なんのために働いてる?

「なんか、全然休まないですよねー」

私が入社した1ヶ月後に入った女性とは、着替えのロッカーが近い。
ノペーッッと喋る人なので彼女は(ノペ子)。
心の中であだなを付けている。

よく休憩時間に会う。「仕事慣れました?」とか、「寒いですね」とか、ノペーッとしたことを少しだけ話すような関係だ。

ある時、ノペ子はお菓子を食べながら私に向かって、「なんか、全然休まないですよねー」って、
つまり私が私情で仕事を休まないことについて言った。

彼女は別に、何かを思って言ったわけではないだろう。言い方がノペーッとしてたから。

「え?あーはい。あ、休むことあるんですか?」
私は聞いた。

ノペ子の事情はよく知らないが、ちょいちょい休んでいるらしかった。どうやら子供がいるようだった。

「あーそうなんですねー」
ノペーッっと返して終わった。
なのに何故か、ずっとノペ子の一言が心にひっかかってしまっていた。



私にとって仕事は学校みたいに皆勤賞を狙いに行っている時と似たような感覚がある。
皆勤賞を取ったところで嬉しくなるというわけでもないが。

労働してお金をもらう。生活するために働く。
お金が発生することには責務を感じている。

…人手が足りない時、独身の者が穴を埋める。
私は若者で、独身。会社にとっては年齢的にも都合の良い、期待されがちな存在。


今日は広いどこかの部署でコロナ感染者が出て、何人か同時に休んでいると上司が言った。

残業をできる人がサインをする紙は、毎日同じ時間帯に回ってくる。
(私まだ仕事も一人前に出来てないし…)と、一応気を遣って、今日も穴埋めのために働いた。
帰宅後、めっっっちゃ疲れて、飯も食べず泥のように寝た。

さっき、ぼんやり起きて、お風呂に入った。
ぼんやり、お湯に浸かりながら、ぼんやりした。

わかった。そう、そうだよ。

仕事があることはありがたい。
でも、仕事が回らなくなった時、
時間を自由に使える人が穴を埋める。

仕方ない、は、いつまで耐えられる?

これだから、仕事が嫌になる。
プライベートもくそもない。
これが続けばどうなる?
そうだよ!少子高齢化になるんだよ!!!

…と、ノペ子と話して数日経った今。
時間差で(何か)にイラついた。

人は色んな事情を抱えて生きている。
何のために働いているかは人それぞれだ。
だけど、少なくとも私は仕事のために生きているわけではない。
そう、そうだよ…
自問自答を繰り返しながらお風呂からあがった。

下着には毛玉が沢山ついていた。
取る気はない。いつか取る。(いや、取らないかもしれない)

今日も明日も、毛玉付きの下着をつけてロボットみたいに働く。
私は人間だってこと、忘れてはいけない。

今日は疲れた。
明日は残業しないで帰ろう。

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