毎日会社法を五条ずつ読んでみる:第十六回_第八十条~第八十六条

 今回で創立総会はラスト!


第八十条(延期又は続行の決議)

(延期又は続行の決議)
第八十条 創立総会においてその延期又は続行について決議があった場合には、第六十七条及び第六十八条の規定は、適用しない。

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 総会で、総会の延期や別の日時で続行担った場合、招集のための事項の決定、招集通知は不要、と。

(創立総会の招集の決定)
第六十七条
 発起人は、創立総会を招集する場合には、次に掲げる事項を定めなければならない。
(中略)
(創立総会の招集の通知)
第六十八条
 創立総会を招集するには、発起人は、創立総会の日の二週間(前条第一項第三号又は第四号に掲げる事項を定めたときを除き、設立しようとする株式会社が公開会社でない場合にあっては、一週間(当該設立しようとする株式会社が取締役会設置会社以外の株式会社である場合において、これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間))前までに、設立時株主に対してその通知を発しなければならない。

同上

第八十一条(議事録)

(議事録)
第八十一条
 創立総会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成しなければならない。
2 発起人(株式会社の成立後にあっては、当該株式会社。次条第二項において同じ。)は、創立総会の日から十年間、前項の議事録を発起人が定めた場所(株式会社の成立後にあっては、その本店。同条第二項において同じ。)に備え置かなければならない。
3 設立時株主(株式会社の成立後にあっては、その株主及び債権者。次条第三項において同じ。)は、発起人が定めた時間(株式会社の成立後にあっては、その営業時間。同項において同じ。)内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
一 第一項の議事録が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求
二 第一項の議事録が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
4 株式会社の成立後において、当該株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、第一項の議事録について前項各号に掲げる請求をすることができる。

同上

 総会をやったら議事録を、書面又は電磁的記録で作成しないといけない。発起人、会社成立後は会社はは創立総会の日から十年間議事録を備え置かないといけない。設立時株主、会社成立後は株主、債権者は、決められた時間にそれを見たり、謄本を請求することができる。親会社の社員も権利行使のために必要があるときは、裁判所の許可を得た上で決められた時間にそれを見たり、謄本を請求することができる。

 議事録の内容
・日時、場所
・議事の経過と結果
・出席した発起人等の氏名/名称
・議長がいる場合は議長の氏名
・議事録作成者の発起人の氏名/名称
・書面等で決議があったとみなされる場合は、内容・提案者・議決されたとみなされる日・議事録作成者
・報告があったとみなされる場合は、内容・報告日があったとみなされる日・議事録作成者
※最後の2つは次く二条で意味がわかる

(創立総会の議事録)
第十六条
 法第八十一条第一項の規定による創立総会の議事録の作成については、この条の定めるところによる。
2 創立総会の議事録は、書面又は電磁的記録(法第二十六条第二項に規定する電磁的記録をいう。第七編第四章第二節を除き、以下同じ。)をもって作成しなければならない。
3 創立総会の議事録は、次に掲げる事項を内容とするものでなければならない。
一 創立総会が開催された日時及び場所
二 創立総会の議事の経過の要領及びその結果
三 創立総会に出席した発起人、設立時取締役(設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合にあっては、設立時監査等委員である設立時取締役又はそれ以外の設立時取締役)、設立時執行役、設立時会計参与、設立時監査役又は設立時会計監査人の氏名又は名称
四 創立総会の議長が存するときは、議長の氏名
五 議事録の作成に係る職務を行った発起人の氏名又は名称
4 次の各号に掲げる場合には、創立総会の議事録は、当該各号に定める事項を内容とするものとする。
一 法第八十二条第一項の規定により創立総会の決議があったものとみなされた場合 次に掲げる事項
イ 創立総会の決議があったものとみなされた事項の内容
ロ イの事項の提案をした者の氏名又は名称
ハ 創立総会の決議があったものとみなされた日
ニ 議事録の作成に係る職務を行った発起人の氏名又は名称
二 法第八十三条の規定により創立総会への報告があったものとみなされた場合 次に掲げる事項
イ 創立総会への報告があったものとみなされた事項の内容
ロ 創立総会への報告があったものとみなされた日
ハ 議事録の作成に係る職務を行った発起人の氏名又は名称

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第八十二条(創立総会の決議の省略)

(創立総会の決議の省略)
第八十二条
 発起人が創立総会の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき設立時株主(当該事項について議決権を行使することができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の創立総会の決議があったものとみなす。
2 発起人は、前項の規定により創立総会の決議があったものとみなされた日から十年間、同項の書面又は電磁的記録を発起人が定めた場所に備え置かなければならない。
3 設立時株主は、発起人が定めた時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
一 前項の書面の閲覧又は謄写の請求
二 前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
4 株式会社の成立後において、当該株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、第二項の書面又は電磁的記録について前項各号に掲げる請求をすることができる。

