日本史006 古墳時代の大和政権と東アジア

なっしT:縄文・弥生の遺跡を見たので、先に進めて古墳時代に行こうか!
わた:やった!先に進めましょう。
なっしT:まずは世界の動きから見ていこう。

東アジアの動き

なっしT:この時代の中国はという王朝から始まる。三国時代の後だね。
わた:魏にいた司馬炎が中国を統一して建てた王朝ですよね。
なっしT:よくご存知で。だけど一族の内紛が生じたりして、50年くらいで滅んでしまうんだ。
わた:他者に滅ぼされるより、なんか不憫ですよね。
なっしT:そのあと、中国は北と南に2つの王朝ができる時代がくる。これが南北朝時代だ。
わた:日本にもありますよね。やっぱり中国リスペクト…?
なっしT:結局は2つに分裂する、みたいなことだよね。

南北朝時代の概略図

わた:日本に近い朝鮮はどうなんですか?楽浪郡は?帯方郡は?
なっしT:残念ながら滅ぼされてしまい、北部には高句麗という国ができる。一方、南部には馬韓・辰韓・弁韓があったんだけど、百済・新羅・伽耶諸国が代わって成立する。
わた:先生いつもの覚え方、言っちゃってください!
なっしT:仕方ないなぁ。じゃあいくよ。

馬鹿(馬韓)はくだら(百済)ん!便(弁韓)は厠(伽耶)で!

で覚えよう。
わた:ちょっと…ご飯食べている時はやめたほうがいいですね…。辰韓→新羅は両方「し」から始まるのでわかりやすい!

イラストと一緒に覚えよう!

古墳の出現と大和王権の成立

なっしT:じゃあようやく日本の古墳時代を見ていくことにする。名前の通り、古墳が各地に広がっていく時代だよ。
わた:広がっていくってことはスタートがあるわけですか。
なっしT:その通り!畿内、今の近畿地方に前方後円墳ができたところから始まるんだ。
わた:むむ!邪馬台国、やはり近畿説が有力ですか!?!?
なっしT:そうとも限らないんだなぁ。色々調べてみて。
わた:どの地域まで広がっていったんですか?
なっしT:3世紀半ばまでに瀬戸内地方まで、4世紀後半までに九州北部から東北地方南部まで拡大したよ。
わた:ほぼ全国じゃないですか!古墳時代すげぇ!
なっしT:古墳が王のお墓っていうのは知ってるよね。この時の王は政治的支配者かつ宗教的司祭者なんだ。

政治的支配者かつ宗教的司祭者

わた:ということは、政治は宗教をもとに行われていたんですね。
なっしT:そうなるね。じゃあ最初の時代の古墳を見ていこう。

前期古墳の特色
形状:前方後円墳・円墳・方墳
周囲:表面には葺石が置かれる
   周りには埴輪が配置(円筒埴輪形象埴輪
石室:竪穴式石室、中に副葬品(鏡・玉・剣)
地域:大和を中心とした近畿地方に巨大な古墳が集中

なっしT:まあこんな感じになるかな。
わた:少し難しい内容が多いですね。説明お願いします!
なっしT:わかった!まずは形状ね。円ってのは丸い形のこと。方ってのは四角い形のことを指す。
わた:円墳、方墳はそのままか。前方後円墳ってのは「前が四角くて、後ろが丸い古墳」ってことであってますか?

前方後円墳

なっしT:その通り!次、葺石っていうのは古墳の丘状になっているところの斜面に置かれた石のことだよ。崩壊を防ぐために斜面に置かれたと考えられている。
わた:確かに土を盛るだけじゃ雨風にさらされ、壊れてしまいますね。
なっしT:円筒と形象はわかるよね。
わた:円筒ってのは筒状の置物っぽいやつですね。形象ってのは何かのもの・生物を象っている埴輪のことですね。後者はよく見かけます。
なっしT:人とか、馬とか、船とかあるよ。
わた:えっ、動くんですか?
なっしT:動くわけなかろう。どうぶつの森の世界じゃないだから。みんな思い違いしないように。
わた:は〜い。

形象埴輪(動かないよ)

なっしT:石室ってのは遺体を収めるところ。竪穴ってことは上から遺体を収めるわけだ。
わた:じゃあ一回埋めちゃうと終わりなんですね。
なっしT:そうそう。再び埋めることを追葬っていうけど、竪穴式石室は追葬不可能な石室なんだ。
わた:ってことは追葬できる石室もあるってことですね。
なっしT:察しがいいね。
わた:副葬品!また出てきた!
なっしT:いつの時代もあるからね〜。歴史として出るのはここまでかな。
わた:やっぱり中心は大和なんですね。そもそも地域って関係あるんですか?
なっしT:古墳の形や副葬品が共通してると、共通の王をもっていたり、服属関係が成立していたりすることがわかるんだよね。
わた:なるほど。わ!だから大和政権!点と点が線で繋がった気がします。
なっしT:それが高校日本史の面白さだよね。そしてこの時代の王は大王(おおきみ)と呼ばれるんだ。
わた:なんかかっこいい…!

