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ROOM 3A|HITOSHI NAGASAWA

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トークショー&サロン「ロマン的魂と夢」を主催する長澤 均の小部屋。
運営しているクリエイター

#エッセイ

HITOSHI NAGASAWA|宿命の女と死─『死都ブリュージュ』の世紀末

Text|長澤 均  およそ夕暮れと散策を語ったら、ジョルジュ・ローデンバックの右に出る作家はいないかもしれない。1892年に書かれた『死都ブリュージュ』は妻亡きあと、「灰色の街」であるベルギーのブリュージュに移り住んだ主人公が、夕暮れどきに街を彷徨するうちに亡き妻そっくりの女性と出会う物語だ。  毎日、同じ夕刻に色が沈んだ街を散策する主人公ユーグの寂寥感は、亡き妻へのひたすらな愛によってさらに寂しい風景となる。彼は妻のものは何ひとつ棄てず、さらに金色の遺髪をクリスタル・

HITOSHI NAGASAWA|夢は第二の人生だ

Text|長澤 均  「ロマン的魂と夢」......なんと心惹かれる言葉か、と思うのだが、じつはこれはドイツ・ロマン派研究の碩学アルベール・ベガンの浩瀚な書物のタイトルだ。  とても分厚い本で、ドイツ・ロマン派を論じながらフランスの小ロマン派にも言及している。しかも書物全体を通して「夢」を基軸に。  そうそう、夢というならジェラール・ド・ネルヴァルは「夢は第二の人生だ」と書いた。ネルヴァル自身この一節がたいそう気に入ったとみえ、彼のいくつもの小説でこの一文が登場する。  そ