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飲料大手メーカーの物流改善が王道だった!

二つの軸:「輸配送戦略」と「拠点戦略」

 「2024年問題」が始まる2024年4月を前に、政府にも民間にも様々な動きがありますが、2024年2月に発表されたキリングループの物流への対応策がまさに王道でした。
 改善の軸として、「輸配送」と「拠点」があげられています。「2024年問題」はトラックドライバーの働き方改革によるドライバー不足が最大の問題ですから、トラックをいかに効率的に走らせるか、は非常に重要な課題です。また、トラックの走行の出発地・到着地において余計な待機・付帯作業などを発生させないように、物流拠点においても2024年問題対応が必要になります。

荷主が目指すべき物流の目標

 物流改善の目標として、以下の3つの視点があげられています。
・トラック運行数の削減
・必要トラック台数の確保
・限られたトラックの有効活用
 これらは、どの荷主にも通じる普遍的な目標といってよいでしょう。これらを実現するために、どうしても行うべき、しかし、なかなか十分に実施されていないことが一点あります。
 運賃の値上げです。キリングループロジスティクス社では、これまでも段階的に値上げを実施していましたが、2024年4月より、さらに運賃の値上げを実施すると発表しました。2020年と比較して全国平均で10%程度の値上げになるということです。

改善策の白眉:車建て運賃の採用

 発表されている改善策はどれも理に適ったものですが、とくに高く評価したいのは、運賃値上げと合わせ、車建て運賃を採用するという点でした。車建て運賃は、実運送事業者にとっては収入が安定し、ドライバーへも安定した賃金を出しやすくなります。
 これまでは「貨物重量ベース」だったそうです。「重量建て」とか「個建て」と言われる運賃は、何トン車で運ぼうと、何台に分けて運ぼうとも、5トン運んだ場合は5トン分、100個は混んだ場合は100個分の運賃しか、荷主は負担しません。
 「配送の頻度が高いから車両の積載率が低い」などと指摘されることがありますが、重量建てや個建ての運賃制度の場合、車両の積載率がどんなに低かろうとも、荷主が支払う運賃には差は発生しません。積載率を向上させようという動機は荷主には発生しないことになります。
 ところが「車建て」にすれば話は変わります。3台の大型トラックに3トンずつ載せて走行させれば3台分の運賃を払わねばなりません。工夫して1台にまとめれば、1台分の運賃で済みます。積載率を上げ、少ない車両で済むようにする荷主の努力が、きちんと報われる運賃制度が「車建て」なのです。 


 

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