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ROOM 3A|HITOSHI NAGASAWA

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トークショー&サロン「ロマン的魂と夢」を主催する長澤 均の小部屋。
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2022年5月の記事一覧

HITOSHI NAGASAWA|宿命の女と死─『死都ブリュージュ』の世紀末

Text|長澤 均  およそ夕暮れと散策を語ったら、ジョルジュ・ローデンバックの右に出る作家はいないかもしれない。1892年に書かれた『死都ブリュージュ』は妻亡きあと、「灰色の街」であるベルギーのブリュージュに移り住んだ主人公が、夕暮れどきに街を彷徨するうちに亡き妻そっくりの女性と出会う物語だ。  毎日、同じ夕刻に色が沈んだ街を散策する主人公ユーグの寂寥感は、亡き妻へのひたすらな愛によってさらに寂しい風景となる。彼は妻のものは何ひとつ棄てず、さらに金色の遺髪をクリスタル・

HITOSHI NAGASAWA|ロマン的魂と夢《1》|シュルレアリスムという「時代の気分」

 「ロマン的魂と夢」とはアルベール・ベガンのロマン派研究の書物に由来するものですが、ここではロマン派そのものではなく、そこからいくつも派生していくであろう、いろいろな美学について書いていきます。ロマン派気質の人の琴線に触れるような、遠い過去も...現在も...  第1回目は、21世紀に入ってからのシュルレアリスム気分とは何なのか? を優れた女性アーティストの紹介も含めて。  「奇想のモード ─ 装うことへの狂気、またはシュルレアリスム」と題された展覧会が東京都庭園美術館で開

HITOSHI NAGASAWA|夢は第二の人生だ

Text|長澤 均  「ロマン的魂と夢」......なんと心惹かれる言葉か、と思うのだが、じつはこれはドイツ・ロマン派研究の碩学アルベール・ベガンの浩瀚な書物のタイトルだ。  とても分厚い本で、ドイツ・ロマン派を論じながらフランスの小ロマン派にも言及している。しかも書物全体を通して「夢」を基軸に。  そうそう、夢というならジェラール・ド・ネルヴァルは「夢は第二の人生だ」と書いた。ネルヴァル自身この一節がたいそう気に入ったとみえ、彼のいくつもの小説でこの一文が登場する。  そ