毎日会社法を五条ずつ読んでみる:第二十七回_第百四十六条~第百五十条

うい。


第百四十六条(株式の質入れ)

第三款 株式の質入れ
(株式の質入れ)
第百四十六条
 株主は、その有する株式に質権を設定することができる。
2 株券発行会社の株式の質入れは、当該株式に係る株券を交付しなければ、その効力を生じない。

会社法 | e-Gov法令検索

 株式も質入れできるんですね。株券発行会社(紙のやつ)は、株券を交付しないと質権の設定の効果が生じない。

質権は、担保権(担保物権)と呼ばれる権利の一種です。
担保権(担保物権)とは、債務不履行が発生した場合に、担保として預かった物を処分し、その代金から債権を回収できる権利です。

質権とは? 抵当権や担保権との違い・発生要件・対抗要件などを分かりやすく解説!

第四節 権利質
(権利質の目的等)
第三百六十二条
 質権は、財産権をその目的とすることができる。
2 前項の質権については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、前三節(総則、動産質及び不動産質)の規定を準用する。

民法 | e-Gov法令検索

第百四十七条(株式の質入れの対抗要件)

(株式の質入れの対抗要件)
第百四十七条
 株式の質入れは、その質権者の氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければ、株式会社その他の第三者に対抗することができない。
2 前項の規定にかかわらず、株券発行会社の株式の質権者は、継続して当該株式に係る株券を占有しなければ、その質権をもって株券発行会社その他の第三者に対抗することができない。
3 民法第三百六十四条の規定は、株式については、適用しない。

「会社法」

 質入れは株主名簿に質権者を記載・記録しないと第三者に対抗できない。株券発行会社の株式の質権者は株券を占有(持ってないと)第三者に対抗できない。
 株式の質入れについては、債務者の債務者に質権の設定を通知したり、承諾してもらわなくても、第三債務者に対抗できる。あくまで株式名簿が大事。発見している場合は占有もしておかないといけない。

(債権を目的とする質権の対抗要件)
第三百六十四条
 債権を目的とする質権の設定(現に発生していない債権を目的とするものを含む。)は、第四百六十七条の規定に従い、第三債務者にその質権の設定を通知し、又は第三債務者がこれを承諾しなければ、これをもって第三債務者その他の第三者に対抗することができない。

「民法」

(債権の譲渡の対抗要件)
第四百六十七条
 債権の譲渡(現に発生していない債権の譲渡を含む。)は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。
2 前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。

「民法」

第百四十八条(株主名簿の記載等)

(株主名簿の記載等)
第百四十八条 株式に質権を設定した者は、株式会社に対し、次に掲げる事項を株主名簿に記載し、又は記録することを請求することができる。
一 質権者の氏名又は名称及び住所
二 質権の目的である株式

「会社法」

 株式に質権を設定した者は、会社に対して株主名簿に自分の氏名/名称と住所、質権の目的である株式の記載/記録を請求できる。株主名簿を更新しろ、って言えるってことですね。

第百四十九条(株主名簿の記載事項を記載した書面の交付等)

(株主名簿の記載事項を記載した書面の交付等)
第百四十九条 前条各号に掲げる事項が株主名簿に記載され、又は記録された質権者(以下「登録株式質権者」という。)は、株式会社に対し、当該登録株式質権者についての株主名簿に記載され、若しくは記録された同条各号に掲げる事項を記載した書面の交付又は当該事項を記録した電磁的記録の提供を請求することができる。
2 前項の書面には、株式会社の代表取締役(指名委員会等設置会社にあっては、代表執行役。次項において同じ。)が署名し、又は記名押印しなければならない。
3 第一項の電磁的記録には、株式会社の代表取締役が法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
4 前三項の規定は、株券発行会社については、適用しない。

「会社法」

 質権についての情報が株主名簿に記載されたら、質権者は株主名簿に前項の情報が記載/記録されたという書面の交付/提供を請求できる。証明書みたいなもんですね。
 その書面には代表取締役が署名/記名押印しないといけない。データの場合は電子署名が必要。
 株券発行会社の場合は、上記は適用されない。ブツがありますからね。

第百五十条(登録株式質権者に対する通知等)

(登録株式質権者に対する通知等)
第百五十条 株式会社が登録株式質権者に対してする通知又は催告は、株主名簿に記載し、又は記録した当該登録株式質権者の住所(当該登録株式質権者が別に通知又は催告を受ける場所又は連絡先を当該株式会社に通知した場合にあっては、その場所又は連絡先)にあてて発すれば足りる。
2 前項の通知又は催告は、その通知又は催告が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。

「会社法」

 会社から、質権者への通知・催告は株主名簿に記載/記録の住所にすればOK。別途連絡先を通知していた場合はその場所/連絡先。これは株主への連絡と同じですね。
 普通届くタイミングで届いたとみなすよ、と。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?