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TripleStudの考察メモ

去年の9月からHORSE中心にミックスゲームについて勉強してきました。ドローゲームなどいろんな種類を学んできたのですが、ドロー系やオマハに比べてスタッドは昔から存在するのに戦略記事がめちゃくちゃ少なく、当たり障りのない内容しかありません。

色んな人と話をする中で自分は他の人とは違うスタッドの視点が多いなと感じたので折角なので記事にまとめてみました。

ルールや戦略については他の記事を参考ください。ここでは7Card Studのフォーマットのポーカーで大事になる視点をまとめてみました。なおここに書かれている内容は本や他の人のプレイから学んだことを元に新たに発見したことを文章にしています。正確性に関して保証するものではないのでご注意ください。もし間違ったことを書いていたら @boorian2 までDMやリプライなどでお知らせください。

スタッドのルールを理解している人向けの記事なのでルールから知りたいという人はミックスゲーム記事一覧のリンクから記事を読むと良いと思います。

スタッドゲームの特徴

アンティと参加人数

スタッドはアンティの存在がとても大きいゲームです。大体のブラインドは、1アンティ=1ブリングイン、1コンプリート=4アンティ程度の構成になってる事が多いです。3rdでのコンプリートは7人だと4アンティで8アンティ分を取る計算になります。NLHのキャッシュだと1.5BBに対して3BBなどで取りに行くのでとてもスチールが大事なゲームだということがわかります。逆に人数が少ないと特にHUとかは、4アンティで3アンティを取りに行く事になります。人数が多かったりアンティが大きいとスチールの価値があり少ないと価値が低いというのが特徴です。ブラインドや人数によってこのレベルは美味しい美味しくないという癖をつけると良いです。ショートスタックで突っ込むのであれば断然美味しいレベルとなります。(すべてのリミットゲームではアンティが美味しいスタッド系でオールインするのが利益的ともとれます)

ポットオッズとインプライドオッズ

ノーリミットはベットサイズが自由なのでショウダウンまでにいくら払うかはわかりませんが、リミットゲームはサイズが固定されるのでショウダウンまでに自分が払う最小のベッド額がわかります。
なので、例えば4thでベッドされるとショウダウンまでに後3BigBetされる(5,6,7th)ことを覚悟する必要があります。また、エフェクティブスタックが浅いとオールインまでの金額が計算できるのでオッズが計算でき、自分の必要勝率がどれくらいかを求めることができます。つまり3rd/4thでの自分の正確なエクイティ計算できる事が大事というのが理解できると思います。

またヘッズアップの時は極端にポットオッズが低くなることにも注目です。例えば、HUで3rdブリングインにコール、4thでチェック/チェック、5thでベットすると、8アンティ(1Big)で4アンティ(アンティx2 + ブリングインx2)を取ることになり、200%ベットができます。スタッド系は極端なボードを除いてほとんど自分の強さがわかりません。なので、必要勝率が50%に近いベットをされるとStudHiなどではハイのみではコールしにくい状況になります。スタッド系において100%以上のベットができる状態でチェックを返すことはフォールドエクイティを大きく損なう行為です。もちろんこれに対してチェックレイズはかなり有効な対抗手段でもあります。

スタッドはアップカードの強さでポジションが変わるゲームですが、3rdのカードが4thの順番にとても大きく依存するゲームです。例えばStudHiのヘッズアップで、2とKだった場合にポジションが逆転するアウツはAの4アウツですが、5と6だとほぼ50%の確率で逆転します。ポットが小さい時にリードベットされると辛いことが多いので、2とKよりも5と6の方がコンプリートのレンジは広くするべきです。また、コンプリートしてオッズコールしやすい状況を積極的にするべきです。逆にコールしても逆転されない場合はコールレンジを広くし、積極的にポットベットするべきと思います。もちろんStudHiでの5とAみたいな状況は、Aハイで十分強いのでコンプリートレンジに混ぜてもいいと思います。なのでそれに対抗するためにある程度チェックレイズのレンジは作るべきです。

