どちらでもいい

悪童日記からアゴタ・クリストフにハマり積読しながら読み進めている『どちらでもいい』
薄い本だがどっちでもいいや、ってことが淡々と描かれている短編小説で私は斧の話が好き。
読むとスッキリするから。
夫をベッドの下の斧へ向けて蹴り落とし殺害した妻。とりあえず医者を呼んで、だって事故だから警察じゃないよね。そうこれは事故なのですよとても悲惨なと訴える妻。妻の話し言葉で綴られる文章は声に出して読むと本当に気分爽快。
あぁ、あの憎きひとを、目障りなひとを、やっと…。
『どちらでもいいって気分でした。』
『今朝は、何もかもが素晴らしいと思えたんです。』
えぇ、えぇ、そうですね。人を殺しておいて、何もかもが素晴らしいと思える。
これを感情を込めて読むと本当にスッキリとした気分になる。何もかもが素晴らしく感じるほど、雲のことを考えてどっちだっていいやって思えるほどの、清々しいあの気持ち。
世界が輝いて風の気持ちの良いその日は人を殺した日。
どうでもいい、どちらでもいいんです。全部。

だって朝がこんなに眩しいから!

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