グリーニー〜伝説のギタリスト、ピーターグリーンからゲイリームーアに引き継がれた伝説の59年製レスボールその1

グリーニー、それは初期フリートウッドマックでギターを担当していた伝説のギタリスト、ピーターグリーンが所有しプレイにも使用していたことから名付けられた59年製レスポールスタンダードの一つである。

レスポールというギターは元々は多重録音の発明者とも言われるジャズギタリストのレスポール氏がそのコンセプトをギブソン社に持ち込み製作、販売されたギターである。発売初年度は1952年度だが主にブリッジ周りの改良を経て1957年にはストップテイルピース及びオクターブチューニングを可能にしたチューンOマチックを搭載することで一旦は完成をみたギターであるが、1957年製は塗料に銅を混ぜたいわゆるゴールドトップと言われるものである。

翌年、レスポールは表面の塗装をクリアにしたハワイオリンの様なサンバースト塗装にマイナーチェンジを施される。もちろん状態の良い前年仕様のゴールドトップモデルも人気が高いのだが、この杢目が顕になる1958年以降のモデルはバーストと呼ばれ状態が良ければ都内に3LDKのマンションが建つくらいの価格で取引されている。
残念ながら当時はギターの重さが重過ぎること、ブリッジ周りの改良によってサスティーンが当時の需要にマッチしなかったためギブソンはレスポールの生産を1960年を最後に止めてしまう。
この前1958〜1960年まで生産されてきたバーストモデルがコレクター市場で高値で取引され、プロのギタリストですら買うのが躊躇われる値段、そして手に入れたとしても何かとアクシデントの多いツアーに持って行くのをためらう要因なのだ。

このバーストと言われるわずか3年間のみ製造されたレスポールのうち最も人気の高いのが1959年製レスポールである。なぜ58年ではなく60年ではなく59年製が特別に人気が高いのかは自分には分からない。
しかし元々のギブソン社はそれぞれをランク分けして製造販売している。
その前にギブソン社は大きく分けて二つのブランドを持っている。一つは比較的廉価で買えるギターを製造販売するレギュラーラインとギブソン社でも上級の木材や製造者を有するより高額なギターを製造するカスタムショップだ。
前者でも販売価格は30万前後、後者であれば今なら最低でも50万以上は覚悟せねばならないだろう。
コレクター間で高値で取引されるレプリカ品を製造しているのは後者のカスタムショップだ。
かつて不人気だったゆえに製造を中止したバーストを年代別に銘打って製造販売しているのはカスタムショップ製である。加えて新品のギターにダメージ加工を専門家が施したより高額な製品まで製造している。ダメージ加工のトップ技術者がダメージ加工を施した製品はプラス20〜30万の価格で販売される。ダメージ加工を施した製品にプレミアムがつくのは自分が知ってる限りリーバイスのジーンズかギターくらいなものだとは思うが。
いわゆる今製造されているバーストには大きく三種類ある。58年製、59年製、60年製。ギブソンのカスタムショップ内ではほぼ同じ木材、製作工程を経ている製品に対し、ギターボディの表面の木材がプレーンに見える個体を58年製、誰でも分かる派手で艶やかなトラ杢を持つ個体を59年製、同じく見事な杢目を持つが当時の仕様変更に従った細かいマイナーチェンジを施したものを60年製として販売している。その中でNo.1の人気を得ているのが59年製レプリカである。しかし音楽ファンである自分が好きなミュージシャンが抱えている当時の写真を見ると今ギブソン社がプッシュしている59年製レスポールが派手な杢目を持っているかというとそうは見えない。加えてネックが細くなった以上のマイナーチェンジしかなかった58年製と59年製の違いはおそらく専門の鑑定士でないと分からないだろう。

タイトルとは関係ない話を書いてしまったので次で本題を述べたいと思う。

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