毎日会社法を五条ずつ読んでみる:第二十一回_第百九条~第百十三条

 引き続き株式


第百九条(株主の平等)

(株主の平等)
第百九条 株式会社は、株主を、その有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、公開会社でない株式会社は、第百五条第一項各号に掲げる権利に関する事項について、株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款で定めることができる。
3 前項の規定による定款の定めがある場合には、同項の株主が有する株式を同項の権利に関する事項について内容の異なる種類の株式とみなして、この編及び第五編の規定を適用する。

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 会社は株主を平等に扱わないといけないけど、種類株式を発行できる。これは前回見ましたね。

(株主の権利)
第百五条 株主は、その有する株式につき次に掲げる権利その他この法律の規定により認められた権利を有する。
一 剰余金の配当を受ける権利
二 残余財産の分配を受ける権利
三 株主総会における議決権

「会社法」

第百十条(定款の変更手続きの特則)

(定款の変更の手続の特則)
第百十条 定款を変更してその発行する全部の株式の内容として第百七条第一項第三号に掲げる事項についての定款の定めを設け、又は当該事項についての定款の変更(当該事項についての定款の定めを廃止するものを除く。)をしようとする場合(株式会社が種類株式発行会社である場合を除く。)には、株主全員の同意を得なければならない。

「会社法」

 全部の株式について、一定の事由が生じたことを条件に株式を会社が取得することができる、と定款を変更(廃止含む)する場合、株主全員の同意が必要。でも、種類株式発行会社は除く。だから、これは種類株式発行会社じゃない場合の話ですね。次条が種類株式発行会社の場合の話。

(株式の内容についての特別の定め)
第百七条 株式会社は、その発行する全部の株式の内容として次に掲げる事項を定めることができる。
一 譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要すること。
二 当該株式について、株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができること。
三 当該株式について、当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができること。

「会社法」

第百十一条

第百十一条 種類株式発行会社がある種類の株式の発行後に定款を変更して当該種類の株式の内容として第百八条第一項第六号に掲げる事項についての定款の定めを設け、又は当該事項についての定款の変更(当該事項についての定款の定めを廃止するものを除く。)をしようとするときは、当該種類の株式を有する株主全員の同意を得なければならない。
2 種類株式発行会社がある種類の株式の内容として第百八条第一項第四号又は第七号に掲げる事項についての定款の定めを設ける場合には、当該定款の変更は、次に掲げる種類株主を構成員とする種類株主総会(当該種類株主に係る株式の種類が二以上ある場合にあっては、当該二以上の株式の種類別に区分された種類株主を構成員とする各種類株主総会。以下この条において同じ。)の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合は、この限りでない。
一 当該種類の株式の種類株主
二 第百八条第二項第五号ロの他の株式を当該種類の株式とする定めがある取得請求権付株式の種類株主
三 第百八条第二項第六号ロの他の株式を当該種類の株式とする定めがある取得条項付株式の種類株主

「会社法」

 種類株式発行会社が、特定の株式の発行後に定款を変更して一定の事由が生じたことを条件に株式を会社が取得することができる、と定款を変更(廃止)する場合は、当該株式を保有する株主全員の同意が必要。
 前条は、一種類だけ株式を発行する会社の場合でしたが、複数の種類の株式を発行していて、特定の株式に先の変更をする場合には、その影響を受ける株式の株主全員が同意しないといけない、と。
 あと、譲渡にあたって会社の承認が必要、株主総会の決議で会社が特定の種類の株式を全部取得できる、と定款を変更する場合、以下を構成員とする株主総会の決議が必要。
・その特定の種類の株主の株主(以下A株式)
・会社に買取請求ができ、請求した場合A株式を交付される株主
・一定の事由で会社が取得する事ができる種類株式で、その交換にA株式が交付される株主
 つまり、当該種類株式の持ち主と、今後持つことになるかもしれない株主で構成された株主総会ということですね。

(異なる種類の株式)
第百八条 株式会社は、次に掲げる事項について異なる定めをした内容の異なる二以上の種類の株式を発行することができる。ただし、指名委員会等設置会社及び公開会社は、第九号に掲げる事項についての定めがある種類の株式を発行することができない。
一 剰余金の配当
二 残余財産の分配
三 株主総会において議決権を行使することができる事項
四 譲渡による当該種類の株式の取得について当該株式会社の承認を要すること。
五 当該種類の株式について、株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができること。
六 当該種類の株式について、当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができること。
七 当該種類の株式について、当該株式会社が株主総会の決議によってその全部を取得すること。

八 株主総会(取締役会設置会社にあっては株主総会又は取締役会、清算人会設置会社(第四百七十八条第八項に規定する清算人会設置会社をいう。以下この条において同じ。)にあっては株主総会又は清算人会)において決議すべき事項のうち、当該決議のほか、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議があることを必要とするもの
九 当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役。次項第九号及び第百十二条第一項において同じ。)又は監査役を選任すること。
2 株式会社は、次の各号に掲げる事項について内容の異なる二以上の種類の株式を発行する場合には、当該各号に定める事項及び発行可能種類株式総数を定款で定めなければならない。
一 剰余金の配当 当該種類の株主に交付する配当財産の価額の決定の方法、剰余金の配当をする条件その他剰余金の配当に関する取扱いの内容
二 残余財産の分配 当該種類の株主に交付する残余財産の価額の決定の方法、当該残余財産の種類その他残余財産の分配に関する取扱いの内容
三 株主総会において議決権を行使することができる事項 次に掲げる事項
イ 株主総会において議決権を行使することができる事項
ロ 当該種類の株式につき議決権の行使の条件を定めるときは、その条件
四 譲渡による当該種類の株式の取得について当該株式会社の承認を要すること 当該種類の株式についての前条第二項第一号に定める事項
五 当該種類の株式について、株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができること 次に掲げる事項
イ 当該種類の株式についての前条第二項第二号に定める事項
ロ 当該種類の株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の他の株式を交付するときは、当該他の株式の種類及び種類ごとの数又はその算定方法
六 当該種類の株式について、当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができること 次に掲げる事項

