泉は八幡平に所在する数多くの大物温泉の中でも、温泉ファンから強い支持を集めているが、歴史は比較的新しい。八幡平最古の湯として300年以上の歴史を誇る「ふけの湯」とはアスピーテラインをはさんで、反対側の谷筋に位置する。 この日、藤七温泉での入浴を終えて、藤七温泉から八幡平頂上へ向けて走行していた。 濃霧の中、上り坂

大平温泉(おおだいらおんせん)滝見屋

ブロンプトンで大平温泉(おおだいらおんせん)滝見屋を知っていますか。 [走行ルート] 関根駅→滝見屋本宅→大平温泉駐車場→大平温泉滝見屋 距離 18 km 最大標高差 928 m(!) 平均斜度 全体3.9% 上り7.3% 下り8.8% 獲得標高 上り933 m 下り203 m 大平温泉(おおだいらおんせん)は最上川の源流最奥の深い渓谷に佇む秘湯だ。米沢八湯の一つでもある。平安時代に修験道の行者が発見したと伝えられるからその歴史は1000年以上だ。江戸時代には広く知られる

蓮華温泉

夏休み山岳系秘湯スペシャル。本日、ブロンプトンで、蓮華温泉へ行ってきた。天空の絶景風呂として秘湯ヲタクの間で人気の秘湯だ。 蓮華温泉は上杉謙信の発見と伝えられる。謙信が雪倉銀山を開発した1617年頃に見つかったらしい。温泉名の由来は、越中・越後での白馬岳の名称「蓮華(レンゲ)」から来ているという。かつては猟師や樵に愛用され、やがて不便な山奥ながら湯治場として発展した。日本アルプスを世界に紹介したイギリス人宣教師ウォルター・ウェストンも白馬に登頂の際、この温泉に宿泊した。ちな

八丁湯2

八丁湯に着いた。 鬼怒川は暴れ川で奥鬼怒上流部もしばしば川筋を変えてきた。1902年(明治35年)の豪雨で日光澤温泉が流出した際、鬼怒川本流が南に移動したため北側に河原ができると、そこに温泉が湧出しているのが発見された。それが今ある八丁湯だ。1929年(昭和4年)、鈴木富次郎氏が国有林を借地し、この地に「八丁湯」として温泉宿を開いた。 予想外に荒れた林道で手間取ったので、スケジュールはかなりビハインドしている。宿の御主人にご挨拶して500円を支払って、急いで名物の露天風呂