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フィジカル・インターネット

インターネットの効率を物流に取り入れられないか?

フィジカルインターネットという考え方が出てきています。
今の物流は行き詰まっている、これを解決する手法は??ということで考え出されたものです。国もこれを利用し、物流の持続可能性を高めようとしているので、今回は、これについて考えてみたいと思います。

インターネットはものすごく効率的な情報のやり取りを可能にし、ローコストで大量のデータ交換を可能にし、世界を変えました。
物流の世界でもインターネットのように効率的にモノを動かせないか?という問題提起から、フィジカルインターネットというアイディアが生まれてきました。
フィジカルはモノ。実体があるものです。
これをどうやってインターネットのように動かしていくのでしょうか?

海上コンテナ・宅配便・フィジカルインターネット

既にフィジカルインターネットと似たようなものはあると言われていて、たとえば海上コンテナ輸送です。「海上コンテナ」という決まった規格の入れ物があり、それを大量・効率的に運べるコンテナ船があって、港から港へ運ばれ、港から需要地へと運ばれる。これがない時代と比べると、物流は文字通り一変したと言えるでしょう。

また、宅配便も似たようなものだと言えます。30kgまでの小口貨物という規格によって、それだけを動かす効率的なネットワークを構築することができました。
街の集荷拠点に集約された貨物は、県別などに仕分けされて大型車両で地方拠点に届けられ、そこから市町村別あるいはもっと細かく仕分けされて、小型トラックや自転車でオフィスや個人の家庭へと届けられます。

このようなネットワークを宅配便レベルでなく企業物流でもやれないか、というのがフィジカルインターネットということになります。
輸送のための容器について細かな規格が検討されていたりもするのですが、これを行おうとすると、かなり長い時間がかかってしまいます。

物流情報を共有してムダを省く

輸送の容器を統一することには時間もかかりますので、この際、あまり気にしないでおき、取り組みやすい点をうまく使うようにすれば、今の物流の問題点を画期的に効率化できると思われます。

自社の貨物だけで車両を満載にできるのは超大手企業など一部です。これからはトラック不足・作業者不足の時代に突入していきます。同業種・同地域といったなんらかの共通点で貨物を集め、一緒に物流を行っていくのは時流に適っています。

プラットフォームで荷主と物流事業者が直接つながる

複数の企業が一つの会社のように物流を行えるようにするのが「共通プラットフォーム」と呼ばれる仕組みです。貨物の動きに関わる情報をすべて同じネットワークを通じてやりとりし、ここを通じて動く貨物を最もムダのないように物流を行うのです。
このなかでは、時間指定や短いリードタイムなど、物流のムダを発生させる原因は可能な限り排除されていくでしょう。「注文したら翌日午前中に届けて」といった短い納品リードタイムを要求することは、物流の現場からみれば、ムダの発生原因ともなっています。

プラットフォームへの貨物の登録は荷主が直接行います。物流事業者はプラットフォームにアクセスすれば、直接荷主から仕事を受託できることになります。現在、業界においては多層構造が問題となっていますが、その問題は下請けの立場にある運送事業者が十分な報酬を得らえないことにあります。直接荷主から仕事を受託できれば、この問題は解消されます。フィジカルインターネットによって検討されているプラットフォームは、現在の物流の数々の問題を解決することになります。

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