チームFPSゲームにおける悪質行為と楽しみ方の境界について

 前置き(煽り行為について)

 この文章を読むにあたってまず初めに、ゲームをプレイした際に受けた悪質なプレイングやチャットの経験について思い返していただきたい。

 PCでゲームをプレイしている方はいわゆるトロール行為と呼ばれる妨害行為や、チャットで「ez」などと言われた経験はないだろうか。とくにFPSなどをプレイしている方はこの経験は少なくないのではないだろうか。
また直接のチャットでなくとも悪質なエモートの連打、大敗している際に意図的に決着を長引かせる行為をされる、死体撃ちなど、いわゆる「煽り」ととらえられるような行為を行われた、もしくは行ったことはないだろうか。これらのような「煽り行為」は日本では特に不快にとらえる人が多いが、国によっては案外非常に軽いジョーク的な意味合いで用いられることもある。

 私自身はこういった煽り行為は非常に嫌いである。こういった行為は行われた相手からしてみれば不快を被る可能性こそあれど、「またこのゲームを遊ぼう」というきっかけにはほとほとなり得ないからだ。こういった行為はなくなればいいと思うし、賛同する人はどうかしているとすら思っている。互いの同意がない上でのこれらの行動は悪質行為でしかない。

 この話をするにあたって大事な視点としてゲームとはどのようなものかという認識は重要になってくるだろう。ゲームは「娯楽」と「e-sports」の主に二つの側面を持っている。先にゲームを「e-sports」つまるところスポーツの一種であると考えた時の話をする。

 ゲームをスポーツとして捉えたとき、プレイヤーは競技者であり礼節をわきまえ互いをたたえあう心構えを持つ必要がある。スポーツマンシップに則る必要があるということだ。全日本スポーツマンシップ協会によるとスポーツマンシップとは(以下原文まま)

スポーツマンシップとは

Good Gameを実現するための心構え

【Good Gameを実現する条件】

  • Respect :相手、仲間、ルール、審判などに対する尊重

  • Challenge :リスクを恐れず、責任を持って決断する勇気

  • Enjoy :勝利をめざし、自ら全力を尽くして愉しみぬく覚悟

スポーツとは

運動(身体活動)+ゲーム(ルール+競争+遊び)
=Good Gameをめざしてプレーする身体活動

スポーツマンとは

スポーツとスポーツマンシップを理解し、「尊重」「勇気」「覚悟」を実践するGood Fellow

 といった内容になっている。このような心構えが求められる競技で煽り行為などというものはあってはならず容認されてはならない。サッカーの試合の後に相手の選手に「easy」とでもいうのだろうか。野球の試合で審判が許したら100回牽制球をなげるのだろうか。ありえないだろう。スポーツ以外にも囲碁や将棋といったアナログゲームの世界でもスポーツマンシップ、礼節は重要視されている。本来こういった競技とは礼に始まり礼に終わることが重要視され、競技外で相手を不快にさせる行為はそれに反するとして禁止されているのだ。それと同じにゲームを捉えるのであれば煽り行為を容認する理由など存在しないし即日アカウントBANでいいくらいだろう。

 一方でゲームを「娯楽」ととらえた場合「娯楽なんだから自分の楽しいようにやればいい」という主張をする人は一定数存在する。正直こちらの言い分はまったくもって妥当性が存在しない。一人でプレイするようなゲームなら全く問題ない主張かもしれないが、そこに相手がいる、つまり人間が存在する以上そこは公共の場なのではないだろうか?他人に迷惑をかけてはいけないということを学んでこなかったのだろうか?

 これまでの内容を踏まえたうえでの私の見解は、煽り行為とは容認される理由のないものであり行うこと自体が誤りであるというものだ。
そしてここまで長々と語ったがこのnoteの本題はここから始まる。

本題(悪質行為と楽しみ方の境界)

 私が今回話したいのは、ではどこからが悪質行為でどこまでは容認される楽しい行為なのかという話である。先ほど述べた煽り行為は間違いなく悪質行為の一つであるが、このような場合はどうだろうか。
 ゲームのチュートリアルを終えたばかりの初心者とマッチングした試合(カジュアルマッチ)で、その初心者がゲームの暗黙の了解のような要素を把握しきれておらず、足を引っ張り続けて実質的にその人のせいで負けてしまうといったようなことがあった。果たしてこの初心者が行ったプレイは悪質行為だろうか?答えはNOだ。ゲームのチュートリアルを終えて参加した時点でその初心者には参加の資格があり、その人ができることを頑張った結果なのだ。誰も咎めることはできないだろう。
 ではこれはどうだろうか。ランクマッチで「楽しみたいから」という理由でゲームが始まって即刻チームと足並みをそろえないような行動を意図もなく好き勝手に行い、チームに貢献することなく死んでしまうということを繰り返しゲームに敗北した。この時好き勝手にプレイしたプレイヤーは悪質行為として通報されるべきだろうか。
 これがゲームにおける非常に難しい問題であり意見を分ける争点になってるのではないかと思う。

 先に私自身の見解を述べる。私はこういったプレイヤーは通報されてしかるべきだと思う。より具体的に述べるとするのであればチームゲームにおいて味方プレーヤーとのコンセンサスを怠り身勝手に行動をすることや、勝利を求めないことはその時点で咎められるべき対象なのではないかとすら考えている。 
 まず前者について、チームゲームの大半は協力することが勝利に不可欠であり、そのようなゲームをまるでソロプレイを行っているかのように身勝手にプレイするのは先ほど娯楽の項目で述べた通り論外でありありえないと思う。もちろん味方が同意しているなら話は別だ。しかし野良の試合などでそれを行うのは話にならない。願わくばそのようなプレーヤーとは死んでもマッチングしたくない。
 続いて後者についてだが一般的な試合において勝利を求めない行為、もしくはあまりに勝利をないがしろにするような、身勝手なキャラクター選択やプレイングをすることは、カジュアルマッチはまだしもランクマッチでチームの同意も得られず行ってよいことなのだろうか。
 反論にゲームの仕様としてそれが可能ならば構わないという主張があるが正直理解しかねる。野球の試合で外野に9人置き続けるのだろうか、サッカーの試合で終始全員オフェンス側に走り続けるのだろうか。ルールの穴をついてまで歪な形で自分のやりたいことをすることを徹底したがる人間のゲームになぜ付き合わないといけないのだろうか。こちらはそんなゲームをしたくてプレイしているわけではない。見ず知らずの他人の自慰行為に付き合ってる暇はない。
 個人的には正直カジュアルマッチですら勝利を目指さない行為は度し難いとは思う。勝利はそもそも大前提なのではないだろうか。その一方でじゃあどこで練習をするんだという気持ちやメタピック以外のキャラをランクでは使いたくないという気持ちもわかるので立場の明言はしかねる。ただそれらの行為はあくまで勝利を踏まえたうえで行われるのではないだろうかとは再三問いたい。

 マルチプレイにおいてもはや「たかがゲームで」という言葉は存在してはならない。対戦相手にも味方にも一定のリスペクトを表すべきであり、その範疇で楽しむべきではないか。
そもそもゲームであろうと何であろうと他人に迷惑をかけ続ける人間はさっさとくたばれ。


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