毎日会社法を五条ずつ読んでみる:第十二回_第五十七条~第六十四条

 今回は区切りが悪いので八条……。


第五十七条(設立時発行株式を引き受ける者の募集)

第九節 募集による設立
第一款 設立時発行株式を引き受ける者の募集
(設立時発行株式を引き受ける者の募集)
第五十七条
 発起人は、この款の定めるところにより、設立時発行株式を引き受ける者の募集をする旨を定めることができる。
2 発起人は、前項の募集をする旨を定めようとするときは、その全員の同意を得なければならない。

同上

 設立時発行株式の引受人の募集方法ですね。募集する場合は発起人全員の同意が必要ですね、と。

第五十八条(設立時募集株式に関する事項の決定)

(設立時募集株式に関する事項の決定)
第五十八条
 発起人は、前条第一項の募集をしようとするときは、その都度、設立時募集株式(同項の募集に応じて設立時発行株式の引受けの申込みをした者に対して割り当てる設立時発行株式をいう。以下この節において同じ。)について次に掲げる事項を定めなければならない。
一 設立時募集株式の数(設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合にあっては、その種類及び種類ごとの数。以下この款において同じ。)
二 設立時募集株式の払込金額(設立時募集株式一株と引換えに払い込む金銭の額をいう。以下この款において同じ。)
三 設立時募集株式と引換えにする金銭の払込みの期日又はその期間
四 一定の日までに設立の登記がされない場合において、設立時募集株式の引受けの取消しをすることができることとするときは、その旨及びその一定の日
2 発起人は、前項各号に掲げる事項を定めようとするときは、その全員の同意を得なければならない。
3 設立時募集株式の払込金額その他の前条第一項の募集の条件は、当該募集(設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合にあっては、種類及び当該募集)ごとに、均等に定めなければならない。

同上

 募集する場合、都度、募集株式の数(複数種類ある場合は種類ごと)、一株ごとの払込金額、払込の期日又は期間、一定の日までに設立登記がされない場合に引受が取り消しできる場合はその旨(これだけ任意)を、発起人全員の同意を得て定める。内容は均等じゃないとダメ、募集ごとに条件が違ったらダメってことか。

第五十九条(設立時募集株式の申込み)

(設立時募集株式の申込み)
第五十九条
 発起人は、第五十七条第一項の募集に応じて設立時募集株式の引受けの申込みをしようとする者に対し、次に掲げる事項を通知しなければならない。
一 定款の認証の年月日及びその認証をした公証人の氏名
二 第二十七条各号、第二十八条各号、第三十二条第一項各号及び前条第一項各号に掲げる事項
三 発起人が出資した財産の価額
四 第六十三条第一項の規定による払込みの取扱いの場所
五 前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項
2 発起人のうち出資の履行をしていないものがある場合には、発起人は、第三十六条第一項に規定する期日後でなければ、前項の規定による通知をすることができない。
3 第五十七条第一項の募集に応じて設立時募集株式の引受けの申込みをする者は、次に掲げる事項を記載した書面を発起人に交付しなければならない。
一 申込みをする者の氏名又は名称及び住所
二 引き受けようとする設立時募集株式の数
4 前項の申込みをする者は、同項の書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、発起人の承諾を得て、同項の書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。この場合において、当該申込みをした者は、同項の書面を交付したものとみなす。
5 発起人は、第一項各号に掲げる事項について変更があったときは、直ちに、その旨及び当該変更があった事項を第三項の申込みをした者(以下この款において「申込者」という。)に通知しなければならない。
6 発起人が申込者に対してする通知又は催告は、第三項第一号の住所(当該申込者が別に通知又は催告を受ける場所又は連絡先を発起人に通知した場合にあっては、その場所又は連絡先)にあてて発すれば足りる。
7 前項の通知又は催告は、その通知又は催告が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。

同上

 引受けの申込みをしようとする者には色々通知しないといけない。出資の履行をしていない発起人がいる場合、履行の催促をして設定した期日を過ぎないと通知はできない。申し込みをする者は、氏名・名称と住所、引き受けようとする設立時募集株式の数を発起人に書面・電磁的記録(ただしこの場合発起人の承諾が必要)で交付しないといけない。
 もし、通知内容に変更が会ったら、申込をした者に通知しないといけない。発起人から申し込みをした者への通知・催告は申込みのときに交付された書面・電磁的記録の住所に発すれば足り、通常到達すべきであったときに到達したとみなす……。送っておけば、届くはずのときにとどいたことになるってことか。

(申込みをしようとする者に対して通知すべき事項)
第八条
 法第五十九条第一項第五号に規定する法務省令で定める事項は、次に掲げる事項とする。
一 発起人が法第三十二条第一項第一号の規定により割当てを受けた設立時発行株式(出資の履行をしたものに限る。)及び引き受けた設立時募集株式の数(設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合にあっては、種類及び種類ごとの数)
二 法第三十二条第二項の規定による決定の内容
三 株主名簿管理人を置く旨の定款の定めがあるときは、その氏名又は名称及び住所並びに営業所
四 定款に定められた事項(法第五十九条第一項第一号から第四号まで及び前号に掲げる事項を除く。)であって、発起人に対して設立時募集株式の引受けの申込みをしようとする者が当該者に対して通知することを請求した事項

