アニメスナックバス江から見えてくるアニメ業界の問題点

アニメスナックバス江が賛否を呼ぶ中作者がネメシス氏が作成したアニメを公開2分後にリポストして話題を呼んだ。
元々監督がイキり散らして炎上、アカ消ししたというのもあってか作者も思うところがあったのだろう。
このような原作へのリスペクトが足りておらずに原作者やファンを怒らせるというのはアニメ業界の悪癖である。
それについて語っていく。

発端は監督による作品の私物化

スナックバス江はギャグマンガであり、テンポの良さやキレの良さを求めていたファンは多いだろう。
その為5分や15分くらいでテンポよくやって欲しかったという意見があった中、上記の動画はこれこれと言わんばかりに賛同の意見が出ていた。(地上波で写せるかどうかは別)
では監督はどう作ったのか。それはスナックの良さを押し出すために30分アニメにしたのである。
ちなみにスナックバス江はスナック感無いことをネタにするくらいにはスナック押ししてない作品である。
しかも他作品のキャラを出してしまうアニメオリジナル回、際どいネタを中途半端に出すという原作ファンを怒らせるには十分な作品に仕上がっている。
幸いなのは原作を知らない人には緩い日常アニメのような作品と感じられており、好評な意見も多くあることである。

作品の私物化は今に始まったことじゃない。高橋留美子や尾田栄一郎も被害に遭う

うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」は名作と名高い作品であるが、原作のドタバタコメディ色を薄めて押井守色を強く出している為、高橋留美子を激怒させたという話は有名である。(実際は怒ったというよりは押井守監督の作品と言って原作とは違うというニュアンスだったようだ)
また「ONE PIECE THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島」はワンピースでありながら細田守監督が自分の作品に仕上げてしまったことワンピースファンの中では有名な作品である。
好きな人は好きである作品ではあるもののワンピースらしさは無く、原作の解釈違いでキャラが崩壊していたり、妙にギスギスしていた(一応敵の罠ではある)り、グロ描写、ルフィの代名詞である「ゴムゴムの~」技を一切言わない、そもそも予告とは違う鬱屈とした作品という感じでが批判も多い。
裏話で次の映画では監督は下ろされたが脚本の伊藤正宏は続投され、尾田栄一郎が「伊藤さん、ようやく、春が来ましたね!今度の作品なら甥っ子さんや姪っ子さんたちにも安心して見せられますね?」と伊藤正宏に発言したエピソードが残っている。
伊藤正宏は細田守監督に勝手に悲劇的に改変されて風評被害を受けたと個人ブログに記載。一方の細田守は脚本を最後まで書いてもらえなかったとか、良くないから変えたと発言している。(これに関しては細田守自体が問題ある人物である上に後の作品の傾向から脚本家の意見の方が正しいとされている。ワンピースへの理解度足りてない発言も多かった)
これ以外にも監督や制作陣が私物化して原作改変作品は多く、アニメ業界の異常な体質が見えてくる。

私物化だけではないアニメ業界の異常さによる被害

・アニメ作りすぎ問題

作画崩壊、原作改変、解釈違いが横行する要因としてはそもそもアニメの作りすぎ問題がある。
今は大体1クール40~50本という異常な多さであり、最盛期は1クール70本という狂った多さであったそうだ。
その為粗製乱造が横行しており、監督等の力が強すぎる要因にもなっているのではないだろうか。
またここまで作られても全部見ることは出来ない為、1話だけ見て判断する1話切り、下手すれば事前情報で切る0話切り視聴者が増えており、後から面白くなる作品はアニメ向きじゃなくなっている。
そんな状況が続いている為アニメは原作不足、ネタ切れが深刻であり、かつてならアニメ化はせず、精々OVA止まりの作品までアニメ化してしまって爆氏する事態も散見されている。
個人的には1クール10~20本+再放送でやるべきと思っている。作りすぎて見切れないのを避けつつ見逃した作品への救済措置も必要だ

・アニメの性質による被害

アニメは30分を12話作って1クールとすることが多い。
その為原作等をその時間に合わせてアニメ化をするのだが、相性が悪い作品も少なくない。
何故なら原作のテンポが崩れて駆け足過ぎたり逆に間延びしすぎることが多いからだ。
話題のスナックバス江が典型的な例であり、5~10分でテンポ良く作れば原作再現度が高まるのに30分で間延びしてしまって別作品になってしまっている。
これはこれでという意見は分かるが、偶々上手くいっただけであることを忘れてはいけない。
そもそもアニメは時間に縛られるせいでアニメ向き不向きが分かれることも多く、もっと自由に作れるようにしなければ原作の良さを引き出せないと私は思っている。

・ 当たり外れの激しさから生まれた概念「ガチャ」

上記で取り上げた作品は賛同の声がある分マシと言える。
というのもあまりに糞だったアニメは外した場合ボロクソ言われた後にクソアニメとして名を残してしまうからだ。
そして原作者が萎えてしまったり、読者が萎えてしまって原作が終わるという悲劇があちこちで起きており、今やアニメ化が実写化レベルで信用されない状態である。
いつしか「ガチャ」扱いされるようになり、制作会社ガチャ監督ガチャ制作陣ガチャといった形で当たればいいな程度に扱われるようになってきている。特にラノベやなろう作品は当たり外れの幅が大きくよくこの表現が使われる。
私物化が横行している為監督や脚本家等の制作陣の暴走がそのまま駄作に繋がったりするため、頼むから原作のまんま作ってくれと意見も出るのは異常であると思っている。
本来アニメは原作を動かして多くの人に楽しんでもらうコンテンツのはずなのに、つまらないアニメ化で逆に原作が叩かれるようになる事態が出てくるようなら作らない方がマシである。

このままではアニメ業界は崩壊する

上記の問題に加えてアニメーターの賃金が安すぎる問題は未だに解決していない。
既にアニメはかつての影響力は失われており、スマホゲームやVTuberという本来競合するはずないコンテンツに客が流れていっている。
今はまだヒットする作品が出ているのでまだ間に合うラインだが、正直崩壊するまで悪化し続けるだろう。
その後に特撮の様に復活できるか、TVのように沈んでいくのかが今後のアニメ業界の分岐点であろう。


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