新入社員の頃の話(サラリーマンの備忘録)

今からおよそ10年前の話です。

石川県で4年間の大学生活を終えた後、なんとなく地元に帰って親孝行しようか、程度の気持ちで故郷である新潟県にUターン就職を決めました。田舎ならのんびり暮らせそうだし。

就職先は実家から徒歩5分程度、地元ではそこそこ有名な会社でもあり、就職先としては申し分ありません。両親も大いに喜んでいました。気楽な大学生活を終え、社会へ飛び出すことへの不安に溢れる中、入社の日を迎えました。

緊張の入社式を終え、今後の我々の処遇に関しての説明がありました。約2ヶ月間、我々は新入社員研修なるものを受け、その後、それぞれの配属先に配置されるとのこと。一方、私にはそれ以上に気になる噂がありました。どうやら新入社員の内、誰か1名が東京支店の営業に配属される、との噂です。

新入社員は私を含め4名、その内の2名は研究開発担当ということで東京支店に配属される可能性は低いようでした。つまり東京支店に配属されるのは、私かもう1人の新入社員であるKくんのいずれかが本命という状況です。

Kくんは私の地元と同じ県内ながら車で1時間程度の少し離れた町の出身でした。話を伺ってみると、私とは反対に性格も明るく人当たりもよく、東京に行くこともやぶさかではない様子。基本的には個人の希望を考慮の上、配属先は決定するとのことでしたし、東京行きは私ではないだろう。一抹の不安を抱きつつも、約2ヶ月間の研修を終えました。

文脈から推察できますが、研修後の配属発表で私は東京支店、営業に配属されることを告げられました。どうやら入社の段階ですでに配属先は決まっていたようです。田舎でのんびり暮らす人生設計は早々に崩壊し、入社したことを大いに後悔しました。Uターンして来た息子が再び離れ行くことを両親も嘆いていました。配属決定の方法や進め方に対しては、人事部に対して今でも色々と思うところがあります。

と、ここまで仰々しく書いて来ましたが、社会に出たばかりの20代の方にとっては、どこにでも見られるありふれた話でしょう。私自身、単純に都会に出ることが怖かっただけなのです。

実際、あれから約10年が経ちますが、すっかり東京に馴染み、同僚と酒を飲みつつ上司や会社への愚痴で日々のストレスを癒やす日々を送っています。充実した毎日ではないですが、この生活に満足している自分もいます。今では故郷に帰っても仕事はないし、友人もいない。このまま東京に住むのも悪くないなぁと思い始めています。

それでも、あの時、私が地元に留まることになっていたら、どんな人生を歩んでいたのかなぁ。

間もなく10年目を迎える東京で過ごした年末年始にふと思いました。

#サラリーマンの備忘録 #新入社員  

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