世界史A No.14 東西冷戦 後半(冷戦の高まり〜デタント)

なっしT:前回の授業では、冷戦の高まりを途中までみたよね。
わた:はい、疲弊しているはずのソ連は強がりでアメリカからの支援(マーシャル=プラン)を拒否していました。そのあと米ソはどうやってやり合うんですか?ワクワクします。
なっしT:なんかわたくん物騒だね…

冷戦の高まり(1948~1953)

チェコスロヴァキアでのクーデタ

なっしT:そんな中、チェコスロヴァキアで共産党によるクーデタがおきます。
わた:次に先制攻撃を仕掛けたのは東側陣営ってことですね!
なっしT:明確にソ連の仕業とは言ってないけど、西側陣営はソ連を疑うよね。
わた:「お前がそそのかしたのか…?ソ連…」
なっしT:中立を保っていたチェコスロヴァキアのベネシュ政権は倒れ、共産党による独裁体制が確立します。
不信感を強めた西側陣営は西ヨーロッパ連合条約西欧連合条約/ブリュッセル条約)を締結します。英・仏・ベネルクス3国による反共同盟だ。ベネルクス3国は「ベルギー、ネーデルラント(オランダ)、ルクセンブルク」ね。ドイツとフランスに挟まれた地域の総称。世界史Aでは、これ以降あまり出てこないけど、冷戦下で西欧の統合の中心となる地域だよ。
なんでこんなにもチェコスロヴァキアを重要視したんでしょうか。
わた:うーん。流石に難しいですね…ヒント!
なっしT:場所だね。鉄のカーテンとの位置関係は?
わた:境目!西側諸国に共産主義が及んでしまう可能性が上がるからでしょうか??
なっしT:ご明察!そしてチェコスロヴァキアの北西には…
わた:なんですか…

戦後ドイツと冷戦

わた:チェコスロヴァキアの北西にはドイツがありますね。戦後ドイツってどうなっていたんですか?
なっしT:連合国によって分割占領されています。具体的には米英仏ソによる分割です。概略図で言って、ドイツの東側がソ連による占領、西部は英・仏・米による占領って形ですかね。
わた:なるほど。冷戦の中で「ベルリンの壁」ってよく聞きますけど、ベルリンってどこにあるんでしょうか。
なっしT:ソ連占領地域だね。でも注意!ベルリンも東西に分かれて占領されています。ベルリン西部は西側陣営、東部は東側陣営に占領されていたよ。
わた:ってことは、ベルリン西部は西側の孤島ってことですか?
なっしT:そうだね。でも、ドイツ西部からベルリン西部まで専用道路が通っています。
わた:それが命綱ってわけですね。
なっしT:チェコスロヴァキアでのクーデタは西側陣営に大きな影響を与えます。西側陣営はドイツを東西に分断し、共産主義の影響が及ばないようにしたい…
わた:チェコスロヴァキアからドイツ東部を通って西部までくるかもしれませんもんね。でもどうやって?
なっしT:ドイツの西側陣営が占領している地域でしか使えない通貨を発行する、「通貨改革」をおこないます。
わた:なるほど。そうすれば、交易はできなくなり、経済的に分断できるわけですね。もちろんベルリン西部でも使えるんですよね?
なっしT:使えるよ。東側陣営はこれを暴挙として、抗議し、ドイツ西部からベルリン西部に通じるライフラインを全て遮断してしまうんだ。これがベルリン封鎖ね。
わた:え!それはベルリン西部の人閉じ込められて、困ってしまいますね。アンパンマンでも空から飛んできてくれれば食料くらいは…
なっしT:アンパンマンを食料目的で呼ばないでくれる?アンパンマンの代わりに米・英・仏は空から物資を届ける、これがベルリン空輸だ。
わた:1949年には封鎖が解除されるんですね…よかった…ありがとうアンパンマン…

青:西側陣営(資本主義)、赤:東側陣営(社会主義)

なっしT:ここからは少し駆け足でいこう。このベルリン封鎖が解除とだいたい同時期、ドイツ西部ではドイツ連邦共和国が成立しています。通称「西ドイツ」ですね。首相はアデナウアー。第二次世界大戦でかなり衰退していたドイツ経済を1954年のパリ協定で主権回復や1955年のNATO加盟を経て「奇跡の経済復興」を成し遂げる人物だ。
わた:優秀だ…連邦ってのは、いくつかの政治組織が1つになっているということなので、英仏米の占領地域からできた国家として一致しているからわかりやすいです。
なっしT:一方で、ドイツ東部ではドイツ民主共和国が成立します。もちろん社会主義国家なのでコメコンに加盟します。
わた:経済的な協力をしていきましょう!