スタッドゲームではハイローのチョップ以外のチョップはほとんど起きません。ボードを共有しないのでStudHiの場合同じツーペアでもAやKのツーペアはかなり強力です。またRazzにおいてもブロッカーを使ったシンバリューを取ることがかなり肯定化されます。スタッドでもお互いのレンジを意識してプレイするのはとても重要です。

オープンレンジ

オープンとは誰もコールやレイズを指定ない状態で最初にチップをポットに入れる事とします。ここでのオープンは(オープン)リンプと(オープン)コンプリートの2種類に分けます。また、オープンするべきハンドレンジはゲームの種類によって異なり、アップカードやプレイ順によってレンジが大きく変動すると考えています。

またここではポジションの名前を、ブリングインの前にいる最初にプレイするプレイヤーをアンダーザガンとし、ブリングインの後ろにいる最後にアクションする人をカットオフ、その後ろをハイジャック、とします。これらは世界共通の呼び方ではないので注意ください。

Razzのオープンレンジ

このゲームは基本的には8以下3枚(可能なら7以下3枚)で構成されるべきです。特にライブカードの存在がとても大事になります。またエクイティの分散がとても激しく3rdだけでは概ね7:3のエクイティ差です。

A23 vs 54K

例えばA23だとしても54Kにたいしては74%しかエクイティがありません。

A23 vs 54K (Dead: 4d, 5d)

また4,5が一枚ずつデッドになってた場合は68.8%まで下がります。つまり、強いレンジは8以下3枚でライブカードが多い組み合わせとなります。Razzは他のプレイヤーのアップカードと同じものを持っている場合は強く、逆に持っていない場合は弱いという性質を持っています。

また、どのゲームでも同じですが、マルチウェイにとても弱く可能な限りヘッズアップで戦うべきです。ひとり増えることによって自分のエクイティを2-30%下げることになります。なので、Razzでは基本的にオープンはコンプリートを行うべきです。

A23 vs 54K vs 67T

ポジションが悪いと後ろのプレイヤーにコールされる可能性が高くなり、マルチウェイになる確率が高くなります。つまりオープンポジションが悪ければレンジを狭く強く、後ろであれば広く弱くオープンコンプリートするべきと考えます。逆に言うと、カットオフ(ブリングインの後ろの最後のアクションポジション)はどんなハンドを持っていてもオープンコンプリートを試みる事ができます。前述の通り、アンティが大きいゲームなので、よりオープンコンプリートでスチールする価値が高くなります。よく聞くレンジでは自分の後ろに自分のアップカードより小さいカードが無ければオープンし、小さいカードが1枚あったとしても1枚ならハイカードがあってもオープンを試みて良いとされています。

一般的にはリンプレンジはバランスを取りにくいので作らない方がいいとされていますが、僕は作っても良いかなと思っております。理由は、4th以降のベットに耐えきれない他のプレイヤーがいる場合に巻き込めるからです。本来はハイカードが落ちても4thではコールするのが一般的ですが、ルースなプレイヤーはリンプは弱いレンジを持っているのでブロードウェイカードが4thで落ちた時にギブアップする場合が多いです。しかもコールしてくれたおかげで5th以降のポットオッズもコールしやすい状態になっているので4thでベットする理由が減ります。また、不利な状況になった場合に気楽にフォールドできるというのも大きいです。スタッドは見えているカードが多いのでエクイティの正確な見積もりが行いやすく、アーリーからフォールドするにはもったいないハンドがよくあります。僕はアーリーポジションからコンプリートするかわりにリンプをすることが多いです。稀に2ベット以上のアクションをするとオーバーフォールドされることがありますが、Razzは3rdを降りるレンジで参加することはないです。2ベットされてもコールするべきだし、マルチウェイにならない限り十分にオッズは足りていることが多いです。Razzではオープンしたからにはフォールドするハンドはほとんどありません。

Stud Hiのオープンレンジ

考え方はRazzと同じで他のプレイヤーのアップカードの状況でレンジを変化させるべきです。Stud HiはAの2ペアを作られるとほぼ負けが確定してしまいます。しかもRazzとは異なり2ペアなどの強いハンドがめちゃくちゃわかりにくいです。

