「リア充」と岡村靖幸

 昨日「リア充」という言葉のことを考えていて、ふと岡村靖幸のことを思い浮かべた。彼の歌は、その内容だけでみればまず間違いなく「リア充」に分類されるだろう。しかし実際に聴いてみると、この歌い手が自分のリアルに充実を感じているとは、とても思えない。
 岡村の歌にあるのは、いわば幻想の「リア充」である。願望の「リア充」である。そしてその、「手の届かないリアルな充実」に対して手を伸ばし続けている姿に、ぼくは、強烈にひきつけられる。そのときには、「リア充」かどうか、といった設問は、もうずっと遠くにある。


(2011.12.26)

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