大和王権と朝鮮・中国

わた:朝鮮って結構狭いですよね。あそこに4つの国があるって大丈夫なんですか?対立しませんか?
なっしT:いい質問だね。ちょうどこの頃、高句麗・百済・新羅の間で対立が生じるんだ。
わた:やはり!でも伽耶は?
なっしT:伽耶は力が弱いから覇権争いには参加してないんだ。ただ…
わた:ただ…?
なっしT:とても豊富な資源があるんだ!特に鉄資源がよくとれる!
わた:なるほど。どちらかというと併合を迫られる感じですかね。
なっしT:そうだね。どの国も伽耶が欲しいって感じ。日本も鉄資源を求めて朝鮮に進出したよ。
わた:伽耶欲しい!

鉄が欲しい女の子

なっしT:対立は加速していき、4世紀後半、高句麗が百済に侵攻。百済と大和政権は同盟して、高句麗と戦うんだ。
わた:あら!日本と百済、仲良いんですね。
なっしT:この時期、日本と仲が良かったのは、百済と伽耶だね。この戦いの記録は広開土王碑文に記されている。
わた:広開土王?誰?
なっしT:4世紀末〜5世紀初めの高句麗の王だね。領土拡張のために南進し、百済・大和政権連合を破ったといわれる人物さ。この王の功績を讃えた碑が現在の中国吉林省にあるのだよ。
わた:当時の日本を知る重要な手がかりってわけですね。
なっしT:その通り。百済と日本(倭)の関係性も七支刀っていう刀からわかる。「百済王から倭王に贈る〜」って書いてあるんだよ。
わた:それは分かりやすいです!

わた:朝鮮とは分かりました。中国との関係性ってなかったんですか?
なっしT:もちろんあったよ。『宋書』倭国伝には中国の南朝に遣使した記述があるんだ。
わた:なんて書いてあるんですか?
なっしT:倭の五王が朝貢して、「安東大将軍」の称号を与えられた って書いてある。
わた:五王?5人の王のことですかね。
なっしT:大正解!讃・珍・済・興・武の5人を指して、讃以外は宋から王の称号を与えられているんだ。

朝貢して王になる倭の五王

わた:なるほど…そもそも五王はなんで朝貢し、王の称号を受けたですかね。
なっしT:いい質問だ。朝貢することで王の称号が与えられるんだけど、これは中国から認められたってことになる。となると…
わた:強い味方がバックにつくことになりますね。
なっしT:となると…
わた:仲良くない朝鮮の国々と交渉するのに有利になる!
なっしT:Yes!政治的立場を有利にすることに繋がるわけだね。

古墳文化の発展

なっしT:5世紀前半には、近畿に誉田御廟山古墳(大阪)や大仙陵古墳(大阪)といった巨大古墳が出現する。これは大和政権の権力や権威の大きさと比例している。
わた:確かに大きな古墳を作るためには多くの手が必要ですからね。
なっしT:じゃあこの頃、中期古墳の特色を見ていこう。

中期古墳の特色
周囲:濠をめぐらす
地域:全国各地に大型の前方後円墳、平野に築造
例)筑紫(福岡県東部)・吉備(岡山県)・毛野(群馬・栃木県)
副葬品:馬具や鉄製の武具・武器、金属製装身具

わた:濠や武具や馬具があるところから武人的な性格が強いと言えますね。
なっしT:そうだね。全国に同じ形の古墳があるところからかなり影響力を持ったこともわかるよね。
わた:そういう見方もあるんですね。

武人的性格の強い古墳時代中期の王

なっしT:5世紀になると大和政権は多くの渡来人を受け入れるようになる。
わた:朝鮮からきた人たちですね。稲作を伝えたのも彼らでしたよね。
なっしT:そうだね。今回は鉄製品や須恵器の製作技術、機織を伝えたんだよ。
わた:鉄や機織は生活する上でかなり重要ですよね。須恵器ってなんですか?
なっしT:高温で焼く土器で、系統でいうと弥生土器の流れを汲んでいるよ。
わた:弥生土器…!さらに強くなるんですね…!でもこういう技術って誰に伝えるんですか?
なっしT:技術者集団に組み込んで技術を伝えるんだ。その集団を品部といい、それぞれの技術に分かれている。鉄製の武具・馬具を扱うのが韓鍛冶部(からかぬちべ)、陶器を生産するのが陶部(すえべ)、機織で布を生産するのが錦織部(にしごりべ)だ。

品部の方々

わた:なるほど。パイオニアの方々を教えてもらえませんか…?今すぐ弟子入りしたいです。
なっしT:秦氏、東漢氏、西文氏らが渡来人の子孫として渡来人を統率する役割を担っていたんだよ。
わた:名前は…
なっしT:じゃあ特別に1人だけ。西文氏の祖は王仁という人物さ。彼は『論語』『千字文』を日本に伝えた。ここから漢字や儒教をが伝わったとされるのだ。
わた:大陸の文化が続々と日本に来るわけですね。
なっしT:その通り。これから仏教も伝わるけど、これも百済からと言われるんだ。まだ先のことだから、大陸文化の多くは百済からって覚えておけばいいよ。
わた:承知しました!!