Wandering

随分遅く大人になった 諦めの果てに
言葉だけでも 器用になって
多分、上手く生きてられるのさ

嘘の一つもつけないままじゃ
報われやしないから
最初についた大きな嘘を
叱ってくれはしないんだね

一度きりの誓い 約束すら
忘れてしまうくらいに長生きだから
きっと取り返しのつかないものだけを
ぜんぶ美しいと思っていた

改札口 手を振ったままの君は
まだそこにいる

特別ばかり求めるうちに
すり抜けた普通に
敵わないことくらい分かるから
痛い日差しに目を覆った

輝いて見えた 知らない世界は
別に天地を覆すほどじゃなかった
どこか諦めきれない僕らから
ひとつひとつ希望を奪っていくだけ

遠くの影 追いつけなんてしなくても
まだ続くから

ああ 消えないまま
君だってそうだったんだろう 後悔を隠して
悲しくて 意味もなく立ち止まりながら
曲がり道を下る

ああ 未来なんて 考える間にできたこと
数えては悔やんだ
それでもまだ生き永らえてしまうから
血の滲む足で歩いた 

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