西側(しっぽみじか族)の国—ウエストタウンのエルフ初めに、レンガの壁に沿って西側の国の〔英雄〕を紹介しよう。 彼はこの国でも指折りの変わり者として知られている。 名はエルフという。 気の遠くなるような時を費やし、しっぽの長い種を根絶してきた結果、この国ではもう何世紀もの長い間しっぽの短い猫だけしか産まれなくなっていた。ゆえに猫のしっぽが短いのは、ごく当たり前の事だった。 しかし、なぜか彼だけは他の猫より少し長いしっぽをもっていた。 それが(変わり者のエルフ)と呼ばれるように
プロローグ何度となく崩されては、また積み上げられたようなレンガ塀が、どこまでも跡絶えることなく闇の中へ続いている。 この無表情なレンガ塀は、2つに分けられた猫の国の絶対的な境界として、もう2度と崩されることもなくそびえ続けるのだろうか………。 レンガ塀の起原は、かなり昔の話になる。 そう……今この国に暮らす者たちは、壁が造られた頃のことなど知らない……。 ただ、〔決してこの壁を壊してはならない〕と、その昔壁を造ったご先祖様から、きびしく語り継がれていた。 壁を壊したら最後