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the儀式 結納 (結婚ものがたり)

夢の国がみごと、能面の国と化した前日とは打って変わって
その日は快晴であった

結納の準備で
私の両親も、儀式の流れやセリフなど本を読んだり
儀式のための寿料理を注文したり

そして私も、買ってもらった晴れ着の着付けと髪のセットに
近くの美容院に行きました

いよいよ
能面両親と結婚相手と、孫ふたり。。。が
我が家にやってきたのです


能面両親から事前に送られてきた大きな箱には
結納セットが入っていて、到着したら能面両親が開けることになっていました

結納も地域によって違うし
大きな箱にはいったい何が入っているんだろうと思ってました

何が出るかな、何が出るかな、って感じで

うちに来ても表情一つ変えないまま、相変わらず能面両親のまま
箱からいろいろセットに必要なものを出して、組み立てて

はい、ひとこともしゃべらず、黙々と、能面で、組み立ててましたね

孫ふたりは、マンションの高層階が珍しいらしくあちこち見て歩き
儀式の準備が済んで、能面母に呼ばれて

結納儀式の場所に孫ふたりも座らされてました。。そういうもんなのか??知らんけどねっ

親同士でいろいろセリフが飛び交い
男性側からのものを納めるって感じなんでしょうね
目録みたいなものを受け取って、儀式は無事に終了

箱の中には、写真のような、人形さんたちが、ちょっと大きめなものが
何体か入っていて、飾るものらしいですね
縁起ものですかね


儀式が終わって、こちらで用意した寿使用の高級弁当と寿さくら茶とかを
全員の前に配り
食事タイムだったのです

お腹すいてますから、私も相手もうちの両親も食べますし
食べながら、能面父も食べてくれていて、うちの父と
なにやら世間話していたのです

けどね

能面母は
孫たちが食べているのを見て世話をやいてるだけで
食べていなかったんですねぇ

うちの母が「お食事、食べてくださいね」と声をかけると

「はい、あがります」
ってちょっと変な言い方でしたが

たぶん、「召し上がる」の「あがる」だったんではないかと
思いましたが

にこりともしない能面母をチェック!!

顔面を何かで固めているとしか思えない
笑うと負けるとでも思ってんのかってくらい

能面


そして、弁当もお茶も、一口もつけなかったんですよ

そんなに気にいらねーの?

って
今の自分があそこにいたら。。。怒


愛想ももったいない、気にいらない
自分のお目に適った女子じゃない

東京のひとつ年が上の一人っ子の女

別に
別にね

気に入られなくてけっこうです
私に嫌われたいからそうしてるんですよね

ならこっちも嫌いでいいよね

こっちから無意味な喧嘩は売りませんけど

売られた喧嘩は買いますよ


30年も前の私は、深層心理でそう感じていたはずだ


そんなこんなんで
たっぷり残った食事とともに、狭い空間での能面儀式が終わり
あちら様は孫ふたり連れて、我が家から去る時刻

私の部屋でファミコンに夢中だった孫が

面白かったゲームに未練があり
「これほしい」とか言い出して

能面両親も黙って見てるだけ
そして
私の母が言ったのです

「そのゲームあげなさい」って。。まるで私が
あげたくないって言ってるみたいな言い方だったんです

私はその時、何も言ってないし
「これほしい」と孫が言いだして「いや」とも言わないし

ただそこに私がいただけだったのに
母は
私を諭すように「あげなさい」って命令口調だったんです

それもびっくりですが
その時に黙って見てる能面両親もさぁ

なんなん????????


なに、私が悪者みたいになってんの?

これには私も言葉もなく、とっとと消えてよ、って感じになるのって
やっぱり私が変なんでしょうかね、ま、変でいいけども



その間も、結婚相手の彼は本当に他人事で、いいなぁ


人生が、二度、あれば。。。



そうでした
その時に頂いた婚約指輪、デザインは私の好みにしてくれるはずで
彼にしつこく言っておいたのに

能面母が自分の知り合いの店で選ぶことになり

あれほど、いやだって念を押した、その時すでに時代は過ぎていた

「立て爪ダイヤ」のリングでした

すっごいあげぞこで、どこにもしていけない、思い切り婚約指輪

私の存在はことごとく無いことになる
これから先もそうなんだけど

まだ、生活も始まってないし
信じていたよね、楽しい未来、ふたりの生活
あの時の自分は、純粋だった


そうして

仲人さんをお願いするとか、住む場所とか、新婚旅行とか
決めることやること
ふたりの共同作業は、結婚式の前から始まってたんですね~


仲人さんってお世話になってる上司とかが普通?
今はそういう形式もすたれてますけどねぇ


つづく


きみはよくやってきた
私だけは、褒めてあげるよ

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