AAx vs JJx
AA77 vs JJx

つまり後ろのポジションにオーバーペアがいる場合かなり不利な状況になってしまいます。またStud Hiは強いアップカードが最初にベットできるので、オーバーペアがそのままCBを打ち続ける事ができます。ポジションやキッカーが悪いとJJやTTも十分にフォールドを検討するべきだと思います。
また、Stud Hiもスチールを試みることがとても偉く、ブリングインの後ろのポジションに近いほどオープンレンジは広くなるべきです。

アップカードが一番大きい人がコンプリートをして、それに対抗できる人がコールをするというのが一般的かなと思います。またStud Hiでは相手のペアをブロックしているアップカードがあるとよりスチールレンジが広くなる印象です。また、StudHiはスチールレンジに対する3rdでのフォールドエクイティがあると思うので、バリューをブロックしている場合はライト2ベットや3ベットも混ぜるべきかなと思っています。

Stud Hi/Loのオープンレンジ

スタッドハイローのオープンレンジは基本的にはRazzと同じべきです。ただRazzよりも876の価値が少し高くなります。逆に9TJ周りの価値はかなり下がります。また他のゲーム同様スチールする価値が高く、ブリングインの後ろになるほどレンジが広くなるべきです。

ハイローゲームはある程度マルチウェイを許容できるゲームだと考えており、コールレンジを作っています。その場合は、ハイかローのどちらかの少数派になる様にします。1番悲しいのが間に挟まれたマージナルなハンドです。なので、マージナルなハイハンドではかなり参加するのが難しいです。Aが落ちた時に常にAAに怯えることになります。また、ローっぽくてハイなハンドもかなり強く、マージナルなハイを巻き込むことができます。基本戦略としてはロー側はハイのエクイティを残しつつ、ローを完成させてフリーロールを狙います。

スタッドハイローはハイの方がエクイティ高く、ローの方が低いです。特にアップカードがローばかりだとハイのエクイティがかなり跳ね上がります。僕はAが2枚以上出てるなどの時のみハイでのアグレッションが肯定されると考えてます。もちろんAAはハイもローも狙えるので常にオープンするべきだと考えます。

また、まだ研究が全然できていないですが、ハイペアに混ぜてハイドローなどのセミブラフレンジを作るのが良いと考えてます。ただし基本的にハイローゲームはハイ側はブラフがしにくく、完成しているローがコールもしくはレイズがしやすいです。ブラフもローがフリーロールを狙ってハイを下ろすブラフのみで、全体的にブラフは少なくなります。

2ベットレンジ

前節でも述べていますがほとんどのポーカーゲームにおいてマルチウェイが否定されており、RazzとStud Hiでは可能な限りヘッズアップでプレイするべきです。(一部ハイローなどは強いコールレンジを残してハーフポットを確実に狙い、低いスクープを狙うという戦略もありますが、それは別の機会で説明できればなと思います。)なので基本的に2ベットはアイソレートのためにするべきです。もちろん、相手のレンジに対して50%以上のエクイティがあると分かる場合はその限りではありません。

またStudHiに関してはスチールレンジに対して2ベットをすることもできます。他のゲームに比べて3rdでのフォールドエクイティが確保できるためです。ローのゲームは3rdでのバリューのブロッカーが不十分でかつほとんどのハンドでエクイティがあるためです。

ブリングインプレイヤーのディフェンスレンジ

スタッドのディフェンスは人数が少なくなるとポットオッズが小さくなり価値が減り、人数が増えるとディフェンスする価値は増えます。しかしアーリーからのオープンに対しては、レンジに対するエクイティが足りなくコールすることができ無いことが多いです。

Razzのディフェンスレンジ

スタッドではアーリーからのオープンにはコールしにくく、特にRazzではそれが顕著です。しかし、カットオフ(ブリングインのひとつ後ろ)、ハイジャック(そのさらに後ろ)くらいからのオープンにはかなりランダムハンドが含まれてるので広くディフェンスするべきです。ただしマルチウェイでKやQでディフェンスするレンジは有りません。

