毎日会社法を五条ずつ読んでみる:第十回_第四十六条~第五十一条

 十回目! 「第二編 株式会社」の「第一章 設立」の全九節の内、今日で七節までいけます! 全体だと、51/979! 先が長い……。


第四十六条

第五節 設立時取締役等による調査
第四十六条
 設立時取締役(設立しようとする株式会社が監査役設置会社である場合にあっては、設立時取締役及び設立時監査役。以下この条において同じ。)は、その選任後遅滞なく、次に掲げる事項を調査しなければならない。
一 第三十三条第十項第一号又は第二号に掲げる場合における現物出資財産等(同号に掲げる場合にあっては、同号の有価証券に限る。)について定款に記載され、又は記録された価額が相当であること。
二 第三十三条第十項第三号に規定する証明が相当であること。
三 出資の履行が完了していること。
四 前三号に掲げる事項のほか、株式会社の設立の手続が法令又は定款に違反していないこと。
2 設立時取締役は、前項の規定による調査により、同項各号に掲げる事項について法令若しくは定款に違反し、又は不当な事項があると認めるときは、発起人にその旨を通知しなければならない。
3 設立しようとする株式会社が指名委員会等設置会社である場合には、設立時取締役は、第一項の規定による調査を終了したときはその旨を、前項の規定による通知をしたときはその旨及びその内容を、設立時代表執行役(第四十八条第一項第三号に規定する設立時代表執行役をいう。)に通知しなければならない。

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 設立時取締役(監査役設置会社ではプラス監査役)は、選任されたら調査をしないといけない。お金じゃなくて現物出資について、定款に書いた価額があっているか(相当であるか)。それらに対する弁護士などの証明があっているか(相当であるか)。出資の履行が完了しているか。設立手続きが正当か。
 もし、調査でまずいこと(法令や定款に違反、不当な事項がある)がある場合、発起人に通知しないといけない。指名委員会等設置会社の場合、設立時取締役は、設立時代表取締役に調査の終了(まずいことがあったらその旨)を通知しないといけない。

(定款の記載又は記録事項に関する検査役の選任)
第三十三条
 発起人は、定款に第二十八条各号に掲げる事項についての記載又は記録があるときは、第三十条第一項の公証人の認証の後遅滞なく、当該事項を調査させるため、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをしなければならない。
(中略)
10 前各項の規定は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める事項については、適用しない。
一 第二十八条第一号及び第二号の財産(以下この章において「現物出資財産等」という。)について定款に記載され、又は記録された価額の総額が五百万円を超えない場合 同条第一号及び第二号に掲げる事項
二 現物出資財産等のうち、市場価格のある有価証券(金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第一項に規定する有価証券をいい、同条第二項の規定により有価証券とみなされる権利を含む。以下同じ。)について定款に記載され、又は記録された価額が当該有価証券の市場価格として法務省令で定める方法により算定されるものを超えない場合 当該有価証券についての第二十八条第一号又は第二号に掲げる事項
三 現物出資財産等について定款に記載され、又は記録された価額が相当であることについて弁護士、弁護士法人、弁護士・外国法事務弁護士共同法人、公認会計士(外国公認会計士(公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)第十六条の二第五項に規定する外国公認会計士をいう。)を含む。以下同じ。)、監査法人、税理士又は税理士法人の証明(現物出資財産等が不動産である場合にあっては、当該証明及び不動産鑑定士の鑑定評価。以下この号において同じ。)を受けた場合 第二十八条第一号又は第二号に掲げる事項(当該証明を受けた現物出資財産等に係るものに限る。)

同上

第二十八条 株式会社を設立する場合には、次に掲げる事項は、第二十六条第一項の定款に記載し、又は記録しなければ、その効力を生じない。
一 金銭以外の財産を出資する者の氏名又は名称、当該財産及びその価額並びにその者に対して割り当てる設立時発行株式の数(設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合にあっては、設立時発行株式の種類及び種類ごとの数。第三十二条第一項第一号において同じ。)
二 株式会社の成立後に譲り受けることを約した財産及びその価額並びにその譲渡人の氏名又は名称

同上

第四十七条(設立時代表取締役の選定等)

