こんにちは

「ブライアン君、帰り京都だよね⁈」

5月某日18時半、10時間という長丁場の研修を終えた私の耳に飛び込んだ言葉である。
「せっかくやし、一緒に帰ろうよ!」(せっかくとは)
同じグループだった幼き女に詰め寄られた私は二つ返事で要求を引き受けることにした。
しかも敵地東ゴルトーという異国の地(Tokyo)で。。。

この判断が後にブライアンを奈落の底に突き落とすことになるなど、誰も想定していなかった。
なぜ私を誘ったのか?何を言おう。この女も私と同じ西の国の出であったのである。

おっと。彼女の前に私の自己紹介をしなければならなかったな。

私は、西の極悪人ブライアン。俗にいう「5回生」というやつだ。
昔は勤勉を表す高貴な勲章だったが、ここ最近私のような5回生というものに世間は厳しい。
そういう世を渡る日本男児、いわばSAMURAIであることだけ今日は覚えて帰ってほしい。Twitterはフォローしろよな https://twitter.com/brian_sister

女2侍1という江戸では打ち首レベルの大罪を犯しながら一行は東ゴルトー駅へと向かった。
駅にて近代の文明を知らない侍は、新幹線の切符の入れ方にてこずった。
「やばいっっっ」そう思った時には時すでにお寿司で候。
改札に行く手を阻まれた私はその時点で荒波に飲まれ、女どもを見失った。完全に先を行かれたのだ。必死に探すも、あたりを見渡すも一面異国の顔ばかり。それもそのはず、東ゴルトーの人口は約50億人。西の諸国を合わせても、かなわない規模である。
私はとっさに「見失ったわ」とラインを入れた。しかし既読はつかず。
それもそのはず。
ここ東ゴルトーでは異国民におけるスマホの使用は死罪に値すると定義されている。おっかない話だ。

新幹線はそう頻繁に来ない。約束を破りたくない。改札でごちゃついたと思われたくない。最悪パターンを何万通りと頭に描きながら、焦ることなく侍は東ゴルトー駅へと一人で肉詰め電車へ乗った。

結果から言おう。予想通りであった。幾度ものパターンを脳内再生したからだろう。女どもは新幹線ホームで並んでいた。
「う、うっす。」(薄すぎ)
詮索されたくない顔を浮かべ、そう言って私は二つ後ろに並んだ。

いざ帰郷。
三号車に乗った一行は自由席を探す。(喫煙ルームは3と10号車だ)
しかし三人席は一つも空いていない。
二人席は空いている。頼む座ってくれ。
座らない。。。
なぜか席を探す二人。一人席なんてないぞ?わずかな希望を胸に、侍はとぼとぼとついていく事にした。(カオナシ)
三を諦め、二号車に入る一行、三人席があいていた。
奥に詰める二人、通路側で立ち止まる侍。
「すわりなよ。」

尊い


お前が年下なのは知っている。西の国万歳。年齢など関係ない。5回?関係ない。コンプレックス?関係ない。貫き通せ日本人。

彼女が寝たのを確認し、
私はそっと、胸元に忍ばせたのスマホを取り出し、既読のつかない「見失ったわ」を送信取り消した。

場所は東ゴルトー、こうして私は死罪となった。

参考文献:遺書ブライアン(小学館)

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