20191010_結婚式の価格を自由にしたら_プランナーはいくらで売る_

結婚式の価格を自由にしたら、プランナーはいくらで売る?(2019/10/10配信)

※本記事は毎週配信しているメルマガ「ブライダル業界の"裏"知恵袋」の過去ログです。ご購読希望の方はこちらから(無料)。

こんにちは。
ブライダル業界の知恵袋を運営しているアナロジー代表の市川です。

メールマガジン「ブライダル業界の"裏"知恵袋」では、毎回1つのテーマやトピックについて、ブログでは書けなかった内容をより深く・本音でお送りしています。

第1回目は 「価格自由」なウェディング、は実現するか? の"裏"記事で
「結婚式の価格を自由にしたら、プランナーはいくらで売るか?」
これがテーマです。

▼(参考)元記事はこちら
https://ichimarke.net/free-price-wedding-possibility



結婚式を高いと思って売ってますか?

「もし利益度外視で自分で価格決めていいよ、って言われたら、うちの結婚式いくらで売る?」

式場の経営者や責任者、リーダーの方はこういう質問をメンバーにしてみてください。
さて、どういう答えが返ってくるでしょうか?

アンケートを取ったわけではないですが、本音の回答を得られるのであれば、ほとんどのプランナーは今の販売価格より低い値段を答えたのではないでしょうか?

私の知り合いにも聞いてみましたが、半額~3割ほど安い価格を答える人しかいませんでした。おそらく、今の販売価格と同等の水準を言う人はほとんどいないと思います。

「この会場で結婚式を挙げられるのだから400万円の価値は提供している自信はある」
「この私がプロデュースするのだから1,000万円はもらって然るべき」
このように考えて仕事をしている人は、少なくとも私は出会ったことがありません。



結婚式価格が変わらない不思議

・買う人(新郎新婦)も高いと思っている
・売る人(プランナー)も高いと思っている
それにも拘らず、結婚式価格は高止まりした状態を続けている。

不思議ですよねー。
経済合理性が働いていません。

しかも、これだけ高いと言われているのに結婚式場は総じて見れば儲かってません。先日のAOKIの1Q決算でアニヴェルセルが赤字になったように、どこも苦しいはずです。うかつに価格を下げて組数が増えなければ、さらに業績を落とすリスクがあります。

あれ?価格面では誰もハッピーになっていないのでは??



なんで結婚式の価格は下がらないのか?

私は「下げると誰かが犠牲になるから」だと考えています。

定価を変えるでも値引きを増やすでも、今の見積りや結婚式の作り方を維持した状態で価格だけ下げると、必ず誰かが犠牲になります。

誰かとは、結婚式場やアイテムベンダーのこと
犠牲になるとは、業績が悪化すること

今の一般的な結婚式の見積りは総額で利益率が合うように計算されて定価設定されています。内製か外注化の違いはあれど、アイテム別利益率が均一の見積りはどこにもないでしょう。つまり、パッケージとして売られることが前提になっているのです。

そのため、価格を下げたことによる結婚式場の売上下落を結婚式場が負担すればそこが犠牲に、取引先のアイテム業者の歩率が下がればそこが犠牲に、しかも価格を下げたからと言って競争で勝てるようになるとは限らないという恐怖があるから、価格ではなく他のところで勝負しに行こうという思想が長く続いているからじゃないかと。

誰かが犠牲になるかもしれない決断を誰もできないから。
これが理由だと考えています。



これから先で必要になること

「自分たちが自信を持ってこのオススメできる価格設定についてもっと考える機会を設けるべき」
これが私の考えです。

結婚式場で働くほとんどの人は、会社が決めた価格の商品を売っているにすぎません。新規でも打合せでもドレスでもそうです。そこに自分の意思はないのです。

だから、自分だったら
・どんな商品を
・いくらで売るか
・なぜその価格が妥当だと思うのか
こういった思考のトレーニングを徹底的に積むべきだと思います。

だって不思議じゃないですか?
新卒出たばかりの二十歳そこそこのプランナーが、100万円も目の前にしたことが一度もないのに、
「今日決めてくれたら100万円値引きますよ」
って迫っている光景とか、冷静に考えてけっこう狂気じゃないですか?

エクセルで表示されるバーチャルな100万円と、新郎新婦の生活を直撃するリアルな100万円の価値がリンクしていないんだろうなぁと見えてしまいます。

もちろん、会社の方針に従って指示通りの接客を遂行できる能力、これは一定必要だと思いますが、それに慣れ切ってしまってその価格に疑問を持たない人が多すぎることが問題点だと思います。

例えば今回の価格のように会社で決めたことや他社がそうやっていることにスタッフが疑問を持つことは、経営者や式場責任者にとっては怖いことでしょう。余計なことを考えて会社の方針に疑問を持たれると面倒なことが必要になる可能性が高いからです。

でも、長期的に見れば「本質的に提供できている価値」についていつも考えている会場と決められたルールを従順に守り続けている会場、では圧倒的な違いが出ます。

1回や2回、結婚式価格について考えてみよう!のようなワークショップを開いただけでは何も変わりませんが、何度もそういう視点で考え、その先でお客様と接することで視野も広がり、商品企画にも活かせるノウハウを身につけられると思います。

今回のメルマガをきっかけに、「当たり前のことを本質的に考え直すこと」
これにぜひ取り組んでもらえると嬉しいです。

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