K2A vs A23
Q2A vs A23
K2A vs A23 vs 876

マルチウェイだと、アーリーポジションのレンジは強く、コール側もかなり強いです。9以上は入ってないと考えていいでしょう。その場合KやQを見せている状態ではかなりプレイアビリティが低く、またエクイティも相当に低いです。

K76 vs A2Q

オープンにスチールレンジが含まれている場合は1枚程度ハイカードが含まれているのでキーカードを持っていなくてもある程度のエクイティを確保できます。

K(76)59 vs A(2Q)97

しかし、お互いにドローミスが無い限りはエクイティは劣勢のままです。スチールレンジはレンジが広いので、ペアになっているという事とても稀です。

K(76)86 vs A(2Q)79

また、こちらがペアにった場合は相手がドローミスしたとしても不利な状況になってしまいます。

Stud Hiのディフェンスレンジ

Stud HiはRazzよりもディフェンスレンジに対するエクイティの差が小さいゲームです。またロールドアップは0.2%程度なのでかなり無視できます。またAAxに対してもペアやライブカードが多いストドロやフラドロはかなりエクイティがかなり高いです。

AAK vs 765
AAK vs 334
AAK vs Q94ts

またバックにペアがある場合や弱いスチールレンジに対してはレイズを検討できます。ライトレンジはペアブロッカーを使ったレンジで、レイズを返す事が多いです。基本的にオープンがブリングインの後ろであればあるほどレンジは強くなるので、それに対するディフェンスレンジも変化させるべきです。

Stud Hi/Loのディフェンスレンジ

Stud Hi/Loはブリングインがとても強いです。ブリングインでは殆どの場合ローのキーカードを持っているのでプレイアビリティがとても高いです。また、ディフェンスするレンジは8以下3枚、ペア+8以外1枚、ストドロ、フラドロ、A1枚あるだけで大分心強いです。4th以降でAを拾った場合はAペアを装ってレイズすることもできます。

つまり逆説的に言うと、Stud Hi/Loはディフェンスレンジが広いのでオープンレンジも合わせて狭くするべきです。よく見るミスはハイでのブラフ過多が多いなと感じます。僕はスチールする代わりにリンプを検討する事があります。

ブリングインプレイヤーのコンプリートレンジ

ここまで読んでくれた人には既に説明は不要だと思います。各ゲームにおいて、アップカードが相対的に強いレンジの時人数が少なくオッズが足りずディフェンスし難い時ハンドのエクイティが高い時、それぞれバランスを考えてコンプリートをする事が正当化されると考えています。

おすすめの教材

Getting Started With HORSE

2022年にでた新しい本で、オッズの基本的な考え方から、具体的なストーリーに合わせて各ゲームの紹介まで広く書かれている本です。LHEの話もホールデムのプレイヤーであれば一読しておいても良いのではないかと思いました。

木原さんの動画

木原さんのHORSEの解説動画はどれも良いですがポイントとなるところはどの動画でも抑えられてると思いました。逆に言うと複数の動画を解説されていますが、どちらかだけでもいいと思います。

WCOOP/SCOOPのリプレイ

木原さんが解説されている動画以外にもたくさんのHORSEのリプレイや個別の種目のリプレイがあります。初めてプレイする種目はオープンやフォールドのレンジをメモし、雰囲気を掴むのに適していました。Starsでリプレイヤーを開くよりもYoutubeの動画を倍速したり止めたりしながら見るほうが便利でした。

多聞さんの動画

多聞さんもU.S. Poker Openで優勝されたときの8Gameの解説を動画でされています。こちらも木原さんのものと同様のことを仰られており参考になると思います。

Run It Once

今年こそは見るぞと思いつつ、まだ自分で研究できる所もあるので手を出していません。しかし、ここには最も多くのミックスゲームの情報が出ていると思います。みんなで集まって視聴する会とかやりたいですね。既にやってるコミュニティとかあれば紹介してください…!

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