毎日会社法を五条ずつ読んでみる:第二十三回_第百二十一条~第百二十六条

 区切りの問題で今回は六条。


第百二十一条(株主名簿)

第二節 株主名簿
(株主名簿)
第百二十一条
 株式会社は、株主名簿を作成し、これに次に掲げる事項(以下「株主名簿記載事項」という。)を記載し、又は記録しなければならない。
一 株主の氏名又は名称及び住所
二 前号の株主の有する株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)
三 第一号の株主が株式を取得した日
四 株式会社が株券発行会社である場合には、第二号の株式(株券が発行されているものに限る。)に係る株券の番号

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 株式会社は株主名簿を作成し、記載(書面)又は記録(電磁的記録)しないといけない。
・株主の氏名/名称、住所、株式の取得日
・株主ごとの持ってる株式数(種類株式を発行している場合には、その種類と数)、株券を発行している場合はその番号
 昔は株券の発行が義務だったみたいですが、現在は原則不発行です。昔、聞いていたラジオ番組で株券を買いに行く企画があったことを思い出しました(ニッポン放送株をライブドアが買い集めていたころ)。

第百二十二条(株主名簿記載事項を記載した書面の交付等)

(株主名簿記載事項を記載した書面の交付等)
第百二十二条
 前条第一号の株主は、株式会社に対し、当該株主についての株主名簿に記載され、若しくは記録された株主名簿記載事項を記載した書面の交付又は当該株主名簿記載事項を記録した電磁的記録の提供を請求することができる。
2 前項の書面には、株式会社の代表取締役(指名委員会等設置会社にあっては、代表執行役。次項において同じ。)が署名し、又は記名押印しなければならない。
3 第一項の電磁的記録には、株式会社の代表取締役が法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
4 前三項の規定は、株券発行会社については、適用しない。

「会社法」

 株主は株主名簿の交付(書面)、提供(電磁的記録)を請求できる。交付される株主名簿には、代表取締役の署名もしくは記名押印が必要。電磁的記録は電子署名が必要。
 株券を発行している会社には、これを適用しない。つまり、自分が株主であることの確認的な意味合いということですね。株券があれば名簿を見なくても、株主であることがわかりますからね。

(電子署名)
第二百二十五条
 次に掲げる規定に規定する法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置は、電子署名とする。
一 法第二十六条第二項
二 法第百二十二条第三項
三 法第百四十九条第三項
四 法第二百五十条第三項
五 法第二百七十条第三項
六 法第三百六十九条第四項(法第四百九十条第五項において準用する場合を含む。)
七 法第三百九十三条第三項
八 法第三百九十九条の十第四項
九 法第四百十二条第四項
十 法第五百七十五条第二項
十一 法第六百八十二条第三項
十二 法第六百九十五条第三項
2 前項に規定する「電子署名」とは、電磁的記録に記録することができる情報について行われる措置であって、次の要件のいずれにも該当するものをいう。
一 当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること。
二 当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものであること。

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第百二十三条(株主名簿管理人)

(株主名簿管理人)
第百二十三条
 株式会社は、株主名簿管理人(株式会社に代わって株主名簿の作成及び備置きその他の株主名簿に関する事務を行う者をいう。以下同じ。)を置く旨を定款で定め、当該事務を行うことを委託することができる。

「会社法」

 定款で株主名簿の管理人を定めて、事務を委託できる。逆に言うと、定款で定めないといけない、ということか。

第百二十四条(基準日)

(基準日)
第百二十四条
 株式会社は、一定の日(以下この章において「基準日」という。)を定めて、基準日において株主名簿に記載され、又は記録されている株主(以下この条において「基準日株主」という。)をその権利を行使することができる者と定めることができる。
2 基準日を定める場合には、株式会社は、基準日株主が行使することができる権利(基準日から三箇月以内に行使するものに限る。)の内容を定めなければならない。
3 株式会社は、基準日を定めたときは、当該基準日の二週間前までに、当該基準日及び前項の規定により定めた事項を公告しなければならない。ただし、定款に当該基準日及び当該事項について定めがあるときは、この限りでない。
4 基準日株主が行使することができる権利が株主総会又は種類株主総会における議決権である場合には、株式会社は、当該基準日後に株式を取得した者の全部又は一部を当該権利を行使することができる者と定めることができる。ただし、当該株式の基準日株主の権利を害することができない。
5 第一項から第三項までの規定は、第百四十九条第一項に規定する登録株式質権者について準用する。

「会社法」

 株式会社は、基準日を定めて、その日に記載・記録されている者を権利行使ができる者と定めることができる。この場合、行使できる権利の内容を定めないといけない。また、基準日の2週間前までに、基準日と権利の内容を公告しないといけないけど、定款に定めてあればしなくていい。
 権利の内容が株主総会・種類株主総会の議決権の場合、基準日の後に株式を取得した者にも権利行使をさせる事もできるけど、基準日に株式を持っていた者の権利を害することはできない。
 質権は第百四十六条以下で出てくるので、とりあえず置いておきます。