会社法施行規則 | e-Gov法令検索

(設立時発行株式の株主となる権利の喪失)
第三十六条 発起人のうち出資の履行をしていないものがある場合には、発起人は、当該出資の履行をしていない発起人に対して、期日を定め、その期日までに当該出資の履行をしなければならない旨を通知しなければならない。

前述「会社法 | e-Gov法令検索」

第六十条(設立時募集株式の割当て)

(設立時募集株式の割当て)
第六十条
 発起人は、申込者の中から設立時募集株式の割当てを受ける者を定め、かつ、その者に割り当てる設立時募集株式の数を定めなければならない。この場合において、発起人は、当該申込者に割り当てる設立時募集株式の数を、前条第三項第二号の数よりも減少することができる。
2 発起人は、第五十八条第一項第三号の期日(同号の期間を定めた場合にあっては、その期間の初日)の前日までに、申込者に対し、当該申込者に割り当てる設立時募集株式の数を通知しなければならない。

同上

 申込みがあったら、発起人は割当を受ける者と、割り当てる株式数を定めないといけない。発行する予定だった全部を割り当てなくてもOK。期日、期間の前日までに、申込者に割り当てる株式数を通知しないといけない。
 期日だと、前日に通知されると厳しいですね(笑)まあ、ナイナイで話をつけてる場合が多いんでしょうけど。

第六十一条(設立時募集株式の申込み及び割当てに関する特則)

(設立時募集株式の申込み及び割当てに関する特則)
第六十一条
 前二条の規定は、設立時募集株式を引き受けようとする者がその総数の引受けを行う契約を締結する場合には、適用しない。

同上

 募集する株式全部を引き受ける、という契約を締結する場合には、通知とかはいらないと。

第六十二条(設立時募集株式の引受け)

(設立時募集株式の引受け)
第六十二条
 次の各号に掲げる者は、当該各号に定める設立時募集株式の数について設立時募集株式の引受人となる。
一 申込者 発起人の割り当てた設立時募集株式の数
二 前条の契約により設立時募集株式の総数を引き受けた者 その者が引き受けた設立時募集株式の数

同上

 そりゃそうでしょうね、という感じですが、なにか含みがあるんでしょうかね……。

第六十三条(設立時募集株式の払込金額の払込み)

(設立時募集株式の払込金額の払込み)
第六十三条
 設立時募集株式の引受人は、第五十八条第一項第三号の期日又は同号の期間内に、発起人が定めた銀行等の払込みの取扱いの場所において、それぞれの設立時募集株式の払込金額の全額の払込みを行わなければならない。
2 前項の規定による払込みをすることにより設立時発行株式の株主となる権利の譲渡は、成立後の株式会社に対抗することができない。
3 設立時募集株式の引受人は、第一項の規定による払込みをしないときは、当該払込みをすることにより設立時募集株式の株主となる権利を失う。

同上

 引受人は期日・期間内に全額を払い込まないといけない。勝手に人に権利を譲渡しても、成立後の会社には対抗できない。払込をしないと設立時募集株式の株主になる権利を失う。

第六十四条(払込金の保管証明)

(払込金の保管証明)
第六十四条
 第五十七条第一項の募集をした場合には、発起人は、第三十四条第一項及び前条第一項の規定による払込みの取扱いをした銀行等に対し、これらの規定により払い込まれた金額に相当する金銭の保管に関する証明書の交付を請求することができる。
2 前項の証明書を交付した銀行等は、当該証明書の記載が事実と異なること又は第三十四条第一項若しくは前条第一項の規定により払い込まれた金銭の返還に関する制限があることをもって成立後の株式会社に対抗することができない。

同上

 発起人による出資の履行、設立時募集株式の募集をした発起人は、銀行に、払い込まれた金額に相当する金銭の保管に関する証明書の交付を請求できる。昔は登記に必要だったらしいですけど、今はいらないみたいですけどね。

 第二項の意味が分からなかったので検索してみたところ、以下とのこと。なるほど。

実際に払込みがなくても証明書を発行した以上は、成立後の会社から引き出し請求があったときはそれに応じざるを得ないとして、払込みの仮装による設立(預合いによる設立)を防ごうとしたものです。

払込取扱銀行等の保管証明責任:会社法講義(資格試験対策)

 (出資の履行)
第三十四条 発起人は、設立時発行株式の引受け後遅滞なく、その引き受けた設立時発行株式につき、その出資に係る金銭の全額を払い込み、又はその出資に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければならない。ただし、発起人全員の同意があるときは、登記、登録その他権利の設定又は移転を第三者に対抗するために必要な行為は、株式会社の成立後にすることを妨げない。

前述「会社法 | e-Gov法令検索」

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