チェーン店頑張れ

最初にそれを感じたのは、確か愛媛県で入店した「Y」。
おそらく店をたった一人で回している。
客は私たち3人だけ。
そばをゆでて出すだけの作業だと思うのだが、入店してから20分以上待たされた。
遅れてすみませんと言うわけでもない。
そばはおいしかったけれど、そのスピード感にとまどった。

二回目は岐阜県で入店した「K」。
いつもは手際よく、多くの客をさばいていくのが印象的な店。
でも、その夜担当していた2人は違った。
さぼっているのとは違う。
一生懸命働いているのだけれど、要領を得ていない。
人気店だから、客は順番に席を埋めていく。
2人は働いている。
でも、いつまでたっても商品が出てこない。
全く回転しない。

帰ってしまう客もいる中で、私は30分くらい彼らの仕事を見ながら待っていた。
慎重なのだろうし、客を待たせることに特別申し訳ない気持ちは持たないのだろう。
マイペースでの接客が行われた。
やはり出てくる商品に問題はなかったけれど、ここでもこんなことが起きているのだと思った。

そして三回目はやはり岐阜県の「O」で起きた。
夕方の時間帯。
店内はそれほど混んでいるとは思えない。
店員はたくさんいる。
でも入り口のところで、名前を書いて待つように言われた。
私が名前を書いたのは三組目。
すぐに席に案内されるだろうと思っていたが、10分しても案内がなされない。
席は空いているように見える。
予約席というわけではなさそうだ。
前の客が食べた後の、片づけが済んでいないのかもしれない。
そんな風に思っているとようやく席に案内された。

「決まったらボタンでお知らせください」店員は確かにそういって、私たちの席を離れた。
メニューを決めて、チャイムを押す。
私としては、すぐに店員が来てくれることを期待している。
でも来ない。
5分くらい待つ。
クレーマーに思われるのは嫌だ。
でも明らかに忘れられているだろう。
いくらなんでも遅すぎる。
2回目のチャイムを鳴らす。
店内にチャイムの音が響く。
チャイムが壊れているわけではない。

それでも来てくれないから、今度は店員と目が合うのをひたすら待った。
目が合った瞬間に手を上げて呼んだら、店員が来てくれて、笑顔で接客してくれた。
注文した後のメニューの提供が遅かったり、味が悪かったりということはない。
でも全体で言うと、ぐったりで、がっかりした。
店の入り口に目をやると、私たちが来たときよりもたくさんの客が待たされている。
空席が半分以上あった。

入店するやいなや、安価に、おいしい食事が提供される日本のチェーン店。
それがなんだか変わってしまった。
田舎の、繁盛していない店で、入店してからラーメンをゆでるための鍋に火をつけるとか、トンカツ屋の油に火が入るということはこれまでも経験がある。
でもそれなりに客がいるチェーン店で、今回のようなオペレーションがなされるのは、長くチェーン店を利用してきて初めてのことだ。
しかも一店舗ではない。
いろいろな人気店でそうなっている。
人材不足なのかもしれない。
できない人を厳しく指導することができないのかもしれない。

いずれにしても、それほど頻繁に外食しない私がここ1年のうちに出会ったことだ。
チェーン店が無くなると、高級店ばかりになる。
私が行けるのは、個人経営の町中華とカレー屋ばかりになりそうで怖い。
チェーン店頑張れ。

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