【デュエプレ】【デュエマ】山札に入れて
電車にのっていたら突然、ある文言が脳内で浮かび上がった。
スケールが違うわ!
「緑神龍ディルガベジーダ」のきわめて印象的なフレーバーテキストであり、デュエプレでも能力発動時に発せられるセリフだ。ディルガベジーダそのものを象徴するような文言である。そしていま、私は電車内でスマホを開き、この記事の行き先もわからないまま書き始めたのだ。
といったわけで今回は、ディルガベジーダについて少し見ていこうと思う。
はじめに
すでに議論しつくされていることだが、このカード、結構面白い(謎な)カードである。
ゲキメツと武者ドラゴンがくっついたようなイラストなのに、自然文明で、なぜか破壊されるとかわりに山札に帰るという、あんまり関連のない能力である。さらに、フレーバーテキストではたんに己のスケールを自慢するのみで、ゲキメツとか武者関連はみられない。「このクズども」とか、「スケール」とか、武者ドラゴンは言わないだろう。(「ザコどもよ!」とは言っていたため、それ意識かもしれないが)ディルガベジーダはあくまでディルガベジーダであるようだ。
デュエプレでのスケール感
デュエプレでも、ディルガベジーダはあらわれているが、そのキャラクター性に若干の補完がなされている。
ボイスにて、「ゲキメツしてくれるわ!」とのセリフが聴ける。潜在的にかあるいは無意識下で、「ゲキメツ」というらしい。まあ、イラストにゲキメツが描かれてることのデュエプレならではの補完とみてよい。
ディルガベジーダのフレーバーテキストには変化がないが、どういう存在なのか、については(たぶん)言及された。それが、以下である。
「異世界から」の「碧眼の伝説龍」である。はっきりこれがディルガベジーダであると示す文言はないが(示してしまったら伝説龍ではない)、「碧眼」、すなわち深い緑の眼を持った伝説龍というところと、武者ドラゴンとゲキメツの合体のような奇天烈な見た目を「異世界から」として説明しようとしている点で、上に挙げたフレーバーテキストはディルガベジーダを指したものと考えたい(「碧眼」については記事末尾に補足あり)。
「神羅たちを蹴散らした」というのも、「トルネード・ムーン」のパワーが22000であることを考えれば納得がいく。
フレーバーテキストやボイス関連の補完についてはだいたい以上なので、これらからデュエプレにおけるディルガベジーダをまとめると、以下のようになる。
力の弱いものを正面から蹴散らす、異世界から呼び出された伝説龍。キリコに使役され付き従いながら、神羅すら蹴散らして「キリコ・ムーン」に至る手助けをした。
脆弱な者を容赦なく蹂躙する伝説龍は唯一、自らを認め呼び出す歌姫「キリコ」にはそのスケールを認め、付き従ったというわけだろうか。
頭脳派と肉体派のコンビ。わたしはデュエマの二次創作などには詳しくないため分からないが、ディルガベジーダとキリコにはきわめて惹かれる。もう書いている人いるかな。
さて、能力にも触れていく。
■バトルゾーンに出た時、相手のパワー3000以下のクリーチャーをすべてマナゾーンに置く。手札以外からバトルゾーンに出たなら、さらに相手のパワー9000以下のクリーチャー一体をマナゾーンに置く。
ゲキメツ(主にメツ)の低パワー全体除去と、武者ドラゴンのような単体パワー指定除去を行う能力が追加されている。まさしくイラストの、なんとなくゲキメツと武者ドラゴンがいるという要素を能力として落とし込んだ形だ。キリコが使役して呼び出す設定も、「手札以外から出たなら」という条件によって表現されている。うん、やはり信頼できる能力改変だ。紙では意味のわからないディルガベジーダというカードを遡って分析し、キリコと絡めた設定をつけ、ゲキメツや武者にも関連づけて……
ん?
■破壊されるとき、かわりに山札に入れてシャッフルする。
なぜか古いほうのテキストになっている。
デュエプレではこの手の能力は基本、「山札に加えてシャッフルする」と記載される。
というか、デュエプレカードリストで「山札に入れて」と検索してみたまえ。ディルガベジーダしかヒットしない。さらにいえば、TCGのカード検索でも、「アクア・パトロール」とディルガベジーダしかヒットしない。スケールの小さい話をすれば、要するに誤記だ。「山札に加えてシャッフルする」が正しいだろう。最新版ディルガベジーダでも、そうなっている。
しかし、デュエプレの表記を誤記と断じて記事を終えてしまうのは、なんだかもったいない。せっかくディルガベジーダが異世界からの伝説龍で、キリコの配下なのに。
「山札」が物語におけるアカシックレコード的世界であると捉えるのはどうか。世界の構成要素、未来としてのカードが不可視に積み重なっている。キリコ(あるいはカチュアでもいいが)はそうした不確定的に重なった世界の中から、使役してディルガベジーダを呼び出している。ディルガベジーダは死ぬことはない。もともとこの世界にいないのだから。加わることもない。ただ、あるがまま、別の世界のキリコの歌を聞いたかのように、入っていくだけ。世界に溶けず、加わらず。
ああ、乗り過ごした。
補足:「碧眼」
デュエプレの造語ではない。基本的には「青緑色の眼」を指す
(用例:幸田露伴『二日物語』「碧眼(ヘキガン)の胡児、烏滸(をこ)の者ども朕を如何にか為し得べき」など)が、他に欧米人の青い眼を特に指して言うことも(用例:徳富蘇峰『将来之日本』「碧眼紅髯の人種」)。
つまり、色彩の面で、実は記事中でこれを「緑」と断じたのは若干軽率である。一方、欧米人を表す「碧眼」は、日本以外の異国からの闖入者という文脈で使われていることが多い。これはディルガベジーダの「異世界人」的性質と重なる部分であり、その異世界性を表していると見ることもできる。
「碧眼の伝説龍」の候補はほかにもいて、フレーバーテキストにて唯一「伝説龍」と名指しされる「ボルメテウス・サファイア・ドラゴン」
あるいはパック発売当時連動してTCGで現れたSusano-O-Dragonなど。
ただ、「神羅を蹴散らした」記述を最も納得感をもって解釈できるのはやはりディルガベジーダだった点、異世界性が「碧眼」の意味内容と重なる点で、「碧眼の伝説龍」は明確にディルガベジーダである、と主張したい。
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