HITOSHI NAGASAWA|ロマン的魂と夢《2》|ピエール・ルイスが描いた宿命の女
19世紀後半、それは作家ピエール・ルイスが飽くなき欲望を持って女たちを追い、ギリシャ古典文化に耽溺し、詩を書き、そして小説をものにした時代だった。
早くも戦前日本で翻訳紹介されたこの詩人はしかし、当時の感覚からすればあまりにエロティックな作品が多く、なかば好事家好みの作家として少数の人だけに愛好されたようである。
『ビリチスの歌』、『アフロディテ』、『女と人形』、『ポーゾール王の冒険』あたりが翻訳もされて知られている作品だろう。
なかでも物語としての起