東西軍事同盟と代理戦争

なっしT:ここは中学知識なのでサラッと。東西陣営それぞれは軍事同盟をつくります。西側はNATO(北大西洋条約機構)。集団的自衛権を規定している。東側はワルシャワ条約機構を成立させます。
わた:またアジアでは代理戦争が行われますね。1950~53年に朝鮮戦争、1946~54年にヴェトナムでのインドシナ戦争。余裕があったらこの辺のブログも書いてくださいよ、先生。
なっしT:余裕があったらね。他の要望もちょうだいね。

緊張緩和(1953~1963)

雪どけ

わた:一旦冷戦が高まるところは終了ですかね。少し緩和していく過程を見てきましょう。
なっしT:せーの!『言うとしたら僕〜〜〜』
わた:先生、ボケ方わからなくなってませんか??
なっしT:図星です…進めます…まずは雪どけだ。前半のnoteでも言った通り、フルシチョフが「スターリン批判」をするんだよね。ちなみにスターリンは1953年に亡くなっています。
わた:フルシチョフっていい人ですよね。
なっしT:その側面も大いにあるけど、少し怖い側面を教えてあげよう。彼は初め、第一書記として共産党のトップだったんだけど、ことごとく首相を排斥していって、首相と第一書記を兼任するようになるんだ。また朝鮮戦争を収束させたり、ジュネーヴ4巨頭会談で米・ソ・英・仏の会談に参加した一方で、キューバにミサイル基地を設置したという側面もあるんだよね。
わた:意外にも野望をもっていたんですかね。
なっしT:でも、一定の成果は成し遂げられていますよね。コミンフォルムを解散したり、西側との平和共存策へ転換していますね。1959年にはキャンプ=デーヴィットでアイゼンハウアーと会談したり。このフルシチョフ訪米では「アイゼンハウアーの訪ソ」と「パリでの4首脳会談」が約束されます。
わた:親愛度が上がってる…!
なっしT:どこぞの育成ゲームよ…でもこのあと親愛度downイベントが入るよ…

再緊張

わた:え、、、せっかく親愛度あげてきたのに、、、
なっしT:1960年、アメリカのU2っていう偵察機がソ連によって撃墜されてしまったことをきっかけにアイゼンハウアーの訪ソとパリ4か国首脳会談が中止されてしまうんだ。またソ連のキューバにあるミサイル基地をアメリカが発見し、核戦争の危機に瀕する…
わた:せっかく雪がとけたと思ったのに…
なっしT:じゃあ順を追って1つずつ説明していくよ。U2の撃墜についてはさっき話したまま。これをきっかけに「アイゼンハウアーの訪ソ」と「パリでの4首脳会談」が中止となります。
わた:あぁ、、、悲しい、、、
なっしT:そして1961年には東ドイツからの労働者の流出を防ぐためにベルリンの壁が建設される。そこには政治的言論の弾圧だったり、経済的停滞といった背景もある。

ベルリンの壁建設背景

わた:ベルリンの壁ってのは聞いたことありますけど、どんなものなんですか?約ネバの外側に溝のある壁みたいな?進撃の巨人のウォールマリアみたいな?
なっしT:それらを組み合わせた感じかな。西ベルリンの周囲を2重の壁が囲ってる。壁の間には溝だったり鉄条網だったり、地雷があったりもするんだ。
わた:ベルリンの壁崩壊を動画を見るだけだと、ただの壁って印象でしたが、思った以上に強固な壁ですね。

引用:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51486160Y9A021C1FF4000/

なっしT:詳しくは資料集P.288を見てね。そしてキューバ危機だ。そもそもキューバ危機はキューバにソ連のミサイル基地を発見したアメリカ大統領ケネディが海上封鎖を行なって米ソの核戦争の危機に瀕した出来事だよ。
わた:キューバってアメリカに近いですよね。なんで急にソ連が基地を?
なっしT:それはキューバ革命が背景にあるからね。元々バティスタの新米政権がキューバにあったんだけど、カストロとゲバラが倒したんだ。彼らは社会主義的政策を掲げ、アメリカと対立したことをきっかけにソ連に接近するようになるんだ。
わた:だからソ連はキューバにミサイル基地をおき、アメリカを牽制したわけですね。結局ミサイルはどうなったんですか?核戦争は起きてないですよね?
なっしT:NATOがトルコに持っていたミサイルの撤去と交換にキューバのミサイルも撤去されたよ。めでたしめでたし。

緊張緩和(デタント)

わた:めでたくはなくないですか…?これからも核やミサイルが作られる危険性もあるわけだし。
なっしT:そうなんだけどね。でも、このミサイル競争、かなりの財政負担になっていたようだよ。デタント(緊張緩和)はこういった国家財政も関係してくる。
わた:このあと結ばれる部分的核実験禁止条約がそれですね。でも部分的ってのは?
なっしT:地下での核実験は禁止されていなかったためだよ。今でも核保有国があったり、ミサイルがバンバン飛んでくるのはこういう曖昧な条約や法律の影響も受けてるんだ。


まとめ

わた:とりあえず冷戦の流れはつかめました。
高まり→緩和(雪どけ)→再緊張→緊張緩和(デタント)
ですね。交互!
なっしT:そうだね!流れと用語を一致させていこう!ジュネーヴ4巨頭会談はどのタイミングでの出来事か。ベルリン封鎖はどの時期かとかね。
わた:とりあえず学年末テスト頑張ります!!!