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母との別れ

父はまだ現役で働いていた為、母の生前は日中に身動きのとれる私が母の病院の手続きや送り迎え、在宅医療や在宅ケアの方とのやり取りもほぼ1人でしていました。(ひとりっ子なので、私がするしか無い)

最後を自宅で迎えるのが母の希望だった為、覚悟を決めて、家族で看取る事に決めていました。
在宅医療の先生に
「恐らく今日の明るいうちに息を引き取るでしょう。合わせたい人が居たら連絡して下さい。」
と言われ、近くに住む親戚や、母の親しくしてくれていた方にすぐ連絡しました。

私は週の半分だけ実家で仕事をしているので、母が亡くなる当日も、母の事が気になりつつも亡くなるのを待つのも辛いので、通常運転で仕事をしていました。(勿論家族の誰かしらは付き添っていました)

先生のおっしゃった事は少しだけ外れて、母は私の仕事が終わるのを待ってくれたかのように、家族みんなが揃ってから、みんなに看取られて旅立ちました。

しかし私は悲しみに浸る事は出来ませんでした。
先生に
「呼吸が無くなったら連絡して下さい」
と言われていたからです。
人の死に立ち会った事なんて生まれて初めてでした。
どうなったら「死」なのか、いつ連絡したらいいのか…。
バカ真面目な私は、そんな余計な事が気になって、最愛の母との別れの瞬間を全く悲しむ事が出来なかったのです。

母の「死」を実感したのはお葬式だったように思います。

しかしその後も市役所や銀行。仏具屋さん…。
バタバタとした日は続くのでした。

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