毎日会社法を五条ずつ読んでみる:第四回_第十条~第十五条
4回目は第十条から第十五条です。前回が第六条から第九条と四条だったのに対して、今回も区切りの関係から六条になりました。もうタイトルブレブレ(笑)
第十条(支配人)
第三章 会社の使用人等
第一節 会社の使用人
(支配人)
第十条 会社(外国会社を含む。以下この編において同じ。)は、支配人を選任し、その本店又は支店において、その事業を行わせることができる。
支配人……。あのタキシードの??第二条の定義にはなかったなと思ったら、次条に権限が規定されています。
第十一条(支配人の代理権)
(支配人の代理権)
第十一条 支配人は、会社に代わってその事業に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
2 支配人は、他の使用人を選任し、又は解任することができる。
3 支配人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
なるほど。支配人は、会社の代わりに事業に関する一切の裁判上または裁判外の行為をする権限、使用人(≒従業員)の選任・解任をする権限があると。んで、会社は支配人の権限に制限を加えられるけど、その制限が加えられていることを知らない第三者に、「いや、その権限は制限してたから」とはできないってことか。
権限の大きな使用人ということね。
ちなみにかなり先ですが、支配人を選んだら登記しないといけないようです。
(支配人の登記)
第九百十八条 会社が支配人を選任し、又はその代理権が消滅したときは、その本店の所在地において、その登記をしなければならない。
第十二条(支配人の競業の禁止)
(支配人の競業の禁止)
第十二条 支配人は、会社の許可を受けなければ、次に掲げる行為をしてはならない。
一 自ら営業を行うこと。
二 自己又は第三者のために会社の事業の部類に属する取引をすること。
三 他の会社又は商人(会社を除く。第二十四条において同じ。)の使用人となること。
四 他の会社の取締役、執行役又は業務を執行する社員となること。
2 支配人が前項の規定に違反して同項第二号に掲げる行為をしたときは、当該行為によって支配人又は第三者が得た利益の額は、会社に生じた損害の額と推定する。
権限が強い分、競業の制限が課せられていて、自分で営業したり、自分の雇用主の会社の事業の部類に属する取引をしたりするんだったら、まず会社に許可を受けないといけない。もし勝手にやったら、支配人のその分の利益は会社の損害と推定するよ、と。
第十三条(表見支配人)
(表見支配人)
第十三条 会社の本店又は支店の事業の主任者であることを示す名称を付した使用人は、当該本店又は支店の事業に関し、一切の裁判外の行為をする権限を有するものとみなす。ただし、相手方が悪意であったときは、この限りでない。
でた、「表見」。「本店又は支店の事業の主任者であることを示す名称を付した使用人」なんで、紛らわしい名前を付された使用人は一切の裁判外の行為をする権限を有するものとみなされちゃうよ、でも相手が権限がないのを知っていたら別よってことか。
一応民法も見てみよう。
(代理権授与の表示による表見代理等)
第百九条 第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。
2 第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間で行為をしたとすれば前項の規定によりその責任を負うべき場合において、その他人が第三者との間でその代理権の範囲外の行為をしたときは、第三者がその行為についてその他人の代理権があると信ずべき正当な理由があるときに限り、その行為についての責任を負う。
(権限外の行為の表見代理)
第百十条 前条第一項本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。
第十四条(ある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人)
(ある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人)
第十四条 事業に関するある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人は、当該事項に関する一切の裁判外の行為をする権限を有する。
2 前項に規定する使用人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
第十一条第3項と同じような内容ですね。
第十五条(物品の販売等を目的とする店舗の使用人)
(物品の販売等を目的とする店舗の使用人)
第十五条 物品の販売等(販売、賃貸その他これらに類する行為をいう。以下この条において同じ。)を目的とする店舗の使用人は、その店舗に在る物品の販売等をする権限を有するものとみなす。ただし、相手方が悪意であったときは、この限りでない。
販売店の店員さんはその店舗の物品を売る権限があるとみなされるけど、本当はその権限がないことを知っているのに売ってもらった場合はそうはならないよってことか。まあそうですよね。普通に店に買い物に行って、店員さんがいたら、この人に言えば商品買えると思いますもんね。
まとめ
会社は「使用人」という強い権限を持つ使用人を選任して業務を行わせることができる。支配人は基本的に「その事業に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有」し「他の使用人を選任し、又は解任することができる」けど、会社はその権限を制限することができる。でも、制限されていることを知らない人と支配人が、権限がないのに取引しちゃった場合は会社は「権限を制限してたんですよ」と言い訳できない。
また、支配人だと誤解されるような名称を与えちゃっている場合、そのことを知っている人以外に対しては、その人は支配人だとみなされる。
物品の販売店の使用人(店員)は、その店舗の物品を販売する権限があるとみなされる。ただし、客がその店員に権限がないことを知っている場合を除く。
なんか日本語がちょっと変になっちゃった……。
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