最近の会話

夕方、雨が上がったので散歩に出た。
住宅地を流れる小さな用水路を指差し、「見て!」と彼が言う。
「見て、あつめてはやし 最上川、だよ。」
そこにあるのは、雨が降って流れが激しくなった用水路である。
「最上川を辿っていこう」と言いながら彼は狭い路地に入っていってしまった。草木の生い茂る小さな道へ。
「蜂に刺されたらなっちゃんのせいだからね」と私は後を追う。振り返った彼は険しい表情で「ナスあんた何回蜂に刺されたことあんのさ!」と言うので「1回もないけど」と返すと「0パーセントじゃねーか!」とプリプリしながら進んでしまった。
「ああでもナスちゃんは経験のないことを、これから起こるかもしれないっていつも思ってんだねぇ」彼はしみじみと言った。

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