海流に流される人生と乗る人生
クラゲは脳がない。
苦しいとか悲しいとか
寂しいとか
愛してるとか
そんなの一切思うことなく
生命が終わるときは溶けていなくなる
私もかつて
“ クラゲになりたい ”
と、言葉を漏らしたことがあった
ふわふわしてたら綺麗だと言われ
死ぬときは跡形もなく溶けてなくなる
なんて最高なんだ
クラゲは
死体になっても痛々しくない唯一の生き物
それを知った私は
次第と彼らに憧れを持つようになる
なんだか最近妙に心を惹かれるのだ
きっと
彼らの穏やかに漂う様子が
病んだ心に沁みたのであろう
ここ数年にあった出来事を
水槽の前で思い返して傷心に浸っていた
その中で起きた数々の体験が走馬灯のように
眼球に映る深い水色となり駆け抜けたような気がした
彼らはきっと海流に流され
身の回りのやつらに自分の身ごと居場所を委ね
行き着いた先々での生活に臨むのだろう
あぁ、気楽で羨ましい
数年前の自分なら
こうして羨望の眼差しを向けることであろう
だが
今の私はこんな思考に至ったりもする
他人に委ねてばかりだなんて退屈だ
私は
海流に流される人生ではなく
自らの手で作り出した海流に乗る人生をゆきたい
前を向こうとしている人を騙す人なんていないさ
もしもそんな奴がいたのなら
そいつがおかしいんだって
逆に指をさして高らかに笑ってやろう
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