毎日会社法を五条ずつ読んでみる:第七回_第二十五条~第三十一条

 今回から第二編に突入! キリが悪いので7条読んでみます。これから100日くらいずっと株式会社……。


第二十五条

第二編 株式会社
第一章 設立
第一節 総則
第二十五条
 株式会社は、次に掲げるいずれかの方法により設立することができる。
一 次節から第八節までに規定するところにより、発起人が設立時発行株式(株式会社の設立に際して発行する株式をいう。以下同じ。)の全部を引き受ける方法
二 次節、第三節、第三十九条及び第六節から第九節までに規定するところにより、発起人が設立時発行株式を引き受けるほか、設立時発行株式を引き受ける者の募集をする方法
2 各発起人は、株式会社の設立に際し、設立時発行株式を一株以上引き受けなければならない。

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 設立方法ですね。①発起人が設立時の発行株式を全部引き受ける方法か、②発起人が引き受けるのに加えて引き受けてくれる人を募集する方法。発起人はどのみち一株以上引き受けないといけないんですね。

第二十六条(定款の作成)

第二節 定款の作成
(定款の作成)
第二十六条
 株式会社を設立するには、発起人が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。
2 前項の定款は、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)をもって作成することができる。この場合において、当該電磁的記録に記録された情報については、法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。

同上

 株式会社を作るには、発起人が定款を作って、全員で署名又は記名押印(署名の場合は印鑑不要なんですね)。電磁的記録でもOK。この辺は合同会社も同じですね。

第二十七条(定款の記載又は記録事項)

(定款の記載又は記録事項)
第二十七条
 株式会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
一 目的
二 商号
三 本店の所在地
四 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
五 発起人の氏名又は名称及び住所

同上

 定款の絶対的記載事項ですね。

第二十八条

第二十八条 株式会社を設立する場合には、次に掲げる事項は、第二十六条第一項の定款に記載し、又は記録しなければ、その効力を生じない。
一 金銭以外の財産を出資する者の氏名又は名称、当該財産及びその価額並びにその者に対して割り当てる設立時発行株式の数(設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合にあっては、設立時発行株式の種類及び種類ごとの数。第三十二条第一項第一号において同じ。)
二 株式会社の成立後に譲り受けることを約した財産及びその価額並びにその譲渡人の氏名又は名称
三 株式会社の成立により発起人が受ける報酬その他の特別の利益及びその発起人の氏名又は名称
四 株式会社の負担する設立に関する費用(定款の認証の手数料その他株式会社に損害を与えるおそれがないものとして法務省令で定めるものを除く。)

同上

 お金以外を出資する場合の諸々、会社設立後に譲り受ける財産について、会社が成立したときに発起人が受け取る報酬など、設立にあたって会社が負担するお金 は、定款に記載/記録しないと無効。内々で……ってのはダメってことですね。

第二十九条

第二十九条 第二十七条各号及び前条各号に掲げる事項のほか、株式会社の定款には、この法律の規定により定款の定めがなければその効力を生じない事項及びその他の事項でこの法律の規定に違反しないものを記載し、又は記録することができる。

同上

 絶対的記載事項、相対的記載事項、任意的記載事項のことですね。

第三十条(定款の認証)

(定款の認証)
第三十条
 第二十六条第一項の定款は、公証人の認証を受けなければ、その効力を生じない。
2 前項の公証人の認証を受けた定款は、株式会社の成立前は、第三十三条第七項若しくは第九項又は第三十七条第一項若しくは第二項の規定による場合を除き、これを変更することができない。

同上

 定款は公証人の認証を受けないと効力を生じない。
 第二十八条に掲げられた事項について記載・記録がある場合は、定款の認証後に検査役の選定を申し立てないといけなくて、検査によっては定款が変更される場合があるということか。「定款の作成→認証→検査」という順番で、すでに認証は済んでいるという順番だからこうなるのね。

