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旅の終わりは希望 #ふぉれすとどわあふ

 藤家 秋さんのお話、次のテーマ①薬草の書はいずこ? をモチーフに書きましたが、私が可愛い雰囲気飛ばしてしまったようですね💦



 深い森の中、旅人は『ふぉれすとどわあふ』という名の雑貨屋を目指していた。
 旅人はドワーフ族でもエルフ族でもないのだろうか。この森には似つかわしくない雰囲気を纏っていた。ドワーフ族のような筋肉質の身体をしているが、彼らのように小さな体ではなく、むしろ長身である。しかし、エルフ族のような細身でか弱い感じではない。そして、その鋭い眼光で森の住人たちは旅人が近寄る前に逃げていった。
 それでも旅人は行く先々で
「この森の中にある『ふぉれすとどわあふ』という名の雑貨屋を知らぬか」
 と聞き回っていた。
 その噂は『ふぉれすとどわあふ』店主ミユの耳にも届いた。
「ミユという名の錬金術を扱うドワーフの少女はこちらにおられるか?」
 ドアを勢いよく開け入ってきた大柄の男は、旅人風ではあるが腰には剣を差しており、どことなく全体的に気品を感じさせた。
「あなたがミユ殿ですか?」
「いきなり入ってきて、失礼じゃないか!」
 クマさんがめずらしく声を荒げた。
「はいそうですが。お客様は何をお探しですか?」
 大柄な旅人は小さな雑貨屋店主ミユの顔に合わせるように身を屈め、彼女の瞳を捉えて言った。
「あなたがお持ちの『薬草の書』をお譲りいただきたい」
 ミユは入店するなり不躾な要件を投げてきた旅人に不快感を覚えたが、お客様であることには変わりはないので、丁寧に対応した。
「申し訳ありません。『薬草の書』は代々受け継がれている大切な書ですので、お譲りすることはできません。それに今は、私の手元にはありません」
「どうしても、あの書が必要なのです。ドワーフ族もエルフ族も、そして人類も滅んでしまうのです」
 ミユもクマさんも、旅人の言葉に戸惑っているようだった。
「解毒剤を早く作らねば、悪魔の医術師グルヌスに悪魔にされてしまう」
 『ふぉれすとどわあふ』店主ミユは、旅人の目を見据え、ハッキリと伝えた。
「先日、『薬草の書』は森の住人ヨークに貸し出しました。そして、『薬草の書』を借りにヨークの元へ行ったシドニー。この二人の目の前で『薬草の書』は忽然と消えました」
「遅かったか」
「ところで、悪魔にされてしまうとはどういう意味ですか?」
「悪魔の医術師グルヌスは、疫病治療と評して大いなる憎悪の力を入れた毒薬を王族や民衆に与えた。それは、この世界を終焉させ己が支配しようとの企みだった。どうか、助けて欲しい。ミユ殿」
「わかったので、そのミユ殿はやめて」
「わかった、ミユ」

ケイは一人じゃないよ

 森の奥へ太陽が隠れて行った。 
小さな雑貨屋は、これからどうしたものかと皆が黙り込んだ。
「どうしたの?」
 静寂の中、仔猫ケイの声が響いた。
「この仔猫ちゃんは……」 
ケイは旅人の視線に可愛らしく首を傾げた。
「わたしは、ケイ」
「見覚えのある仔猫ちゃんだ」
「本当に?」
「君を可愛がっていた人をよく知っているんだ」


次のテーマ
①薬草の書捜索隊結成
②ミユはお医者さん?
③ケイは一人じゃない
 

難しかった💦



サポートしてほしいニャ! 無職で色無し状態だニャ~ン😭