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デスペラドロップス/DesperaDrops ハミエル·ルイス 感想

(あらすじ)
留学先のイタリアで、殺人の冤罪を着せられた大学生ミカ。
そんな彼女と共に、護送車に乗せられた六人の青年たち。
彼らの正体は…犯罪者だった。
警察に追われる中、ミカと六人の犯罪者の逃亡劇がはじまる…。


一人目、ハミエルのネタバレ感想です。未プレイの方はご注意ください。

どんな時でもユーモアまじりの皮肉を忘れない、余裕たっぷりな天才的詐欺師です。

まさに「伊達と酔狂」が似合う男。

最初からミカにはっきりとした嫌悪感を示すキャラクター。

正直、…面白い(腕組み)となりました。

だって詐欺師キャラなら、非力そうな女の子がメンバーの中にいたら腹の中で嘲りながら
「大丈夫か?怖かったよな…」
とか優しくして懐柔したほうが利用できるしメリットありそうじゃないですか。ほら詐欺師って損得勘定だけで動いてそうですし(詐欺師への偏見)
何故だろう?と思っていたら、そのアンサーは後々本人が教えてくれましたね。

ハミエルのテーマは、「自分を許すこと」と「自分の心に正直に生きる」だと感じました。詐欺師だけにね。

幼い頃、日本人の母親に捨てられたと思っていたハミエル。
父は帰らぬ母を想いながら衰弱死し、自分は施設を転々としながら、持ち前の明敏さを生かし、母への恨みから日本人女性への詐偽をしながら生きていく空虚な人生。
他人の心を騙し、自分の心さえも突き放す。
だからこそ、ミカに触れられても意識していれば心が読まれることがないのが凄い…
同時に悲しい。

ハミエルルートのミカは本当に聖母のような優しさと、ハミエル相手にたくましくなったのかガッツを併せ持つタフネスガールです。
ミカに攻略されてる気分になります。好き。

母を恨むことで、精神の均衡を保つことができたのでしょう。
恨むこと、恨みを日本人に向けることが生存意義そのものだったのでしょう。
真実を知り、母に謝ることもできず、自分の「生きる意味」だった罪の重さに耐えきれず

「俺は、どうすりゃよかったんだろうな……」
と、自嘲するハミエル。
そしてミカの選択肢。

「………自分を許してください」

大天使ミカエル降臨………!!

一生ついていきますぜ!!
ってなりましたね。ミカに。


真に悲しいのは、誰かに愛されない事ではなく「自分に嫌われてしまう」事なんじゃないかと思います。

人の心は変わるけれど、産まれてから死ぬまでずっと「自分」が「自分」でいることだけは変わらない。
自分の心は死ぬまでそばにある。
その一生別れられない自分が自分に嫌われ責められていたら、これほど苦しいことはないと思います。
ハミエルバッドの「自分が許せない」ここ本当にポイントでしたね。
世間が、誰が、ではなく「自分を許す」ことができなければ、人は自分を幸せにすることはできない。
自分を許すことは自分を愛すること。
自分と向き合い自分を愛することで、他人と向き合い心から愛することができるのだから。

ハミエルが「ミカと幸せになりたかった」のは、嘘偽りのない純粋な気持ちでしょう。
けれど母への恋しさを振り切るため恨みに変え、「恨み」を生存意義のようにして能動的に人を破滅させてきたハミエル。
ここがほかのキャラとの違いでしょうか。
生きるため、避けられない、使命感、どれでもない。
欺くこと、母を恨むことは生きることそのものだったのでしょう。
そんなハミエルが、母さんが亡くなってからは生きることを諦めていたのはわかるような気もします…


ハッピーエンドの愛情と楽しさと、寂しさ。
ここ大事ですよね!!!

「どうして一緒に苦しまないんだよ!」
とハミエルが言ったように、ハミエルハッピーエンドのハミエルとミカは沢山の「愛情」と「苦しみ」が共生しています。
ミカはハミエルと生きていくならば、過去の自分を捨て、世界を騙し、もう正々堂々生きていくことはできない。
ラミーの場合はラミーはミカ側に引っ張られることを望んでいたし、窃盗はせずとも生きていけますが(一緒に窃盗しようぜ☆みたいな道じゃなくてよかった…)
ハミエルの場合は、ミカがハミエル側に飛び込む(共に欺き共に苦しむ)しか結ばれる方法がないのが、ハミミカの危うさなのですよね…
ハミエルが自分だけ罪を背負って、母さんの死体を利用してまでミカを一人逃がそうとしたのもよくわかります(もはやハミエル目線でプレイ)

どうあっても、自分はミカを幸せにすることはできない。

数年服役して償える罪の数ではないし、欺くことはもはやハミエルのアイデンティティのようなもの。
ハミミカには「愛情」と「苦しみ」が表裏一体ですが、それが罰なんだろうなあ…
その罰さえも。
二人で背負えば幸せに感じられる。

アッシュのエンディングが「女の子の夢」であるならば、ハミエルのエンディングは「男のロマン」でしたね。
誰に祝福されるでもない。
誰かに認められることもない。
他の人間にどう思われようが、自分が自分に胸を張って生きていければ、人は幸せでいられるんだと思います。
ハミエルルートのミカは器の大きいタフネスガールだから大丈夫でしょう。
自分の幸せは、自分が決める。
そんな希望を感じさせてくれたハミエルルートでした。

デスペラドロップスの魅力は数えきれないほどありますが、罪を背負って自分を愛せないキャラクター達がミカを愛し、そしてミカを通して「自分が自分を肯定する(愛する)」
が素晴らしいです…!!

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