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【ライブ日記#54】 『翻訳できないわたしの言葉』

井の頭線の渋谷駅を降りると、この展示のポスターが掲出されていた。
そのとき学生時代に読んだ『翻訳できない世界のことば』という絵本を思い出した。その本の中には、日本語では一単語で表せない海外の単語たちが並んでいた。「バナナの皮で滑った気持ち」とか。その時から言葉があるかないかで、感じる気持ちの粒度が変わるのではないかと思っていた。「エモい」という言葉が流行ったように、そのときの気持ちが単語で表せると自分は今この感情なんだと実感することができるから。

今回の展示も同じ雰囲気を感じた、
「人はちょっとずつ違う言語を話しています」という言葉が入口に書いてあった。同じ言語を使っていても、方言やコミュニティの中での言い回しとか、文法とはまた違う経験から生み出される言語がある。さらに文化に紐づいた言葉もあるし、言語に紐づかない言葉もある。それらを全て肯定する展示はなかなか学びが多かった。

方言で書かれたレシピ。何が書いてあるか自分には解読が難しかったが、この言葉で通じる人が一定数いることに少し憧れも感じた。通じる言語を使えるのは繋がりを強化する。

みんなにとっての「わたしの言葉」を紹介するコーナーで、「フィリピン語の丁寧語は語尾にポと書く」というのが一番好きだった。丁寧なのにどこかかわいい。言語はある程度ルール化されているけど、ルールを逸脱しても伝わるのがすごい。遊びがある。そこに言葉以上の繋がりをつくるような気もした。

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