(株主名簿の記載等)
第百四十八条
 株式に質権を設定した者は、株式会社に対し、次に掲げる事項を株主名簿に記載し、又は記録することを請求することができる。
一 質権者の氏名又は名称及び住所
二 質権の目的である株式

(株主名簿の記載事項を記載した書面の交付等)
第百四十九条
 前条各号に掲げる事項が株主名簿に記載され、又は記録された質権者(以下「登録株式質権者」という。)は、株式会社に対し、当該登録株式質権者についての株主名簿に記載され、若しくは記録された同条各号に掲げる事項を記載した書面の交付又は当該事項を記録した電磁的記録の提供を請求することができる。

「会社法」

第百二十五条(株主名簿の備置き及び閲覧等)

(株主名簿の備置き及び閲覧等)
第百二十五条
 株式会社は、株主名簿をその本店(株主名簿管理人がある場合にあっては、その営業所)に備え置かなければならない。
2 株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
一 株主名簿が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求
二 株主名簿が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
3 株式会社は、前項の請求があったときは、次のいずれかに該当する場合を除き、これを拒むことができない。
一 当該請求を行う株主又は債権者(以下この項において「請求者」という。)がその権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。
二 請求者が当該株式会社の業務の遂行を妨げ、又は株主の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき。
三 請求者が株主名簿の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求を行ったとき。
四 請求者が、過去二年以内において、株主名簿の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。
4 株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、当該株式会社の株主名簿について第二項各号に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
5 前項の親会社社員について第三項各号のいずれかに規定する事由があるときは、裁判所は、前項の許可をすることができない。

「会社法」

 株主名簿を本店に備えておかないといけない。株主と債権者は、営業時間内に理由を明らかにして閲覧や謄写の請求をすることができる。
 理由が、権利の確保、行使に関する調査以外の目的、会社の業務遂行の妨げや株主の共同利益を害する目的、第三者への通報のため、過去二年以内に株主名簿の情報を利益を得て第三者に通報したことがある者からの請求以外は拒めない。ただなんとなく、じゃダメってことですね。
 親会社社員は、異番所の許可を得て、理由を明らかにして閲覧等を請求できるけど、前述の拒める目的の場合は裁判所は許可できない。

第百二十六条(株主に対する通知等)

(株主に対する通知等)
第百二十六条
 株式会社が株主に対してする通知又は催告は、株主名簿に記載し、又は記録した当該株主の住所(当該株主が別に通知又は催告を受ける場所又は連絡先を当該株式会社に通知した場合にあっては、その場所又は連絡先)にあてて発すれば足りる。
2 前項の通知又は催告は、その通知又は催告が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。
3 株式が二以上の者の共有に属するときは、共有者は、株式会社が株主に対してする通知又は催告を受領する者一人を定め、当該株式会社に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければならない。この場合においては、その者を株主とみなして、前二項の規定を適用する。
4 前項の規定による共有者の通知がない場合には、株式会社が株式の共有者に対してする通知又は催告は、そのうちの一人に対してすれば足りる。
5 前各項の規定は、第二百九十九条第一項(第三百二十五条において準用する場合を含む。)の通知に際して株主に書面を交付し、又は当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供する場合について準用する。この場合において、第二項中「到達したもの」とあるのは、「当該書面の交付又は当該事項の電磁的方法による提供があったもの」と読み替えるものとする。

「会社法」

 会社から株主への通知・催告は、株主名簿記載の住所にすればいいよ。一株を二人以上が共有する場合、共有している者は代表者を会社に通知しないといけないよ。会社は、もし代表者の通知がなかったら、誰か一人に通知すればそれでOK。株主総会(種類株主総会)も、同じ。

(株主総会の招集の通知)
第二百九十九条
 株主総会を招集するには、取締役は、株主総会の日の二週間(前条第一項第三号又は第四号に掲げる事項を定めたときを除き、公開会社でない株式会社にあっては、一週間(当該株式会社が取締役会設置会社以外の株式会社である場合において、これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間))前までに、株主に対してその通知を発しなければならない。

「会社法」

(株主総会に関する規定の準用)
第三百二十五条
 前款(第二百九十五条第一項及び第二項、第二百九十六条第一項及び第二項並びに第三百九条を除く。)の規定は、種類株主総会について準用する。この場合において、第二百九十七条第一項中「総株主」とあるのは「総株主(ある種類の株式の株主に限る。以下この款(第三百八条第一項を除く。)において同じ。)」と、「株主は」とあるのは「株主(ある種類の株式の株主に限る。以下この款(第三百十八条第四項及び第三百十九条第三項を除く。)において同じ。)は」と読み替えるものとする。

「会社法」

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