経済産業省が表彰した物流・在庫の改善事例

今回は、2021年度「SCI大賞」について紹介します。これは、経済産業省で、メーカー、卸、小売が協力して、優れた取組を行った事業者を表彰しているものです。物流や返品関連、食品ロスの改善が主なテーマとなります。SCIとはサプライチェーンイノベーションの略称です。

メーカー、卸、小売が一体となって取組むことを「製配販」と表現することがあります。メーカーを「製」、卸売業を「配」、小売業を「販」とした略称です。「製配販」とは、一つのサプライチェーンを構成する企業の集まりという意味もあります。

いま、物流の改革には、このように他社と連携しての取組みが盛んに行われています。自社だけの取組みでは、物流という、出荷元と納品先をつなぐ活動の本質的な改善は無理だからです。

2021年7月、大賞を受賞したのは「スギ薬局、ライオン、PALTAC」の取組みでした。この3社による取り組みは2020年3月から開始されていますが、今後も継続していくとのことです。

初年度は、返品の削減に焦点が当てられました。まず返品の原因を分析し、原因ごとに改善に取り組みました。下記のように課題が整理されましたが、どこの企業にもありそうな課題です。皆様の会社ではいかがでしょうか。

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整理された課題ごと、一つずつの商品ごとに改善に取り組んだところ、ある商品については、売上は前年度比40%アップ、在庫を10%減らすことができました。また、廃番が決定した商品について効果的な消化計画を立てたところ、全体の返品率を1.3%から0.8%に抑えられました。ある商品では、終売時の在庫金額を86%も抑えることができたそうです。

「返品」は、企業にとってムダでしかありません。これを抑制するのは、製配販どれにとっても効果があります。スギ薬局らのこの取組には今後、5つのメーカーが新たに参加して、さらに取組を広めていくということです。

この取組みに大いに期待すると同時に、おそらく同様の問題が発生している多くの日本企業においてもこの成果を研究して頂き、自社のお取組みに活かして頂きたいと思います。次回はSCI大賞の優秀賞をご紹介していきます。


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