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【R6年診療報酬改定】【生活習慣病管理料(Ⅱ)】新しい生活慣習病療養計画書(初回)様式9を検証する

 多くの診療所・病院では、【生活習慣病管理料(Ⅱ)】を算定するための文書「療養計画書」には、厚労省のひな型をベースにしていると思います。
6月からの開始ですので、まずは初回用の療養計画書を検証しましょう。

新バージョン

今までの療養計画書は以下の通りです。

旧のバージョン

 新しいバージョンは旧バージョンと比べて、検査・問診が簡素化されています。
 また、重点を置く領域と指導項目は、多職種の担当者がサインするように
担当者の氏名欄と(印)がありました。旧バージョンにあった服薬指導が消えており、検査項目が追加されています。
 これにより、計画書の位置づけと狙いが大きく変わっていることがわかります。 しかし、内容の方といえば、残念ながらあまりよく練られていません。【生活習慣病管理料(Ⅰ)】用の療養計画書から、項目を絞って、患者さんにわかりやすくしたつもりなのでしょうが、例によって指導に至る前提や診察室の中での医師と患者さんのやり取りおよび今後の診療計画等を想定していないので、枠だけ作っときました的な雑な仕事、やっつけ仕事です。

 何よりも、新旧で異なるのは、計画書作成の手順です。

 旧のバージョンは、まず医師が起票した後、医師と薬剤師を含んだ多職種とで、今後の診療方針や指導事項を作り、計画書に反映していく段取りになります。入院計画書の策定に近いイメージだと言えます。
 新のバージョンでは、特定疾患管理料(口頭での指導で即算定)からの移行ですから、医師が患者さんと対面で会話しながら、達成目標と行動目標をちょいちょいと文書化したら、後は医師がオーダーを出して多職種に繋げるという段取りを想定していると考えられます。
 こうすることで、【特定疾患管理料】で楽に慣れすぎ、【生活習慣病管理料(Ⅰ)】が面倒と考えている医師も算定できる狙いでしょう。ですが、栄養指導など後につながるものが示されていません。
 今のところ、現場の認識は追いついていません。残念ながら、「簡単な処理で済んでいた特定疾患管理から面倒な生活習慣管理に変わった、面倒でしかない」という狙いとは真逆の反応です。
 準備不足で考え方・狙いを敷衍する時間がなかったこともありますが、計画書の以下の欠点も大きく影響しています。
 ・管理(Ⅰ)と(Ⅱ)の違いがわかりにくい
 ・負荷を減少する仕組みが備わっていない
 ・多職種連携の考え方が反映していない

今一度、生活慣習病の疾病管理の見直しについてちゃんと理解する必要があると考えます。



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