前述「会社法 | e-Gov法令検索」

 発起人が創立総会の目的である事項について提案をした場合に、議決権を行使できるもの全員が書面又は電磁的記録で同意した場合は、決議があったとみなす。前条部分の議事録の「決議があった/報告があったとみなす」はこの話(報告は次条)だったんですね。発起人はこの同意の記録を十年間備え付けが必要。設立時株主は、見たり謄本を請求できるし、親会社の……、これも同じか。

第八十三条(創立総会への報告の省略)

(創立総会への報告の省略)
第八十三条
 発起人が設立時株主の全員に対して創立総会に報告すべき事項を通知した場合において、当該事項を創立総会に報告することを要しないことにつき設立時株主の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該事項の創立総会への報告があったものとみなす。

同上

 創立総会に報告しなくていいよ、と設立時株主全員が書面又は電磁的記録で同意したら報告があったとみなすよ、と。

第八十四条(種類株主総会の決議を必要とする旨の定めがある場合)

(種類株主総会の決議を必要とする旨の定めがある場合)
第八十四条
 設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合において、その設立に際して発行するある種類の株式の内容として、株主総会において決議すべき事項について、当該決議のほか、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議があることを必要とする旨の定めがあるときは、当該事項は、その定款の定めの例に従い、創立総会の決議のほか、当該種類の設立時発行株式の設立時種類株主(ある種類の設立時発行株式の設立時株主をいう。以下この節において同じ。)を構成員とする種類創立総会(ある種類の設立時発行株式の設立時種類株主の総会をいう。以下同じ。)の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類創立総会において議決権を行使することができる設立時種類株主が存しない場合は、この限りでない。

同上

 種類株式発行会社の場合、株主総会だけではなく、種類株主総会での決議も必要だと定款に定めが場合には、創立総会においても同じように種類株主総会の決議がないといけない。設立前だけど、設立後と同様の決定プロセスを踏まえないといけないということですね。

第八十五条(種類創立総会の招集及び決議)

(種類創立総会の招集及び決議)
第八十五条
 前条、第九十条第一項(同条第二項において準用する場合を含む。)、第九十二条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)、第百条第一項又は第百一条第一項の規定により種類創立総会の決議をする場合には、発起人は、種類創立総会を招集しなければならない。
2 種類創立総会の決議は、当該種類創立総会において議決権を行使することができる設立時種類株主の議決権の過半数であって、出席した当該設立時種類株主の議決権の三分の二以上に当たる多数をもって行う。
3 前項の規定にかかわらず、第百条第一項の決議は、同項に規定する種類創立総会において議決権を行使することができる設立時種類株主の半数以上であって、当該設立時種類株主の議決権の三分の二以上に当たる多数をもって行わなければならない。

同上

 うわ、めんどくさい……。前条の場合、種類株主総会で取締役・監査役を選任する種類株式を発行する場合、定款を変更して「譲渡による当該種類の株式の取得について当該株式会社の承認を要すること」「当該種類の株式について、当該株式会社が株主総会の決議によってその全部を取得すること」を定める場合(種類株について株主に不利な定款変更ですね)、定款の変更「株式の種類の追加」「株式の内容の変更」「発行可能株式総数又は発行可能種類株式総数」には、種類創立総会の招集が必要。
 種類株主に不利なことを決めたり、取締役・監査役を選任する場合には、種類創立総会の招集が必要ということね。
 決議は、議決数の過半数かつ、出席議決数の2/3以上の賛成が必要。「譲渡による当該種類の株式の取得について当該株式会社の承認を要すること」「当該種類の株式について、当該株式会社が株主総会の決議によってその全部を取得すること」は、議決権をもつ種類株主の半数以上かつ、議決権の2/3以上の賛成が必要。

(種類創立総会の決議による設立時取締役等の選任)
第九十条
 第八十八条の規定にかかわらず、株式会社の設立に際して第百八条第一項第九号に掲げる事項(取締役(設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合にあっては、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役)に関するものに限る。)についての定めがある種類の株式を発行する場合には、設立時取締役(設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合にあっては、設立時監査等委員である設立時取締役又はそれ以外の設立時取締役)は、同条第二項第九号に定める事項についての定款の定めの例に従い、当該種類の設立時発行株式の設立時種類株主を構成員とする種類創立総会の決議によって選任しなければならない。
2 前項の規定は、株式会社の設立に際して第百八条第一項第九号に掲げる事項(監査役に関するものに限る。)についての定めがある種類の株式を発行する場合について準用する。

