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原点回帰:シエラネバダトレッキング

帰国1週間前という差し迫った時期にも関わらず、最後に行ってきました。
スペイン、シエラネバダ山脈の北側、グエハルシエラでのトレッキング。

4年前に初めて海外の山での外乗をしたのがここでした。
このnoteの最初の記事で書いたように、ヘレスのアンダルシア馬術学校と併せて、馬たちが苦しそうだったり嫌そうだったりせず、対等な相手として尊重してもらっている様子に、何がこんなにも違うのだろう?と不思議に思ったのがこの時。

それから2年後、偶然にもロンドンへの赴任が決まり、その謎を解明する機会を得たのでした。


さて、その謎の話は、帰国後にまとめるとして、今回はこのグエハルシエラのトレッキングの話。

スペインのグラナダからバスで1時間ほどの場所に、グエハルシエラという村があります。
その村からさらに車で15分ほど走ったところにあるのが、”The Holly Oak"というトレッキングセンターです。

前回はグラナダまで送迎をお願いしたのですが、今回は路線バスに挑戦。
したものの、ホテルの近くから出ている市内バスとの路線バスの都合上、始発から一つ目のバス停でグエハルシエラに向かうバスに乗ろうとしたら、バス停の表示がわかりにくく、さらに現在はこのバス停には止まらないといった表示が。
結局、バスが来たところで手を挙げてアピールしたら何とか止まってくれたので事なきを得ましたが、朝からかなり焦りました。

グエハルシエラに着いたら、オーナーが車で迎えに来てくれます。
4年ぶりの再会です。

そして、The Holly Oakへ到着。
懐かしい。

今日乗せてもらうのは、セネテという小柄な鹿毛のお馬さんです。
”セネテ”は、1300年の歴史を持つアラブ語で、軽快な乗り方を指し、スペイン語でライダーの意味を持つ”ジネテ”の語源となったとも言われているそうです。
名前の通りとっても軽い馬だから、ハミでケンカしないように、ソフトに手綱を持ってね、とのアドバイスをもらいました。

今回一緒に行ったのは、オーナーではなく、元バケーロ(スペイン版カウボーイ)と元軍人さんという、とてつもなく心強いメンバーでした。
この日は天気があまりよくないという予報でもあったのですが、馬と山のプロのバケーロと、サバイバルなら何でも来いであろう元軍人の幹部の方、ということで、何かあれば二人が助けてくれるはず!と、いうことで、10時半に、いざ出発!!

今日はなんと、これまでの外乗で最長の、6~7時間コース!
さて、どうなることでしょうか。。

天気はまずは大丈夫そう。
むしろ暖かいくらいです。

ただ、セネテが思った以上に積極的で、ガイドの元バケーロの乗るジリという馬を追い越しそうになります。
しかも、手綱を引くと嫌がるそぶりをするばかりで、止まる気配がない。
とりあえず、ジリのお尻に常にくっつくことで、勝手に前に出ないようにすることにしました。

元軍人の方が乗るのは、ルヘンダリオ。
前回来た時に私が乗った馬です。
ルヘンダリオは結構足元を気にしていて、セネテが蹴り癖があることもあり、少し離れてついてくる感じでした。

少し道を歩いて、山に入っていきます。
すると、黄色い花から甘い良い匂いが漂ってきます。


エニシダという種類の花のようで、この花の蜜から作ったはちみつはとても美味しいそうです。
(見つけられなかったので、買えなかった。。)

岩の多い道なき道もざくざく登っていきます。
前回はおっかなびっくりでしたが、今回はもう大丈夫。
長丁場になるので、なるべく要らぬ力を使わないように、楽に登ることを心掛けました。

かなり登ったところで、少しギャロップ。
セネテはかなり速く、最後にはジリを追い抜かしてしまいました。

登って登って、尾根に到着。
近くの展望台で、ランチです。ランチは、オーナーが用意してくれたパエリアと、卵とトマトの炒め物。
他の二人に、革の水筒に入ったワインを分けてもらったりしながら、1時間弱休憩しました。

この間、ルヘンダリオは鞍を付けたまま砂浴びをしようとし、それを見たジリも真似をして寝転ぶ、ということを何回か繰り返し、元バケーロに怒られていました。

しっかり休憩したら、いざ出発!
十分に休憩を取ったのはセネテも一緒。
すっかり元気になっていて、岩のある急な坂を駈歩で登ろうとするセネテ。

そして再度ギャロップ。
完全に充電されていて、ジリの後ろを歩くのもじれったそうにしていたセネテは、少し予想していた通り、ジリを抜かしてダッシュ!!
一瞬焦りましたが、すぐに諦め、そのまま走ってもらうことに。
とはいえ、ある程度のところで止まってくれないと困るなと、何度か身体を起こして手綱を左右に引いてみて、坂を登り切ったところでなんとか止まってくれました。
この前のブレコンビーコンでのギャロップのお陰で、落ち着いて対応できました。
そして、追いついた元バケーロとハイタッチ!

ジリさんがだいぶ疲れてきたこともあり、少しの間だけ体力無尽蔵なセネテが先頭を交代しました。
ほぼ速歩な常歩というか、ピアッフェしているような感じで、軽快に進むセネテ。
前に馬がいなくて楽しそうでしたが、内心ちょっと、そのまま走りださないでね、と思いながら乗っていました。

その後も谷を下ったり、また登ったりを繰り返します。
下りでもセネテはたまに速歩を試みるので、気が抜けません。

そして、グエハルシエラの村について、お茶タイム。
お茶とチョコレートで生き返りました。

そして後は牧場へ戻るだけ。
でも、その道すがらも、グエハルシエラとカナレス貯水池を見下ろす絶景スポットがあったりと、魅力がたくさん。

2度のギャロップ以外は常歩でも、全く飽きることはありません。

牧場に戻ったのは夕方6時ごろ。
出発してから7時間半ほど経っていました。

ランチタイムに背中をストレッチしたり、下りが続くと太ももの外側が痛くなってくるので乗りながら脚を伸ばしたりしていましたが、思ったより大丈夫な感じ。

そして、オーナーも含めみんなで休憩。
途中で拾ったキノコも炭で焼いて味見。

なかなか美味でした。

結局一度も雨に降られることもなく、青空の下戻ってくることができました。
ぎりぎり晴れ女の称号、挽回です。

セネテは終始元気で、じっと止まるということもなく、簡単な馬ではありませんでしたが、それも新しい体験で、楽しめました。

帰国1週間前という時期に若干無謀な旅ではありましたが、本物のバケーロとの旅、行ってよかったです。

The Holly Oak、こちらです。
グラナダまで旅するコースも楽しそうですよ。