第六節 設立時代表取締役等の選定等
(設立時代表取締役の選定等)
第四十七条
 設立時取締役は、設立しようとする株式会社が取締役会設置会社(指名委員会等設置会社を除く。)である場合には、設立時取締役(設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合にあっては、設立時監査等委員である設立時取締役を除く。)の中から株式会社の設立に際して代表取締役(株式会社を代表する取締役をいう。以下同じ。)となる者(以下「設立時代表取締役」という。)を選定しなければならない。
2 設立時取締役は、株式会社の成立の時までの間、設立時代表取締役を解職することができる。
3 前二項の規定による設立時代表取締役の選定及び解職は、設立時取締役の過半数をもって決定する。

同上

 設立時取締役は、取締役会設置会社(指名委員等設置会社を除く)の場合、その中かから代表取締役を選定しないといけない。これは成立までに、取締役の過半数をもって解任できる。

第四十八条(設立時委員の選定等)

(設立時委員の選定等)
第四十八条 設立しようとする株式会社が指名委員会等設置会社である場合には、設立時取締役は、次に掲げる措置をとらなければならない。
一 設立時取締役の中から次に掲げる者(次項において「設立時委員」という。)を選定すること。
イ 株式会社の設立に際して指名委員会の委員となる者
ロ 株式会社の設立に際して監査委員会の委員となる者
ハ 株式会社の設立に際して報酬委員会の委員となる者
二 株式会社の設立に際して執行役となる者(以下「設立時執行役」という。)を選任すること。
三 設立時執行役の中から株式会社の設立に際して代表執行役となる者(以下「設立時代表執行役」という。)を選定すること。ただし、設立時執行役が一人であるときは、その者が設立時代表執行役に選定されたものとする。
2 設立時取締役は、株式会社の成立の時までの間、設立時委員若しくは設立時代表執行役を解職し、又は設立時執行役を解任することができる。
3 前二項の規定による措置は、設立時取締役の過半数をもって決定する。

同上

 お、ようやく指名委員会等設置会社が。指名委員会等設置会社の設立時取締役は、設立時取締役の中から、設立時委員として、以下を選定しないといけない。
・指名委員会の委員
・監査委員会の委員
・報酬委員会の委員
・執行役(設立時執行役)
・代表執行役(設立時代表執行役):執行役が一人だったらイコールその者
 これらも成立時までに、設立時取締役の過半数で解職・解任することができる。

第四十九条(株式会社の成立)

第七節 株式会社の成立
(株式会社の成立)
第四十九条 株式会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立する。

同上

 株式会社は本店所在地において登記をすることで成立。管轄の法務局にいって手続きをしないといけないですね。

第五十条(株式の引受人の権利)

(株式の引受人の権利)
第五十条 発起人は、株式会社の成立の時に、出資の履行をした設立時発行株式の株主となる。
2 前項の規定により株主となる権利の譲渡は、成立後の株式会社に対抗することができない。

同上

 発起人は設立時発行株式の株式になれる。この権利を譲渡しても、成立後の会社に対抗できない。内緒で息子に権利譲っちゃいましたわ、とかはダメってことね。

第五十一条(引受けの無効又は取消しの制限)

(引受けの無効又は取消しの制限)
第五十一条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第九十三条第一項ただし書及び第九十四条第一項の規定は、設立時発行株式の引受けに係る意思表示については、適用しない。
2 発起人は、株式会社の成立後は、錯誤、詐欺又は強迫を理由として設立時発行株式の引受けの取消しをすることができない。

同上

 設立時発行の株式の引受については、本当は引き受ける気がなかったよは通用しないし、会社が成立しちゃったら錯誤(勘違い)や詐欺・脅迫を理由に株式の引受を取り消すことはできない、と。

(心裡り留保)
第九十三条 意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。
(中略)
(虚偽表示)
第九十四条 相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。
2 前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。

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まとめ

 設立時取締役・監査役は、選任されたら現物出資のものの価額や、法令・定款に違反する事項がないかを調査しないといけない。取締役会設置会社は、会社の成立前に代表取締役を取締役の過半数をもって選任しないといけない。指名委員会等設置会社は、各種委員や執行役、代表執行役を選任しないといけない。
 会社は本店所在地で登記をすることで成立する。発起人は会社成立時に設立時株主になる。設立時発行の株式の引受は、引き受ける人が本当は引き受ける気がないのを相手が知っていても無効にならない。会社が成立しちゃったら錯誤(勘違い)や詐欺・脅迫を理由に株式の引受を取り消すことはできない。

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