イ 当該種類の株式についての前条第二項第三号に定める事項
ロ 当該種類の株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の他の株式を交付するときは、当該他の株式の種類及び種類ごとの数又はその算定方法

「会社法」

第百十二条(取締役の選任等に関する種類株式の定款の定めの廃止の特則)

(取締役の選任等に関する種類株式の定款の定めの廃止の特則)
第百十二条 第百八条第二項第九号に掲げる事項(取締役に関するものに限る。)についての定款の定めは、この法律又は定款で定めた取締役の員数を欠いた場合において、そのために当該員数に足りる数の取締役を選任することができないときは、廃止されたものとみなす。
2 前項の規定は、第百八条第二項第九号に掲げる事項(監査役に関するものに限る。)についての定款の定めについて準用する。

「会社法」

 取締役の選任について、特定の株式の株主総会で行うと定款に定めていても、法律又は定款で定めた取締役の数を欠いた場合、廃止されたとみなされる。自社株買いとかで全部株買い取っちゃったら議決権がないから決議ができないですからね。これは監査役についての定款の定めにも準用、と。

(異なる種類の株式)
第百八条 株式会社は、次に掲げる事項について異なる定めをした内容の異なる二以上の種類の株式を発行することができる。ただし、指名委員会等設置会社及び公開会社は、第九号に掲げる事項についての定めがある種類の株式を発行することができない。
(中略)
2 株式会社は、次の各号に掲げる事項について内容の異なる二以上の種類の株式を発行する場合には、当該各号に定める事項及び発行可能種類株式総数を定款で定めなければならない。
(中略)
九 当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役又は監査役を選任すること 次に掲げる事項
イ 当該種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役又は監査役を選任すること及び選任する取締役又は監査役の数
ロ イの定めにより選任することができる取締役又は監査役の全部又は一部を他の種類株主と共同して選任することとするときは、当該他の種類株主の有する株式の種類及び共同して選任する取締役又は監査役の数
ハ イ又はロに掲げる事項を変更する条件があるときは、その条件及びその条件が成就した場合における変更後のイ又はロに掲げる事項
ニ イからハまでに掲げるもののほか、法務省令で定める事項

「会社法」

第百十三条(発行可能株式総数)

(発行可能株式総数)
第百十三条 株式会社は、定款を変更して発行可能株式総数についての定めを廃止することができない。
2 定款を変更して発行可能株式総数を減少するときは、変更後の発行可能株式総数は、当該定款の変更が効力を生じた時における発行済株式の総数を下ることができない。
3 次に掲げる場合には、当該定款の変更後の発行可能株式総数は、当該定款の変更が効力を生じた時における発行済株式の総数の四倍を超えることができない。
一 公開会社が定款を変更して発行可能株式総数を増加する場合
二 公開会社でない株式会社が定款を変更して公開会社となる場合
4 新株予約権(第二百三十六条第一項第四号の期間の初日が到来していないものを除く。)の新株予約権者が第二百八十二条第一項の規定により取得することとなる株式の数は、発行可能株式総数から発行済株式(自己株式(株式会社が有する自己の株式をいう。以下同じ。)を除く。)の総数を控除して得た数を超えてはならない。

「会社法」

 株式会社は発行可能株式総数についての定めを廃止できない。これは会社の設立前までには決めておかないといけない項目でしたね。
 定款変更で総発行数を減らす場合には、すでに発行している株式の数を下回ってはいけない……。そりゃ定款変更したって株式が減るわけじゃないし。
 公開会社が発行可能株式総数を増加させる場合、効力発生時の発行済株式の四倍を超えさせてはいけない。非公開会社が公開会社となる場合も同じ。
 新株予約権の予約権者が取得することになる株式は、発行可能株式総数-発行済株式数を超えてはいけない。まあ、そうでしょうね……。

(株主となる時期等)
第二百八十二条
 新株予約権を行使した新株予約権者は、当該新株予約権を行使した日に、当該新株予約権の目的である株式の株主となる。
2 新株予約権を行使した新株予約権者であって第二百八十六条の二第一項各号に掲げる者に該当するものは、当該各号に定める支払若しくは給付又は第二百八十六条の三第一項の規定による支払がされた後でなければ、第二百八十六条の二第一項各号の払込み又は給付が仮装された新株予約権の目的である株式について、株主の権利を行使することができない。
3 前項の株式を譲り受けた者は、当該株式についての株主の権利を行使することができる。ただし、その者に悪意又は重大な過失があるときは、この限りでない。

「会社法」

(新株予約権の内容)
第二百三十六条
 株式会社が新株予約権を発行するときは、次に掲げる事項を当該新株予約権の内容としなければならない。
一 当該新株予約権の目的である株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)又はその数の算定方法
二 当該新株予約権の行使に際して出資される財産の価額又はその算定方法
三 金銭以外の財産を当該新株予約権の行使に際してする出資の目的とするときは、その旨並びに当該財産の内容及び価額
四 当該新株予約権を行使することができる期間

「会社法」

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