(定款の記載又は記録事項に関する検査役の選任)
第三十三条
 発起人は、定款に第二十八条各号に掲げる事項についての記載又は記録があるときは、第三十条第一項の公証人の認証の後遅滞なく、当該事項を調査させるため、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをしなければならない。
 前項の申立てがあった場合には、裁判所は、これを不適法として却下する場合を除き、検査役を選任しなければならない。
3 裁判所は、前項の検査役を選任した場合には、成立後の株式会社が当該検査役に対して支払う報酬の額を定めることができる。
 第二項の検査役は、必要な調査を行い、当該調査の結果を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録(法務省令で定めるものに限る。)を裁判所に提供して報告をしなければならない。
 裁判所は、第四項の報告を受けた場合において、第二十八条各号に掲げる事項(第二項の検査役の調査を経ていないものを除く。)を不当と認めたときは、これを変更する決定をしなければならない。
8 発起人は、前項の決定により第二十八条各号に掲げる事項の全部又は一部が変更された場合には、当該決定の確定後一週間以内に限り、その設立時発行株式の引受けに係る意思表示を取り消すことができる。
 前項に規定する場合には、発起人は、その全員の同意によって、第七項の決定の確定後一週間以内に限り、当該決定により変更された事項についての定めを廃止する定款の変更をすることができる。

同上

(発行可能株式総数の定め等)
第三十七条
 発起人は、株式会社が発行することができる株式の総数(以下「発行可能株式総数」という。)を定款で定めていない場合には、株式会社の成立の時までに、その全員の同意によって、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければならない。
 発起人は、発行可能株式総数を定款で定めている場合には、株式会社の成立の時までに、その全員の同意によって、発行可能株式総数についての定款の変更をすることができる。

同上

第三十一条(定款の備置き及び閲覧等)

(定款の備置き及び閲覧等)
第三十一条
 発起人(株式会社の成立後にあっては、当該株式会社)は、定款を発起人が定めた場所(株式会社の成立後にあっては、その本店及び支店)に備え置かなければならない。
2 発起人(株式会社の成立後にあっては、その株主及び債権者)は、発起人が定めた時間(株式会社の成立後にあっては、その営業時間)内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、発起人(株式会社の成立後にあっては、当該株式会社)の定めた費用を支払わなければならない。
一 定款が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧の請求
二 前号の書面の謄本又は抄本の交付の請求
三 定款が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
四 前号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって発起人(株式会社の成立後にあっては、当該株式会社)の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求
3 株式会社の成立後において、当該株式会社の親会社社員(親会社の株主その他の社員をいう。以下同じ。)がその権利を行使するため必要があるときは、当該親会社社員は、裁判所の許可を得て、当該株式会社の定款について前項各号に掲げる請求をすることができる。ただし、同項第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該株式会社の定めた費用を支払わなければならない。
4 定款が電磁的記録をもって作成されている場合であって、支店における第二項第三号及び第四号に掲げる請求に応じることを可能とするための措置として法務省令で定めるものをとっている株式会社についての第一項の規定の適用については、同項中「本店及び支店」とあるのは、「本店」とする。

前述「会社法 | e-Gov法令検索」

 定款は本店と支店に備え置きしないといけない。株主と債権者は営業時間内にそれを見ることができる。でも、謄本や抄本の交付は費用を払う必要がある場合がある(会社が定めている場合)。会社成立後に親会社の社員がなんらかの権利を行使する必要がある場合はも、見ることができるけど、費用は払わないといけないよ。

まとめ

 株式会社を設立するには、発起人が設立時の株式を全部引き受けるか、一株以上を引き受けた上で別に引き受けるひとを募集する必要がある。発起人は定款を作成し、署名又は記名押印しないといけない(電磁的記録で作成してもOK)。定款には必ず記載しないといけない事項がある。お金以外を出資する場合などは、それも記載しないといけない。定款には、他にも記載しないと効力が発生しないものがある。その他法令に反しないことを書いてもOK。定款は公証人に認証してもらわないといけない。定款は、本店と支店に備え置かないといけない。株主と債権者は、その会社の営業時間内にはそれを見せてもらうことができる。

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