コミュニティでトラブルが起きた際、私達はどうすべきか。2

はい、おはこんばんにちは
今回もコミュニティについてざざっと話していきたいと思います。
前回、運営の介入の積極性、メンバーの全体主義的な価値観の有無によって4つにケース分けしました。

今回はそれぞれのコミュニティについてさらに深堀りしてきましょう。

運営が介入的かつ個人が全体主義的なグループ

このグループは非常に深刻です。運営がメンバーに「こうあるべき」という道徳的価値観を規定し、それにメンバーが喜んで従います。

そこに批判的な思考はなく、正しさを求めることもできず、運営者の言う事に従います。
イエスマンばかりの会社を想像してください。つまりこのグループはそんな場所です。異なった価値観を認めず違った価値観を持つ人間を排除し、グループから追放しようとします。
なぜこのようなグループができるのでしょうか。ワンマン企業とかで社長が最初からそうである場合もあるのですが、多くのコミュニティは次に説明するグループが関係してきます。

運営が非介入的だが個人が全体主義的なグループ

はい、こちら本日の問題児です。
運営はメンバーの自由を認めていますが、メンバーがメンバーの自由を認めないタイプのグループです。

このグループは表面上はルールも少なく自由が存在しているように見えるのですが、メンバーが異なる意見を排除します。例えば、ゲームの問題点について正当な改善要求やはたまた「面白くなかった」などのネガティブな反応に対してバトルを始めます。何度も言いますが、運営が命令したわけではないのです。前回も例に上げたヘブバンの晒し上げ事件の話をしていきましょう。


この話にヘブバンのファンは烈火の如く怒りました。

「好きなもの否定されたら怒るに決まってるだろ、いい加減にしろ!!」

そう思われた方もいるかも知れません。
しかし、彼が私と同じ感想を持たなければならない決まりがどこにあるのでしょうか。彼がどのような感想を持つかは自由ですし、私と違う感想を持っても私は1円も失うことはないし、殺害されるわけでもないのです。
「彼はそう思ったのか、ふーん、私はそうは思わないけどね」が本来あるべき反応なのだと私は考えています。理性的にいくらか反論することはあっても少なくともブチギレることはないです。

では、なぜ怒ったのでしょうか。これはヘブバンというものに彼らの自己が拡張していたからです。
自己を拡張するというのは全体主義の社会によく見られる流れで一つのコンテンツが彼らのアイデンティティそのものになるのです。彼らにとってヘブバンはソシャゲではなく彼らそのものであり、宗教であり、シナリオライターは神なのです。自分の信じる神を否定されたら誰でも怒るわけです。神や宗教の考えに多様な価値観や多様な感想など存在してはならないのです。

こうして個人が全体主義であることの恐ろしさや狂気が説明できたと思うのですが問題はここからです。
このタイプのグループでは圧力をガン無視することができれば好きに発言することができます。運営自身は形式上(実際どう思っているかはわからない)はメンバーの多様な感想(もちろん批判的な感想も含め)を許容しているのです。

では、もし圧力をガン無視して彼らにとって不都合な正論を喚き続ける人物がいたらどうなるのでしょう。
地獄が出来上がります。

そして、隷従への道を突き進む


1.悪意ある批判者が現れる
批判動画の再生数などを狙う批判者により、コミュニティ内にコンテンツを批判するものが現れます。
金目当てなので批判者は引きません。コミュニティの論争が絶えなくなる。

2.組織内の圧力が強まる。
コミュニティはこの批判者をいつものように圧力をかけて黙らせようとする。秩序と自らのアイデンティティを守るべく必死に戦うでしょう。

3.しかし問題は解決しない
必死に戦えば戦うほど、批判動画の再生数は伸び、金目当ての悪意あるユーザーの利益になっていきます。再生数が回る投稿者はどんどん批判動画を投稿します。

4.運営の介入を求める声が大きくなる
もはや、全体主義的な一般プレイヤーだけではこの問題に対処することが不可能であると悟り、運営の介入を求めるようになります。この際、グループに多くいる普通のメンバー(穏健派と言われる人たち)も事態の早期収集のために協力する。

5.運営がガイドラインを作り取り締まりを強化する
悪意ある人物のためにガイドラインが作成されます。これにより悪意ある人物の問題は解決することになります。

6.しかし、取り締まりは拡大する
悪意ある人物はいなくなったものの、コミュニティ内の全体主義者から見たら秩序を乱しそうな発言は溢れているわけです。
これらを統制するために全体主義的なメンバーはガイドラインの拡大解釈を決行します。最初は明確な悪意ある発言が対象でしたが、次第に普通のメンバーの中にも『批判的に見える』発言や、運営の意図と異なる解釈を許さない風潮が広がります。

7.あなたのSNSは監視されている
あなたの発言は常にコミュニティの誰かに監視されています。発言はメンバーにより逐一監視され、なにか反運営的な発言があればすぐに共有されます。

7.そして、自由は死んだ
なんの気もなしに発言した言葉が秩序を乱すと判定され、攻撃対象となります。例えばこのキャラはツインテールのほうが好きだったやこの子がお気に入りだからこの子の新衣装ほしい、といったようなただの好みの表明や願望を言うことが運営への反逆となり処罰対象となります。今までは許されていた発言が許されなくなり自由が死亡します。

ああ、もう全部終わりだよ


そう、先程なぜプロセカのようなメンバーの道徳心に直接介入するようなコミュニティが出来上がるのか、という話をしました。これがその答えです。

運営者が規制を望んでるわけではないのです。メンバーが規制を望んでいるのです。
覚えておいてください。全体主義者が全体主義を作り出すわけではありません。全体主義が全体主義者を作り出すのです。

今回はこれで終わります。
次回は個人主義的メンバーのグループについて書いていきます。


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