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DesperaDrops/デスペラドロップス アッシュ・マイヤー感想

私が感じるデスペラドロップスの魅力って、恋愛体感ゲームというよりも映画のような爽快感を味わえる世界観だからなのかもしれません。

序盤のシナリオでは、キューブのような「どうしてこんな所に閉じ込められた?」「何故このメンバーが集められたのか?」というじわじわと追いつめられるような不安や閉塞感。
かと思いきやそれ以降は、オーシャンズ11やコンフィデンスマンのような大立ち回りをする爽快なストーリー。
ノリや掛け合いは、メンインブラックのようなスリルとユーモア。
そして個別ルートに入ると、BANANA FISHのように、運命に翻弄されながらも二人の絆を確かめ合っていく物語へ…

アッシュルート
※ネタバレ感想です。未プレイの方はご注意ください。

ハミエルルートが男のロマンなら、アッシュルートは女のロマンのような物語でした。

無口で不愛想、「めんどくせぇ」が口癖の他を寄せつけない青年かと思いきや、ただの不器用なtoo shy boy。
イケメンだけど女の子に耐性がなく、褒められたり顔が近くなると照れるアッシュ。
健康で容姿端麗な成人男性にしては女性に純情すぎない?と思わないでもないのですが…

確かに、恋愛ゲームの世界で普通に異性と仲良くしてきて交際もして、元恋人の思い出も大切にしていて、魅力的な異性には思わず目を向けてしまう…なんて生々しいキャラクターいたら嫌ですね…それこそ人間らしいけれど。
ただ、女性はきれいな景色を見たり、温泉に入ったり、美味しいもの食べたりして色々な刺激から幸せホルモンを感じられるけれど、男性は若い女性を見たりすることでしか幸福ホルモンを大量には得られない、と本で読んだことがあります。

生々しい話はさておき。
アッシュ·マイヤー。
誤解されやすい雰囲気な上に売られた喧嘩は高値で買ってしまうような格闘キャラなので、戦いポジションを担ってくださり逃亡劇においては大活躍してくれます。
アッシュ、って響きも意味(灰)も、アッシュ「らしい」名前だと思います。
キャラクターの名前の由来は、ミカは聖ミカエルでハミエルは聖ハニエルかなと思ったのですが、アッシュだけメンバーの中では少し違うような特異な印象を受けました。由来が気になる…

ジブが猟犬なら、アッシュは野犬の印象を受けます。
感情をコントロールして必要なら獲物を狩りつくさない猟犬と、怒りを制御できずに獲物をどうしてしまうのかわからないという孤独で獰猛な野犬。

しかし、心は繊細で純粋なアッシュ。
そんな彼はミカを好きになってしまうと
「俺みたいなクズなんかがお前に触れちゃダメだ…お前を汚してしまう…」
と、自分を卑下して近づくことを怖がります。

大丈夫、アッシュは善良な一般人には手を出さないタイプのヤンキーだから実質無罪だよ。たぶん。

しかも傷害罪だけということは、ボコボコにした後財布を奪っているわけでもないので、カツアゲしているタイプのヤンキーよりも安全です。
ろくでなしブルースの鬼塚のほうが怖いよ。

アッシュルートの場合、人気レポーターのレベッカや刑事コンビ、謎めいたジャーナリストのカルロスのような協力者がいないため、二人での逃亡劇が悲惨すぎて
「あれ、今私ウシジマくん読んでるの…?」
と錯覚するくらい悲しくなります…

ミカがいるためか集中的に追われるわ、ひとつのパンを二人で分けあったり、川の水飲んだり、満身創痍で野宿したり。
追われる犯罪者の日常って、こんな感じなんだな…と考えさせられる逃亡生活でした。
乙女ゲームなのに容赦がない…

さらには襲撃者·子守り(カッター女)に襲われアッシュが負傷。
自分はアッシュのために何もできないと涙するミカと、子供のように泣くミカを気遣うアッシュ。
極限状態の中、ミカはアッシュを、アッシュはミカを想い続けるひたむきさに涙しました…
アシュミカの場合はどこまでも純粋な2人でしたね。

これもう普通に衰弱死するんじゃないか…?とプレーヤーが不安になった頃に2人を助けてくれたのは、事情もなにも知らない村人のおじさんでした。
こういう「何にも利害関係のない人が、何も聞かずに、ただ自然に助けてくれる」
という純粋な優しさこそが傷ついた者の心を癒してくれるのかもしれません。

アッシュハッピーエンドは、アッシュが自分の罪を償い、助けてくれたダニエル、仲間達に祝福されながらの結婚式という女のロマンのような幸せな結末でした。
まさかの攻略対象が刑務所から出所するシーン。
そんな彼をヒロインがバイクで迎えに行ってシャバで再会って凄い乙女ゲームだ…

ハミエルは「こっち側」とか「あっち(ミカやジブ達)」と言う時がありますが、アッシュは一人では変われないけれどミカと出会えた事で変われたキャラクターでしたね。服役がまさに。
「ミカがあっち側に引っ張ってくれた」過程が丁寧で恋愛以外にも嬉しさ、も感じさせてくれました。
誰にも心を許さない孤独な野犬が、少しずつ心を許してたった一人の大切な存在のために生きようとする物語。

「アッシュ」という名前や、孤独な個別ルート、父親との関係、そして
「自分は汚れすぎていてミカを幸せには出来ない。
ミカを愛するからこそ遠ざけて安全で幸せな日々を過ごしてほしい…」という献身的な愛情は、BANANA FISHのアッシュと英ちゃんを思い出してしまいました。
もしももっと早くアッシュと英ちゃんが出会っていたら。
こんな風な二人の未来もあったのかな……
と、勝手にそちらも脳内保管させていただいてしまいました。

アッすみません!全然関係ありませんでしたがデスペラドロップス好きな方はBANANA FISHも好きなのではないかと思いましてあのその(カミュ)

恋愛的には、とにかく最初から最後まで2人とも可愛くて初々しくて、にこにこしながら2人を見守る背後霊目線で楽しませていただきました…!!!



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