同上

(異なる種類の株式)
第百八条
 株式会社は、次に掲げる事項について異なる定めをした内容の異なる二以上の種類の株式を発行することができる。ただし、指名委員会等設置会社及び公開会社は、第九号に掲げる事項についての定めがある種類の株式を発行することができない。
(中略)
九 当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役。次項第九号及び第百十二条第一項において同じ。)又は監査役を選任すること。

同上

第九十二条 第九十条第一項の規定により選任された設立時取締役は、株式会社の成立の時までの間、その選任に係る種類の設立時発行株式の設立時種類株主を構成員とする種類創立総会の決議によって解任することができる。
2 前項の規定にかかわらず、第四十一条第一項の規定により又は種類創立総会若しくは種類株主総会において選任された取締役を株主総会の決議によって解任することができる旨の定款の定めがある場合には、第九十条第一項の規定により選任された設立時取締役は、株式会社の成立の時までの間、創立総会の決議によって解任することができる。
3 設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合における前項の規定の適用については、同項中「取締役を」とあるのは「監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役を」と、「設立時取締役」とあるのは「設立時監査等委員である設立時取締役又はそれ以外の設立時取締役」とする。
4 第一項及び第二項の規定は、第九十条第二項において準用する同条第一項の規定により選任された設立時監査役について準用する。

同上

第百条
 設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合において、定款を変更してある種類の株式の内容として第百八条第一項第四号又は第七号に掲げる事項についての定款の定めを設けるときは、当該定款の変更は、次に掲げる設立時種類株主を構成員とする種類創立総会(当該設立時種類株主に係る設立時発行株式の種類が二以上ある場合にあっては、当該二以上の設立時発行株式の種類別に区分された設立時種類株主を構成員とする各種類創立総会。以下この条において同じ。)の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類創立総会において議決権を行使することができる設立時種類株主が存しない場合は、この限りでない。
一 当該種類の設立時発行株式の設立時種類株主
二 第百八条第二項第五号ロの他の株式を当該種類の株式とする定めがある取得請求権付株式の設立時種類株主
三 第百八条第二項第六号ロの他の株式を当該種類の株式とする定めがある取得条項付株式の設立時種類株主

同上

第百八条 株式会社は、次に掲げる事項について異なる定めをした内容の異なる二以上の種類の株式を発行することができる。ただし、指名委員会等設置会社及び公開会社は、第九号に掲げる事項についての定めがある種類の株式を発行することができない。
一 剰余金の配当
二 残余財産の分配
三 株主総会において議決権を行使することができる事項
四 譲渡による当該種類の株式の取得について当該株式会社の承認を要すること。
五 当該種類の株式について、株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができること。
六 当該種類の株式について、当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができること。
七 当該種類の株式について、当該株式会社が株主総会の決議によってその全部を取得すること。

同上

第百一条 設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合において、次に掲げる事項についての定款の変更をすることにより、ある種類の設立時発行株式の設立時種類株主に損害を及ぼすおそれがあるときは、当該定款の変更は、当該種類の設立時発行株式の設立時種類株主を構成員とする種類創立総会(当該設立時種類株主に係る設立時発行株式の種類が二以上ある場合にあっては、当該二以上の設立時発行株式の種類別に区分された設立時種類株主を構成員とする各種類創立総会)の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類創立総会において議決権を行使することができる設立時種類株主が存しない場合は、この限りでない。
一 株式の種類の追加
二 株式の内容の変更
三 発行可能株式総数又は発行可能種類株式総数(株式会社が発行することができる一の種類の株式の総数をいう。以下同じ。)の増加

同上

第八十六条(創立総会に関する規定の準用)

(創立総会に関する規定の準用)
第八十六条
 第六十七条から第七十一条まで、第七十二条第一項及び第七十四条から第八十二条までの規定は、種類創立総会について準用する。この場合において、第六十七条第一項第三号及び第四号並びに第二項、第六十八条第一項及び第三項、第六十九条から第七十一条まで、第七十二条第一項、第七十四条第一項、第三項及び第四項、第七十五条第二項、第七十六条第二項及び第三項、第七十七条、第七十八条本文並びに第八十二条第一項中「設立時株主」とあるのは、「設立時種類株主(ある種類の設立時発行株式の設立時株主をいう。)」と読み替えるものとする。

同上

 ふぅ……。創立総会に関する規定の内、いくつかは種類創立総会に準用、と。

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